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はなのいろは
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窓から見える花の色がやけに気になる日があった。
真昼の煌めく陽光の下で世界を彩る花の色。人工物の多い風景の中でひときわ目立つ自然の色。
不自然さが同居した美しい色が、今日はやけに気になった。
花、とひとくくりにされている植物たちは、同じ花という括りでは収まらないほどたくさんの花がある。今私の目に見えているだけでも、これら全てをまとめて同じように花と形容することに違和感を覚えるほど、色も形も違う。
違うのに一つの場所にまとめられて、すぐ隣に違うものが在るのにどれもが美しいと思える。違うものの集合体なのに、舗装された道や塗料の塗られた壁と同居しているのが不自然な気がするのに、ただそこに在るだけで花は綺麗だ。
どんな場所でも、どんな咲き方をしても、どんな色をしていても、花は花というだけで美しい。
今日は、たったそれだけのことがとても羨ましく思えた。
生まれ変わったら植物になりたい、なんてことをよく思っていたけれど、私は花になりたかったのかもしれない。
ただそこに在るだけでよくて、生きることに必死で、生きること以外自分には必要なくて、そんな在り様が、とてもとても美しい。そんな存在に、なりたい。
じ、と、窓越しに見える花たちを羨望の眼差しで見つめる。
数瞬の間息を止めてから、ため息。綺麗なものに思わず吐く甘さとほの暗い気持ちを吐いた苦さの同居したため息が微かに窓を曇らせて、音もなく消えた。
花は、綺麗だ。
人は、自分は、綺麗だろうか。
考えようとして、目を閉じて、もう一つため息。細く短く吐いて、目を開ける。
私の気持ちがいくら変わろうと、花の色は変わらない。私が生きる世界のどこかで、いつもいつも綺麗に色づいて、綺麗なまま存在している。
花はそういうものだ。そういうものが世界にあることは、少しだけ嬉しいことだ。
今はそれだけでいい。それだけを感じて、ほんの少しの幸せを私の中に沈めてあげればいい。
私はしばらく窓の外を見つめ、花が地面から養分を吸い上げるように、花の色を映した目と心を楽しませることにした。
紫色の花びらが一つ地面に落ちる瞬間を見るまで、私は窓際から動かなかった。
その日の夜は、カーテンを閉めずに眠りについた。
真昼の煌めく陽光の下で世界を彩る花の色。人工物の多い風景の中でひときわ目立つ自然の色。
不自然さが同居した美しい色が、今日はやけに気になった。
花、とひとくくりにされている植物たちは、同じ花という括りでは収まらないほどたくさんの花がある。今私の目に見えているだけでも、これら全てをまとめて同じように花と形容することに違和感を覚えるほど、色も形も違う。
違うのに一つの場所にまとめられて、すぐ隣に違うものが在るのにどれもが美しいと思える。違うものの集合体なのに、舗装された道や塗料の塗られた壁と同居しているのが不自然な気がするのに、ただそこに在るだけで花は綺麗だ。
どんな場所でも、どんな咲き方をしても、どんな色をしていても、花は花というだけで美しい。
今日は、たったそれだけのことがとても羨ましく思えた。
生まれ変わったら植物になりたい、なんてことをよく思っていたけれど、私は花になりたかったのかもしれない。
ただそこに在るだけでよくて、生きることに必死で、生きること以外自分には必要なくて、そんな在り様が、とてもとても美しい。そんな存在に、なりたい。
じ、と、窓越しに見える花たちを羨望の眼差しで見つめる。
数瞬の間息を止めてから、ため息。綺麗なものに思わず吐く甘さとほの暗い気持ちを吐いた苦さの同居したため息が微かに窓を曇らせて、音もなく消えた。
花は、綺麗だ。
人は、自分は、綺麗だろうか。
考えようとして、目を閉じて、もう一つため息。細く短く吐いて、目を開ける。
私の気持ちがいくら変わろうと、花の色は変わらない。私が生きる世界のどこかで、いつもいつも綺麗に色づいて、綺麗なまま存在している。
花はそういうものだ。そういうものが世界にあることは、少しだけ嬉しいことだ。
今はそれだけでいい。それだけを感じて、ほんの少しの幸せを私の中に沈めてあげればいい。
私はしばらく窓の外を見つめ、花が地面から養分を吸い上げるように、花の色を映した目と心を楽しませることにした。
紫色の花びらが一つ地面に落ちる瞬間を見るまで、私は窓際から動かなかった。
その日の夜は、カーテンを閉めずに眠りについた。
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