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波乱の魔王軍、介入編
第25話 凱旋とすんごい英雄
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グライフェン砦の戦いが終わって数日後。
私たちが王都へ向けて出発する日、砦の兵士たちが総出で見送りに来てくれた。
「聖女ルルナ様、万歳!」「勇者様、万歳!」
城門に並んだ兵士たちからの割れんばかりの歓声。
この砦と彼らの命を、そして王国を救った英雄。それが今の私たちだった。私は、その熱狂ぶりに気圧され、ただダインさんの大きな背中に隠れることしかできなかった。
王都ソリスティアへと向かう豪奢《ごうしゃ》な王家の馬車の中は、戦いの後とは思えないほど静かだった。
ユウキ様は珍しく何も喋らず、窓の外を流れる景色を静かに見つめている。魔将軍との死闘は彼に「勇者」という立場の本当の重さを教えたのかもしれない。
シルヴィアさんは小さな手帳に、ものすごい速さで何かを書き込んでいる。きっと私のスキルについて、新たな仮説でも立てているのだろう。
ダインさんは故郷の歌なのか、陽気な鼻歌を歌いながら戦斧を丁寧に磨いている。
私は、そんな仲間たち一人ひとりの顔を、そっと盗み見た。
怖かった。辛かった。でも、この人たちと一緒に戦えたことを心の底から誇らしく思っていた。
王都に近づくにつれて、馬車の外が騒がしくなってくる。
凱旋門をくぐった瞬間、私たちは熱狂の渦に飲み込まれた。
「勇者様ご一行のご帰還だ!」
「聖女様! 我が国を救ってくださり、ありがとうございます!」
沿道は私たちを一目見ようとする民衆で埋め尽くされていた。空には花吹雪が舞い、楽団が祝祭の音楽を奏でている。国を挙げての歓迎だった。
「こ、こんな……」
私は、その光景に、ただ圧倒される。
「ははっ、すごい騒ぎだな! ま、当然か!」
いつもの調子を取り戻したユウキ様が、民衆の声援に応えて、少し得意げに手を振った。
馬車は、そのまま王城へと乗り入れ、私たちはすぐに、国王陛下が待つ謁見の間へと通された。
「面を上げよ、勇者ユウキ、そしてその仲間たちよ!」
玉座から響く、威厳に満ちた声。
「そなたたちの活躍、見事であった! まさに英雄と呼ぶにふさわしい!」
陛下は私たちの功績を最大限に称え、莫大な褒賞と、貴族としての名誉を与えてくださった。
そして最後に、陛下はまっすぐ私を見据えた。
「――そして、ルルナ・フォン・クライネルトよ」
名前を呼ばれ、私の心臓が大きく跳ねる。
「そなたの起こした奇跡は、まぎれもなく神の御業。我が国、いや、この大陸を救う希望の光である。よって、本日この時をもって、そなたに『王国の聖女』の公式な称号を授ける!」
その言葉と共に騎士たちが剣を抜き、高々と掲げる。
謁見の間は、割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。
『王国の聖女』ルルナ。
それが私の新しい名前になった。もう、ただの下級貴族の娘でも、家の恥でもない。
それなのに、私の心は少しも晴れなかった。
その夜。
城に与えられた豪華な一室で、私は一人、窓の外を眺めていた。
「『王国の聖女』! かっこいいじゃないか、ルルナ!」
ユウキ様は無邪気に喜んでくれた。
でも私の耳には、謁見の最後に陛下が言った言葉が、ずっと響いていた。
『――しかし、此度の勝利、魔王も黙っては見ておるまい。次なる一撃は今回をはるかに凌ぐものとなろう。心して備えよ』
聖女なんて、とんでもない。
私は、ただの、少しだけ変わったスキルを授かっただけの、臆病な女の子なのに。
その称号のあまりの重さと、これから訪れるであろう、本当の戦いの予感に、私はただ、身を震わせるしかできなかった。
私たちが王都へ向けて出発する日、砦の兵士たちが総出で見送りに来てくれた。
「聖女ルルナ様、万歳!」「勇者様、万歳!」
城門に並んだ兵士たちからの割れんばかりの歓声。
この砦と彼らの命を、そして王国を救った英雄。それが今の私たちだった。私は、その熱狂ぶりに気圧され、ただダインさんの大きな背中に隠れることしかできなかった。
王都ソリスティアへと向かう豪奢《ごうしゃ》な王家の馬車の中は、戦いの後とは思えないほど静かだった。
ユウキ様は珍しく何も喋らず、窓の外を流れる景色を静かに見つめている。魔将軍との死闘は彼に「勇者」という立場の本当の重さを教えたのかもしれない。
シルヴィアさんは小さな手帳に、ものすごい速さで何かを書き込んでいる。きっと私のスキルについて、新たな仮説でも立てているのだろう。
ダインさんは故郷の歌なのか、陽気な鼻歌を歌いながら戦斧を丁寧に磨いている。
私は、そんな仲間たち一人ひとりの顔を、そっと盗み見た。
怖かった。辛かった。でも、この人たちと一緒に戦えたことを心の底から誇らしく思っていた。
王都に近づくにつれて、馬車の外が騒がしくなってくる。
凱旋門をくぐった瞬間、私たちは熱狂の渦に飲み込まれた。
「勇者様ご一行のご帰還だ!」
「聖女様! 我が国を救ってくださり、ありがとうございます!」
沿道は私たちを一目見ようとする民衆で埋め尽くされていた。空には花吹雪が舞い、楽団が祝祭の音楽を奏でている。国を挙げての歓迎だった。
「こ、こんな……」
私は、その光景に、ただ圧倒される。
「ははっ、すごい騒ぎだな! ま、当然か!」
いつもの調子を取り戻したユウキ様が、民衆の声援に応えて、少し得意げに手を振った。
馬車は、そのまま王城へと乗り入れ、私たちはすぐに、国王陛下が待つ謁見の間へと通された。
「面を上げよ、勇者ユウキ、そしてその仲間たちよ!」
玉座から響く、威厳に満ちた声。
「そなたたちの活躍、見事であった! まさに英雄と呼ぶにふさわしい!」
陛下は私たちの功績を最大限に称え、莫大な褒賞と、貴族としての名誉を与えてくださった。
そして最後に、陛下はまっすぐ私を見据えた。
「――そして、ルルナ・フォン・クライネルトよ」
名前を呼ばれ、私の心臓が大きく跳ねる。
「そなたの起こした奇跡は、まぎれもなく神の御業。我が国、いや、この大陸を救う希望の光である。よって、本日この時をもって、そなたに『王国の聖女』の公式な称号を授ける!」
その言葉と共に騎士たちが剣を抜き、高々と掲げる。
謁見の間は、割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。
『王国の聖女』ルルナ。
それが私の新しい名前になった。もう、ただの下級貴族の娘でも、家の恥でもない。
それなのに、私の心は少しも晴れなかった。
その夜。
城に与えられた豪華な一室で、私は一人、窓の外を眺めていた。
「『王国の聖女』! かっこいいじゃないか、ルルナ!」
ユウキ様は無邪気に喜んでくれた。
でも私の耳には、謁見の最後に陛下が言った言葉が、ずっと響いていた。
『――しかし、此度の勝利、魔王も黙っては見ておるまい。次なる一撃は今回をはるかに凌ぐものとなろう。心して備えよ』
聖女なんて、とんでもない。
私は、ただの、少しだけ変わったスキルを授かっただけの、臆病な女の子なのに。
その称号のあまりの重さと、これから訪れるであろう、本当の戦いの予感に、私はただ、身を震わせるしかできなかった。
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