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第七十話 嫉妬という感情
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リエルはアルバートと婚約した直後から彼に憧れや好意を寄せている女性から数々の嫌がらせを受けた。宛名不明の手紙が届き、手紙にはどれもアルバートと別れを強要する脅迫の手紙や大量の髪の毛に剃刀が入っていたり、血の文字で書かれたリエルに対する罵詈雑言が殴り書きされていた。さすがに夜会であからさまな嫌がらせはなかったがこちらを見て、クスクスと笑ったり、陰口や嫌味を言われた。お茶会でもリエルにある令嬢からはアルバートがいかに自分と親しいかを自慢されたし、リエルとアルバートの不仲を知りながらもあえて二人の仲を聞いてくる意地の悪い令嬢もいた。リエルはそんな嫌がらせを無理矢理笑みを浮かべて受け流した。
「何でリエルが婚約者なの!?順番で言うのなら、あたしが彼の婚約者になるべきなのに!アルバートだって、あたしの方がいいに決まってる!」
リエルとアルバートの婚約を聞かされたセリーナはそう言って、父に詰め寄っていた。しかし、父にもう決まったことであることやお互いの当主で話し合ったことだと言われ、更には父から叱咤され、セリーナはそれ以上の反論はしなかったが憎々し気にリエルを睨んでいた。
「あんたなんて…、どうせお飾りの妻になるだけよ。せいぜい、アルバートに捨てられないようにすることね!」
そう吐き捨てるように言われ、リエルは硬直した。
「どういう事よ!」
ある時、リエルが父から借りた本を返しに書斎に向かうと、母の悲鳴と何かが割れる音が聞こえた。
「約束が違うじゃない!その日はあたしと一緒に過ごすって…、そう言ってたのに!」
「すまない。オレリーヌ。どうしても、この日に王宮へ出仕しなければいけなくて…、埋め合わせはするから今回は…、」
「あなたはいつもそればっかり!仕事仕事って言ってあたしを放ったらかしにして!本当に仕事なの!?本当は他の女に会いに行ってるんじゃないの!?」
「オレリーヌ。落ち着け。最近、地方の村で盗賊の被害が相次いでいるせいで急遽、その対策を練る為に会議が開かれることになったんだ。五大貴族の当主として、出席しないわけにいかないだろう?」
「そんなの、他の人にやらせればいいじゃない!」
「そんな無責任な事はできない。我々貴族の務めは民を守る事だ。君も私の妻なら、それ位理解できるだろう?」
「そうやって…、そうやってあなたはいつも仕事仕事って…!私との約束を守ってくれた事なんてほとんどないじゃない!…もういい!あなたがその気なら私は私で楽しんでやるんだから!」
カツカツと足音が聞こえ、慌ててリエルは物陰に隠れた。
バン!と扉が勢いよく開かれる。そっと窺えば母が荒々しく去っていく後姿が見えた。
「旦那様。よろしいのですか?あの様子だと、また奥様の悪い遊びが…、」
「…仕方ないだろう。妻の機嫌取りの為に会議を休む訳にはいかない。それに、約束を破ったのは事実だ。私に妻を責める権利はないよ。クレメンス。お前には苦労をかけるが羽目を外さない程度に妻を見てやってくれ。」
リエルは執事長のクレメンスと父の会話にそっと聞き耳を立てた。父は忙しい身だ。こういったことは今までに何回もあった。その度に母は癇癪を起こし、父への当てつけの様に男遊びと散財を繰り返していた。そんな母を見て、父はいつも疲れたように溜息を吐いていた。
「奥様の嫉妬深さは相変わらずですね。むしろ、年々悪化しているかのような…、」
「…困ったものだよ。彼女ときたら、実の娘にすら嫉妬する始末なのだから。リエルがオレリーヌに似なくて本当に良かった。嫉妬なんて感情は醜いだけだからな。」
リエルはギュッと手にしていた本を握り締めた。そのままリエルは足音も立てずにその場を立ち去った。だから、知らなかった。父がその後にぽつりと呟いた言葉を。
「でも…、それと同時に…、とても人間らしい感情でもある。…そんな感情を抱ける彼女が私は羨ましいよ。」
嫉妬は醜い。父の言葉はリエルの頭にいつまでも強く残った。母はとにかく、父への執着心と独占欲が強かった。その嫉妬をいつも目の当たりにした父にすればそう思うのも無理はない。お忍びで街に下りた時に恋人の浮気現場を目撃した女が男に詰め寄る姿や別れ話で揉める男女の姿を見て、それを痛感した。リエルはある時、同じ五大貴族である友人に聞いてみたことがある。
「女の嫉妬をどう思うかって?まあ、軽いヤキモチなら可愛いけどね。でも、度が過ぎると重いだけだ。君も覚えておくといいよ。男は束縛を嫌う生き物なんだ。…君の婚約者もあれだけの色男だから相当モテるだろうけど一々目くじらなんか立てるものじゃないよ。」
極めつけはその友人と会話をしている婚約者の言葉…、
「女の嫉妬をどう思うかって?何だよ。突然。…まあ、正直、面倒臭いな。一々、人の行動に口うるさく言ってくるのも煩わしいし、他人なんかに口出しされるのも勘弁してほしい位だ。何様だよって思うのが正直な所だ。」
そうか。やっぱり、そうなんだ。リエルはその時、決めた。無様な姿を晒すな。感情を隠して。彼に迷惑をかけてはいけない。嫉妬に歪んだ顔を見せては駄目。彼の好きなようにさせるんだ。婚約者だからって口出ししたり、行動を制限はしない。だから、彼が自分との約束を破って友人や他の女性と遊んでも責めたりしちゃ駄目。だって、私は…、ただの義務で決められた婚約者なだけなんだから。
「リエル。見て。これ、素敵でしょう?アルバートがくれたのよ。あたしに似合うからって。」
そう言って、リエルにアルバートから贈られたというルビーの腕輪を見せつけて自慢する姉を見ても、
「あら、リエル。今日はアルバートと会う約束してるんじゃなかった?あ。そういえば、彼は今日用事ができて会えなくなったんだっけ?ごめんなさい。」
アルバートがいつものように約束を破ってリエルに会いに来ないのを知っていてわざとらしく嫌味を言ってくる姉の言葉にも
「フフッ…、リエル。私、今日はアルバートと観劇に行ってきたのよ。すっごく楽しかったわ。私をまるでお姫様の様に扱ってくれてね。彼って、本当に熱い男なのね。一緒にいると、燃え上ってしまいそう。…婚約者の癖に碌にプレゼントも貰えず会ってもくれないなんて…、あなたって本当に惨めね。こんなので婚約者の資格があるのかしらね?」
事ある毎にアルバートとの逢瀬を自慢げに報告する姉の態度にも、
「心配しないでも、惨めで可哀想なあんたには婚約者の座は譲ってあげる。でも、結婚しても私達の仲を邪魔したりはしないでね?」
二人の親密な仲をことあるごとに見せつけてくる姉の優越感に満ちた視線と嘲りにも…、リエルは何も言わなかった。
「お前のような女があの美しい男に愛されると思っているの?美しくもない何の取り柄もないお前が?」
「お前なんて、一生誰にも愛されず、不幸な結婚生活を送ればいいのよ。醜いお前にはそれがお似合いだわ。」
そう言って、蔑んだ目でリエルを見下ろす母の刃物のような鋭い母の言葉にもリエルは反論はしなかった。荒れ狂いそうになる心に無理矢理蓋をした。そして、我慢に我慢を重ねた結果…、自分は…、
ハッと目を開けた。気付けばそこは自分の部屋の天井だった。ハアハア、と荒い息を吐く自分の息遣いにリエルはぼんやりとした頭で身体を起こした。
―夢、か…。もう二年以上も前の事なのに…。昔の夢を見るのは久し振り…。
汗を掻いたせいか酷く喉が渇いた。リエルはベッドサイドに置かれたグラスを手にして、水差しにはいった水を注ぐと、水を飲んだ。
―思っていた以上に…、気にしていたのね。
あの時のリーリアの言葉…。その時の動揺が尾を引いて夢に現れていたのだろう。
「もう…、忘れていたと思っていたのに…。」
リエルは手鏡を手にすると、そっと前髪を掻き分けて鏡に映る自分の潰れた左眼を見た。
「あの時に…、決めたんじゃないの。もう、この気持ちに蓋はするんだって。なのに…、」
今日の彼の思いがけない優しさに触れて、昔の彼の面影を見つけて…、気持ちが揺らいだ。理由を聞かなくても彼は真っ先に私の無実を信じてくれた。侵入者から助けてくれた。励ましてくれた。それがこんなにも…、救われた気持ちになるなんて…。嬉しく思ってしまうなんて…。リエルはそっと自分の口元を覆った。
「ごめんなさい…。早く忘れるから…、もう少しだけ…、私に時間を下さい。」
その謝罪は一体、誰に向けてのものなのか。リエルの呟きはすぐに掻き消された。
「何でリエルが婚約者なの!?順番で言うのなら、あたしが彼の婚約者になるべきなのに!アルバートだって、あたしの方がいいに決まってる!」
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「あんたなんて…、どうせお飾りの妻になるだけよ。せいぜい、アルバートに捨てられないようにすることね!」
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ある時、リエルが父から借りた本を返しに書斎に向かうと、母の悲鳴と何かが割れる音が聞こえた。
「約束が違うじゃない!その日はあたしと一緒に過ごすって…、そう言ってたのに!」
「すまない。オレリーヌ。どうしても、この日に王宮へ出仕しなければいけなくて…、埋め合わせはするから今回は…、」
「あなたはいつもそればっかり!仕事仕事って言ってあたしを放ったらかしにして!本当に仕事なの!?本当は他の女に会いに行ってるんじゃないの!?」
「オレリーヌ。落ち着け。最近、地方の村で盗賊の被害が相次いでいるせいで急遽、その対策を練る為に会議が開かれることになったんだ。五大貴族の当主として、出席しないわけにいかないだろう?」
「そんなの、他の人にやらせればいいじゃない!」
「そんな無責任な事はできない。我々貴族の務めは民を守る事だ。君も私の妻なら、それ位理解できるだろう?」
「そうやって…、そうやってあなたはいつも仕事仕事って…!私との約束を守ってくれた事なんてほとんどないじゃない!…もういい!あなたがその気なら私は私で楽しんでやるんだから!」
カツカツと足音が聞こえ、慌ててリエルは物陰に隠れた。
バン!と扉が勢いよく開かれる。そっと窺えば母が荒々しく去っていく後姿が見えた。
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リエルは執事長のクレメンスと父の会話にそっと聞き耳を立てた。父は忙しい身だ。こういったことは今までに何回もあった。その度に母は癇癪を起こし、父への当てつけの様に男遊びと散財を繰り返していた。そんな母を見て、父はいつも疲れたように溜息を吐いていた。
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「…困ったものだよ。彼女ときたら、実の娘にすら嫉妬する始末なのだから。リエルがオレリーヌに似なくて本当に良かった。嫉妬なんて感情は醜いだけだからな。」
リエルはギュッと手にしていた本を握り締めた。そのままリエルは足音も立てずにその場を立ち去った。だから、知らなかった。父がその後にぽつりと呟いた言葉を。
「でも…、それと同時に…、とても人間らしい感情でもある。…そんな感情を抱ける彼女が私は羨ましいよ。」
嫉妬は醜い。父の言葉はリエルの頭にいつまでも強く残った。母はとにかく、父への執着心と独占欲が強かった。その嫉妬をいつも目の当たりにした父にすればそう思うのも無理はない。お忍びで街に下りた時に恋人の浮気現場を目撃した女が男に詰め寄る姿や別れ話で揉める男女の姿を見て、それを痛感した。リエルはある時、同じ五大貴族である友人に聞いてみたことがある。
「女の嫉妬をどう思うかって?まあ、軽いヤキモチなら可愛いけどね。でも、度が過ぎると重いだけだ。君も覚えておくといいよ。男は束縛を嫌う生き物なんだ。…君の婚約者もあれだけの色男だから相当モテるだろうけど一々目くじらなんか立てるものじゃないよ。」
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「女の嫉妬をどう思うかって?何だよ。突然。…まあ、正直、面倒臭いな。一々、人の行動に口うるさく言ってくるのも煩わしいし、他人なんかに口出しされるのも勘弁してほしい位だ。何様だよって思うのが正直な所だ。」
そうか。やっぱり、そうなんだ。リエルはその時、決めた。無様な姿を晒すな。感情を隠して。彼に迷惑をかけてはいけない。嫉妬に歪んだ顔を見せては駄目。彼の好きなようにさせるんだ。婚約者だからって口出ししたり、行動を制限はしない。だから、彼が自分との約束を破って友人や他の女性と遊んでも責めたりしちゃ駄目。だって、私は…、ただの義務で決められた婚約者なだけなんだから。
「リエル。見て。これ、素敵でしょう?アルバートがくれたのよ。あたしに似合うからって。」
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