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波乱の魔王軍、介入編
第38話 神の枷とすんごい涙
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悲しき守護者たちの魂を解放し、私たちはついに神殿の最深部、聖域へとたどり着いた。
そこは、巨大なドーム状の空間だった。壁や天井は、それ自体が淡い光を放つ巨大な真珠でできており、荘厳で、静謐《せいひつ》な光が私たちを包み込む。
空間の中央には祭壇があった。
そして、その上に、それは静かに浮かんでいた。
《嘆きの神の枷》。
まるで、女神の涙がそのまま結晶になったかのような、美しく、そして、どこまでも物悲しいサファイアの腕輪。
それから放たれる強力な哀しみの波動が、私たちの心に直接流れ込んでくる。
ただ、そこにいるだけで、胸が張り裂けそうなほどの悲しみに飲み込まれそうになる。
「……この枷は、あまりに深い悲しみを内包しています」
どこからか、透き通るような女性の声が響いた。
祭壇から、最後の守護者――おそらく、この神殿の巫女の霊が姿を現す。
「これに触れる者は、その悲しみに耐えうる心を持たねばなりません。さもなくば、魂ごと、悲しみに飲み込まれるでしょう」
それは、倒すべき敵ではなかった。資格を問う、最後の試練。
私たちが、どうすべきか答えを出せずにいる、その時だった。
「――見つけましたよ、『神の枷』。そして、噂の『聖女』殿」
背後の入り口から、まるで水が人の形をとったかのように、優雅な立ち姿の魔族が現れた。
その身にまとう魔力は、ガザリオスやヘクサーナとは、また質の違う、底知れない深さを持っていた。
「魔将軍ウラヌス……!」
シルヴィアさんが緊張に声をこわばらせる。
「悲しみに耐える心? くだらない。力ずくで奪うまでです」
ウラヌスは、そう言うと、凄まじい速度で私たちに襲いかかってきた。
彼の腕から、高圧の水流が刃のように放たれ、ユウキ様の聖剣と激しくぶつかり合う。
戦闘が始まった。
しかし、ここは、彼の領域だった。神殿内に満ちる水の魔力を意のままに操り、氷の槍を、水の鞭を、変幻自在に繰り出してくる。
私たちは完全に防戦一方に追い込まれてしまった。
さらに悪いことに、『神の枷』から放たれる哀しみの波動が、私たちの精神を蝕んでいく。
ユウキ様の動きが、迷いを帯びて鈍る。
ダインさんの斧が、重そうに下がる。
(ああ……みんなが……)
私も、その哀しみに胸が押しつぶされそうだった。
でも、それは自分の悲しみではなかった。
この枷に込められた、何千年も、一人ぼっちで泣き続けている誰かの悲しみ。
(かわいそうに……ずっと、一人で、こんなに悲しい思いを……)
私は仲間たちが戦っているのも忘れ、ただ、その悲しみに共鳴し、涙を流していた。
そして、無意識に、その悲しみの源へと歩み寄っていた。
「きゃっ!」
ウラヌスの放った氷の礫《つぶて》に足を取られて、私は転んでしまう。
そのまま、祭壇へと倒れ込んだ。
ぽすん。
私の胸が祭壇に、優しく触れる。
そして、私の瞳からこぼれ落ちた大粒の涙が、宙に浮く《嘆きの神の枷》に、ぽたり、と滴り落ちた。
――その瞬間、世界から哀しみが消えた。
枷から放たれていた、心を蝕む哀しみの波動が、嘘のように、穏やかで温かい、純粋な聖なる波動へと変わったのだ。
その清らかな波動は、私たちの心から迷いと悲しみを洗い流し、新たな力を与えてくれる。
しかし、その波動は魔族であるウラヌスにとっては猛毒だった。
「ぐあああっ! なんだ、この聖なる力は!? 体が……溶ける……!」
ウラヌスは、その身を焼かれるような苦痛に身をよじらせる。
「今だ!」
好機をユウキ様が見逃すはずもなかった。
仲間たちの渾身の一撃が、弱体化した魔将軍に叩き込まれる。
「おのれ、聖女……! このままでは……!」
ウラヌスは捨て台詞と共に、水の渦の中へと姿を消した。
哀しみが消えた枷は、その役目を終えたかのように、祭壇の上へと、ことり、と落ちた。
私が、そっと手を伸ばすと、それは何の抵抗もなく、私の手に収まった。
「……悲しみを……涙で洗い流して、浄化しちまったのか……!」
ユウキ様が呆然と呟く。
「スキル名、『聖なる涙腺崩壊(ホーリー・ティアブレイクダウン)』! なんて都合のいい涙なんだ……!」
こうして私たちは『神の枷』を手に入れることに成功した。
しかし、それは同時に魔王軍が、私のすんごいおっぱいの本当の異常性を、はっきりと認識した瞬間でもあったのだ。
そこは、巨大なドーム状の空間だった。壁や天井は、それ自体が淡い光を放つ巨大な真珠でできており、荘厳で、静謐《せいひつ》な光が私たちを包み込む。
空間の中央には祭壇があった。
そして、その上に、それは静かに浮かんでいた。
《嘆きの神の枷》。
まるで、女神の涙がそのまま結晶になったかのような、美しく、そして、どこまでも物悲しいサファイアの腕輪。
それから放たれる強力な哀しみの波動が、私たちの心に直接流れ込んでくる。
ただ、そこにいるだけで、胸が張り裂けそうなほどの悲しみに飲み込まれそうになる。
「……この枷は、あまりに深い悲しみを内包しています」
どこからか、透き通るような女性の声が響いた。
祭壇から、最後の守護者――おそらく、この神殿の巫女の霊が姿を現す。
「これに触れる者は、その悲しみに耐えうる心を持たねばなりません。さもなくば、魂ごと、悲しみに飲み込まれるでしょう」
それは、倒すべき敵ではなかった。資格を問う、最後の試練。
私たちが、どうすべきか答えを出せずにいる、その時だった。
「――見つけましたよ、『神の枷』。そして、噂の『聖女』殿」
背後の入り口から、まるで水が人の形をとったかのように、優雅な立ち姿の魔族が現れた。
その身にまとう魔力は、ガザリオスやヘクサーナとは、また質の違う、底知れない深さを持っていた。
「魔将軍ウラヌス……!」
シルヴィアさんが緊張に声をこわばらせる。
「悲しみに耐える心? くだらない。力ずくで奪うまでです」
ウラヌスは、そう言うと、凄まじい速度で私たちに襲いかかってきた。
彼の腕から、高圧の水流が刃のように放たれ、ユウキ様の聖剣と激しくぶつかり合う。
戦闘が始まった。
しかし、ここは、彼の領域だった。神殿内に満ちる水の魔力を意のままに操り、氷の槍を、水の鞭を、変幻自在に繰り出してくる。
私たちは完全に防戦一方に追い込まれてしまった。
さらに悪いことに、『神の枷』から放たれる哀しみの波動が、私たちの精神を蝕んでいく。
ユウキ様の動きが、迷いを帯びて鈍る。
ダインさんの斧が、重そうに下がる。
(ああ……みんなが……)
私も、その哀しみに胸が押しつぶされそうだった。
でも、それは自分の悲しみではなかった。
この枷に込められた、何千年も、一人ぼっちで泣き続けている誰かの悲しみ。
(かわいそうに……ずっと、一人で、こんなに悲しい思いを……)
私は仲間たちが戦っているのも忘れ、ただ、その悲しみに共鳴し、涙を流していた。
そして、無意識に、その悲しみの源へと歩み寄っていた。
「きゃっ!」
ウラヌスの放った氷の礫《つぶて》に足を取られて、私は転んでしまう。
そのまま、祭壇へと倒れ込んだ。
ぽすん。
私の胸が祭壇に、優しく触れる。
そして、私の瞳からこぼれ落ちた大粒の涙が、宙に浮く《嘆きの神の枷》に、ぽたり、と滴り落ちた。
――その瞬間、世界から哀しみが消えた。
枷から放たれていた、心を蝕む哀しみの波動が、嘘のように、穏やかで温かい、純粋な聖なる波動へと変わったのだ。
その清らかな波動は、私たちの心から迷いと悲しみを洗い流し、新たな力を与えてくれる。
しかし、その波動は魔族であるウラヌスにとっては猛毒だった。
「ぐあああっ! なんだ、この聖なる力は!? 体が……溶ける……!」
ウラヌスは、その身を焼かれるような苦痛に身をよじらせる。
「今だ!」
好機をユウキ様が見逃すはずもなかった。
仲間たちの渾身の一撃が、弱体化した魔将軍に叩き込まれる。
「おのれ、聖女……! このままでは……!」
ウラヌスは捨て台詞と共に、水の渦の中へと姿を消した。
哀しみが消えた枷は、その役目を終えたかのように、祭壇の上へと、ことり、と落ちた。
私が、そっと手を伸ばすと、それは何の抵抗もなく、私の手に収まった。
「……悲しみを……涙で洗い流して、浄化しちまったのか……!」
ユウキ様が呆然と呟く。
「スキル名、『聖なる涙腺崩壊(ホーリー・ティアブレイクダウン)』! なんて都合のいい涙なんだ……!」
こうして私たちは『神の枷』を手に入れることに成功した。
しかし、それは同時に魔王軍が、私のすんごいおっぱいの本当の異常性を、はっきりと認識した瞬間でもあったのだ。
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