スキル名【すんごい、おっぱい】なんだけど、これってどうなの!?

かわさきはっく

文字の大きさ
22 / 65
波乱の魔王軍、介入編

第22話 作戦会議とすんごい神眼

しおりを挟む
 魔導投石機を破壊された魔王軍は混乱し、一時的に攻勢を緩めていた。
 その隙に私たちはグライフェン砦へと帰還した。

「聖女ルルナ様! 万歳! 万歳!」
 城壁の上や砦の中庭で、兵士たちが熱狂的な歓声を上げる。
 誰もが私を「国を救う女神」として、崇めるような目で見ている。その度に私は仲間たちの後ろに隠れ、身を縮こまらせた。

 すぐに私たちは砦の司令官室に呼ばれ、緊急の作戦会議に参加することになった。
 集まっているのは歴戦の騎士や士官たち。部屋の空気は勝利の余韻と、次なる戦いへの緊張感で張り詰めている。

「聖女ルルナ様! あなた様のおかげで、我々は九死に一生を得ました! この御恩、終生忘れませぬ!」
 司令官が興奮した様子で私の手を取り、感謝を述べる。私はただ「い、いえ、私は何も……」と答えるのが精一杯だった。

 会議の議題は敵の総大将――『魔将軍ガザリオス』についてだった。
 彼は魔王軍の中でも特に冷酷で、知略に長けた将軍として恐れられているという。投石機を一つ破壊されたくらいで、諦めて引き返すような男ではない。

「奴が次の一手を打つ前に、こちらから仕掛けるべきだ」
「しかし敵の陣営は固い。正面からの攻撃は被害が大きいぞ」
 騎士たちの間で議論が白熱する。

「勇者殿、そして聖女様」
 司令官が助けを求めるように私たちを見た。
「敵将ガザリオスを討つ、何か良い策はないだろうか?」

 その言葉に、ユウキ様が待ってましたとばかりに立ち上がった。
「策はあります! 我らが聖女ルルナ、彼女こそが必勝の策です!」
(また始まった……)と、私は頭を抱えたくなる。

「まず、ルルナを最前線に配置します。彼女の『絶対防衛反撃』があれば、敵のいかなる遠距離攻撃もカウンターが可能です! 敵が接近すれば、今度は『絶対的魅了』が敵兵の戦意を奪う! まさに無敵の布陣です!」

 ユウキ様が自信満々に語る、私を人間兵器として使う作戦。
 歴戦の騎士たちは、そのあまりに突拍子のない内容に、ただポカンとしている。

「む、むりです! 私、そんなことできません!」
 私がパニックになって、思わず立ち上がった、その時だった。
 勢いよくテーブルに手をついて抗議しようとした私は、机の上の物に気づかなかった。
 私の手が、地図の上に置かれていた、作戦指示用の小さな短剣に当たってしまう。

 弾かれた短剣は、くるくると宙を舞い、広げられた地図の上に、トンッ、と音を立てて突き刺さった。

 部屋が静まり返る。
 全員の視線が地図上の一点に突き刺さった短剣に注がれていた。

「こ、この道は……?」
 若い士官が地図を覗き込み、驚愕の声を上げた。
「まさか敵本陣の裏手に通じる獣道……? こんな見落としがあったなんて……!」

 短剣が指し示していたのは、誰一人として気づかなかった、敵の背後を突くための唯一のルートだったのだ。

 司令官が地図と私を交互に見て、わなわなと震え始めた。
「なんと……! 聖女様は我々が気づかなかった唯一の勝機を指し示してくださったというのか……!」

「見ましたか!」
 ユウキ様が得意満面に叫ぶ。
「これがルルナの『神眼(ゴッド・アイ)』! 戦場の全てを見通し、最適解を指し示す、究極の戦術スキルです!」

「……確率論も、統計学も、もはや意味をなさない……」
 シルヴィアさんが、またしても真理を見失って天井を仰いでいる。

「がはは! シルヴィアは考えすぎなんだよ! 結果が良けりゃ、それでいいじゃねえか!」
 ダインさんが彼女の苦悩を豪快な笑いで一蹴した。

 こうして新たな作戦が決定した。
 砦の主力が正面から陽動攻撃をかけ、その隙に私たち勇者パーティが発見された間道を通って敵の本陣を急襲し、魔将軍ガザリオスの首を取る。

 ただ無茶な作戦に反対したかっただけの私は、いつの間にか全軍の命運を左右する、最重要任務の中心に据えられてしまっていた。
 その役割のあまりの重さに、私はもう、泣くことさえできなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】男装して会いに行ったら婚約破棄されていたので、近衛として地味に復讐したいと思います。

銀杏鹿
恋愛
次期皇后のアイリスは、婚約者である王に会うついでに驚かせようと、男に変装し近衛として近づく。 しかし、王が自分以外の者と結婚しようとしていると知り、怒りに震えた彼女は、男装を解かないまま、復讐しようと考える。 しかし、男装が完璧過ぎたのか、王の意中の相手やら、王弟殿下やら、その従者に目をつけられてしまい……

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...