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第8話
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バサッ!バサッ!と翼を羽ばたたせながら空を駆ける。見下ろせばそこは黒い瘴気と深い霧に覆われた暗い森が広がっている。鬱蒼と生い茂った森は薄暗く、不気味な印象を与える。ヴァルスは黒の森を見渡しながら、母の言葉を思い起こした。
「ヴァルス…。人間は我々一族の敵なのだ。我ら一族が受けた屈辱を…、決して忘れるな。」
そう言って、母は鋭い視線を森のずっと向こう…、あの王国を見据え、睨みつけていた。
「絶対に人間に心を許してはならぬ!」
この森の生命の源であり、礎でもあった美しい石。
森の穢れを払い、浄化されていたからこそ、森は生命力に溢れており、美しい輝きを保つことができていた。
だが、それを奪われてしまい、森は光を失った。母体を失った森は黒い瘴気が蔓延り、呪いの森へと変貌した。
強い突風を巻き起こしながら、ヴァルスは地面に降り立った。
岩の上に腰を下ろし、眼前を見下ろす。こうして、黒い森を一望していると、かつての母の姿が甦る。
母もよくここで人間に対する憎しみや怒り等が混じり合った感情を吐き出し、必ず報いを受けさせてやると呟いていた。
母はかつての美しい森を取り戻そうと力を尽くした。その為には、あの石を取り戻すことは必要不可欠だった。
人間の手から石を取り戻す。それは母の悲願だった。
しかし、それは叶わなかった。母はその遺志を子であるヴァルスに託した。
母が生きていたらきっとあの聖女を生かすことを許さなかっただろう。人間を憎んでいた母の事だ。
一瞬の迷いも躊躇することなく、聖女の命を刈り取っていた事だろう。
ヴァルスがこれまで人間達にしてきたように。
これは母の遺志に背いたことになる。あの聖女がフェルを助けた過去がなければヴァルスも母の言葉通りに従っていた。どんなに魔力が高く、聖女と呼ばれた女だろうと所詮は人間。ヴァルスの敵ではない。あの薄汚い男達と同じ目に遭わせるつもりだった。だが、あの聖女はフェルの恩人だった。森の掟には、恩を受けたならそれを返さないとならないという決まりがある。
母の遺志と森の掟…。どちらを優先するべきか。
一瞬、聖女だろうとフェルの恩人だろうと人間…。
殺意を覚え、手にかけようとした。が、殺そうとするとフェルが猛反対したので止めた。
ヴァルスは森の掟を優先した。聖女を保護し、その恩を返すことに決めたのだ。この判断が正しいかどうかは分からない。だが、この森の守護妖精として、公正な判断を下さないとならない。
客観的に見れば、人間ではあるがこの森の住人を助けたのは紛れもない事実。恩を仇で返したとなっては、あの下劣で愚かな人間達と同じ穴の狢になってしまう。ヴァルスにとってそれは耐え難い屈辱であり、吐き気がする程に嫌悪するものだった。我々は人間達とは違う。そう思ったからこそ、聖女を助けたのだ。
「聖女、セラフィーナ…。」
あの女を助けたのが吉と出るか凶と出るか…。ヴァルスにはまだ予測ができないことだった。
もし、この森に害を及ぼすと判断したその時は…、ヴァルスの金色の目は不穏な光を宿していた。
あれから一人、取り残されたセラフィーナは何か自分でもできることはないかと考え…、家事をしてみようという考えに至った。そして、掃除を始めた。掃除などやったことがないセラフィーナは掃除って何を使うんだろう?という所から始まったが教会の神官見習いがやっていた掃除の姿を思い出しながら、掃除をしてみることにした。
まず、水汲みをしなければ。そう思い、屋敷の裏に井戸があったのでそこに行ってみたが井戸の水は枯れていた。
そこで川まで水を汲みに行くことにした。そこで、セラフィーナはフェル達に川まで案内してもらったのだが…、
「え…、ここが川…?」
ドロドロ、といった言葉が似合いそうな位に黒く濁った川にセラフィーナは口元が引き攣った。
ここまで汚い川の水は初めて見た。というか、この水…。絶対に身体に悪そうだ。セラフィーナは川を眺めながらそう感じた。こんな水を使ったら掃除どころか益々汚れてしまいそう。セラフィーナは途方に暮れた。
「もしかして、これも…、石の加護がなくなったせい…?」
セラフィーナはそう思い、スッと川に手を伸ばした。
ヴァルスに見せてもらった記憶では川の水は透き通っていて日の光に反射して、水はキラキラと虹色の光を放ってとても綺麗な景色だった。あんなに綺麗な水が流れていたのに…。私達、人間のせいで…、セラフィーナは川の水を掬った。濁った水はセラフィーナの手から零れ落ちていく。
セラフィーナは川の水に触れ、手から零れ落ちていく水を眺めながら、ふと、ある事に気が付いた。
「この感じ…。」
セラフィーナはもう一度、川の水に手を沈める。じっと川を見つめながら、神経を集中させる。
この禍々しい気…。まるでべたべたと纏わりつくような感覚…。セラフィーナはハッと辺りを見回した。
森全体に感じるこの黒い瘴気…。そうだった。この森は石を奪われてから、黒い瘴気に覆われるようになったんだ。
この川の水もそのせいでこんなに汚染されたのだ。川からは強い穢れを感じる。
「…。」
川から手を引き上げ、セラフィーナは考え込んだ。
浄化魔法を使えば…、少しは元の川に戻るだろうか。セラフィーナは聖女として、穢れで充満してしまった土地や村を浄化したことがある。でも、あれは微弱なものでこんなにも目に見える程に強い穢れは見たことがない。
セラフィーナに浄化できる自信はなかった。
でも…、セラフィーナはスッともう一度川に手を漬けた。
もし、少しでも…、可能性がああるのなら…、試してみる価値はある。セラフィーナは浄化魔法を発動した。
金色の光が辺りを包み込んだ。
川の色に変化はない。だが、少しずつ、少しずつその色は薄れていった。濁りが消え、透き通った水の色へと変わっていく。光が消える頃には川には清涼な水が流れ、あの濁った川の面影もなくなっていた。
セラフィーナは思わず笑顔になった。
「カアカア!」
「ギャギャ!ギャギャ!」
フェル達がびっくりしたように同時に嬉しそうに声を上げている。そんな鴉達を見ていると、セラフィーナも嬉しくなった。フェル達は川の水に嘴をつけて水を飲み始めた。セラフィーナもそっと水を掬って飲んでみる。
冷たい水が喉に伝った。
「美味しい…。」
渇きが満たされていく。水が身体に行き渡る心地よい感覚にセラフィーナはほう、と溜息を吐いた。
セラフィーナは持ってきたバケツに水を汲むと、それを持って屋敷に戻った。
「ヴァルス…。人間は我々一族の敵なのだ。我ら一族が受けた屈辱を…、決して忘れるな。」
そう言って、母は鋭い視線を森のずっと向こう…、あの王国を見据え、睨みつけていた。
「絶対に人間に心を許してはならぬ!」
この森の生命の源であり、礎でもあった美しい石。
森の穢れを払い、浄化されていたからこそ、森は生命力に溢れており、美しい輝きを保つことができていた。
だが、それを奪われてしまい、森は光を失った。母体を失った森は黒い瘴気が蔓延り、呪いの森へと変貌した。
強い突風を巻き起こしながら、ヴァルスは地面に降り立った。
岩の上に腰を下ろし、眼前を見下ろす。こうして、黒い森を一望していると、かつての母の姿が甦る。
母もよくここで人間に対する憎しみや怒り等が混じり合った感情を吐き出し、必ず報いを受けさせてやると呟いていた。
母はかつての美しい森を取り戻そうと力を尽くした。その為には、あの石を取り戻すことは必要不可欠だった。
人間の手から石を取り戻す。それは母の悲願だった。
しかし、それは叶わなかった。母はその遺志を子であるヴァルスに託した。
母が生きていたらきっとあの聖女を生かすことを許さなかっただろう。人間を憎んでいた母の事だ。
一瞬の迷いも躊躇することなく、聖女の命を刈り取っていた事だろう。
ヴァルスがこれまで人間達にしてきたように。
これは母の遺志に背いたことになる。あの聖女がフェルを助けた過去がなければヴァルスも母の言葉通りに従っていた。どんなに魔力が高く、聖女と呼ばれた女だろうと所詮は人間。ヴァルスの敵ではない。あの薄汚い男達と同じ目に遭わせるつもりだった。だが、あの聖女はフェルの恩人だった。森の掟には、恩を受けたならそれを返さないとならないという決まりがある。
母の遺志と森の掟…。どちらを優先するべきか。
一瞬、聖女だろうとフェルの恩人だろうと人間…。
殺意を覚え、手にかけようとした。が、殺そうとするとフェルが猛反対したので止めた。
ヴァルスは森の掟を優先した。聖女を保護し、その恩を返すことに決めたのだ。この判断が正しいかどうかは分からない。だが、この森の守護妖精として、公正な判断を下さないとならない。
客観的に見れば、人間ではあるがこの森の住人を助けたのは紛れもない事実。恩を仇で返したとなっては、あの下劣で愚かな人間達と同じ穴の狢になってしまう。ヴァルスにとってそれは耐え難い屈辱であり、吐き気がする程に嫌悪するものだった。我々は人間達とは違う。そう思ったからこそ、聖女を助けたのだ。
「聖女、セラフィーナ…。」
あの女を助けたのが吉と出るか凶と出るか…。ヴァルスにはまだ予測ができないことだった。
もし、この森に害を及ぼすと判断したその時は…、ヴァルスの金色の目は不穏な光を宿していた。
あれから一人、取り残されたセラフィーナは何か自分でもできることはないかと考え…、家事をしてみようという考えに至った。そして、掃除を始めた。掃除などやったことがないセラフィーナは掃除って何を使うんだろう?という所から始まったが教会の神官見習いがやっていた掃除の姿を思い出しながら、掃除をしてみることにした。
まず、水汲みをしなければ。そう思い、屋敷の裏に井戸があったのでそこに行ってみたが井戸の水は枯れていた。
そこで川まで水を汲みに行くことにした。そこで、セラフィーナはフェル達に川まで案内してもらったのだが…、
「え…、ここが川…?」
ドロドロ、といった言葉が似合いそうな位に黒く濁った川にセラフィーナは口元が引き攣った。
ここまで汚い川の水は初めて見た。というか、この水…。絶対に身体に悪そうだ。セラフィーナは川を眺めながらそう感じた。こんな水を使ったら掃除どころか益々汚れてしまいそう。セラフィーナは途方に暮れた。
「もしかして、これも…、石の加護がなくなったせい…?」
セラフィーナはそう思い、スッと川に手を伸ばした。
ヴァルスに見せてもらった記憶では川の水は透き通っていて日の光に反射して、水はキラキラと虹色の光を放ってとても綺麗な景色だった。あんなに綺麗な水が流れていたのに…。私達、人間のせいで…、セラフィーナは川の水を掬った。濁った水はセラフィーナの手から零れ落ちていく。
セラフィーナは川の水に触れ、手から零れ落ちていく水を眺めながら、ふと、ある事に気が付いた。
「この感じ…。」
セラフィーナはもう一度、川の水に手を沈める。じっと川を見つめながら、神経を集中させる。
この禍々しい気…。まるでべたべたと纏わりつくような感覚…。セラフィーナはハッと辺りを見回した。
森全体に感じるこの黒い瘴気…。そうだった。この森は石を奪われてから、黒い瘴気に覆われるようになったんだ。
この川の水もそのせいでこんなに汚染されたのだ。川からは強い穢れを感じる。
「…。」
川から手を引き上げ、セラフィーナは考え込んだ。
浄化魔法を使えば…、少しは元の川に戻るだろうか。セラフィーナは聖女として、穢れで充満してしまった土地や村を浄化したことがある。でも、あれは微弱なものでこんなにも目に見える程に強い穢れは見たことがない。
セラフィーナに浄化できる自信はなかった。
でも…、セラフィーナはスッともう一度川に手を漬けた。
もし、少しでも…、可能性がああるのなら…、試してみる価値はある。セラフィーナは浄化魔法を発動した。
金色の光が辺りを包み込んだ。
川の色に変化はない。だが、少しずつ、少しずつその色は薄れていった。濁りが消え、透き通った水の色へと変わっていく。光が消える頃には川には清涼な水が流れ、あの濁った川の面影もなくなっていた。
セラフィーナは思わず笑顔になった。
「カアカア!」
「ギャギャ!ギャギャ!」
フェル達がびっくりしたように同時に嬉しそうに声を上げている。そんな鴉達を見ていると、セラフィーナも嬉しくなった。フェル達は川の水に嘴をつけて水を飲み始めた。セラフィーナもそっと水を掬って飲んでみる。
冷たい水が喉に伝った。
「美味しい…。」
渇きが満たされていく。水が身体に行き渡る心地よい感覚にセラフィーナはほう、と溜息を吐いた。
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