スキル名【すんごい、おっぱい】なんだけど、これってどうなの!?

かわさきはっく

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すんごい、おっぱいは世界を救う(?)編

第49話 砦とすんごい暴走

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 魔物たちを退け、私たちはついに、因縁の地であるグライフェン砦へとたどり着いた。
 しかし、砦は不気味なほどの静寂に包まれていた。
 魔王軍の姿も、魔物の気配もない。ただ、砦の城門、そしてその奥の地下祭壇へと続く入り口が、ゆらめく巨大な魔力の壁によって、固く閉ざされているだけだった。

「……これは、純粋な魔力の壁。物理攻撃は通用しません」
 シルヴィアさんが険しい顔で分析する。
「しかも、特定の属性がないため、私の魔法でも相殺は困難です。下手に攻撃すれば、暴走してこの一帯が吹き飛ぶ危険性さえあります」

「どうすんだよ、これじゃ、中に入れねえじゃねえか」
 ダインさんが斧を担ぎ直しながら、忌々しげに言った。

 私たちは、またしても手詰まりになってしまった。
 その時だった。
 私は、これまでの数々の奇跡を思い出していた。
 湖を浄化した奇跡。騎士たちを癒やした奇跡。古代魔法を起動させた奇跡。
 そのどれもが、私の胸が何かに触れた時に起こった。

(もしかしたら……私にも、できるかも)

 仲間を助けたい。役に立ちたい。
 その一心で、私は、ほんの少しだけ芽生え始めていた自信を勇気に変えた。

「あの……私、やってみます」
 私の突然の申し出に、仲間たちが驚いた顔で私を見る。

 私は魔力の壁の前に、一人、進み出た。
 そして、これまでの人生で最も恥ずかしい、しかし、最も決意に満ちた行動に出た。
 目をぎゅっとつぶり、自分の胸を自分の両手で、そっと包み込んだ。

(お願い……! みんなを守る力を私に……!)

 えいっ。
 私は意を決して、自分の胸を、軽く、揉んだ。

 ――スキルは確かに発動した。

 私の体から、まばゆい光が溢れ出す。
 しかし、その光は、いつもと、どこか違った。
 温かい黄金の光ではない。虹色の、どこか不安定で、禍々しささえ感じる混沌の光。

 その光は魔力の壁に向かうのではない。
 くるりと向きを変えると、私たちの仲間へと襲いかかったのだ。

「うわっ!?」
 ユウキ様の聖剣から、神々しい光が消え、ただの重たい鉄塊に変わってしまう。
「聖剣が!」

「……は? 俺の斧が……」
 ダインさんの巨大な戦斧が、ぽん、と軽い音を立てて、色とりどりの可愛らしい花束に変わってしまった。

「……私の術式が、シャボン玉に……」
 シルヴィアさんの杖の先から、綺麗なシャボン玉が、ぷかぷかと浮かび上がる。

 私が身に着けていた装備に宿っていた、体を軽くする神聖な加護も消え、冒険者としての装備の本来の重さが、ずしり、と肩にのしかかった。
「きゃっ! 重い!」

 私のスキルは暴走した。
 仲間を助けるどころか、私たちの武器を完全に無力化してしまったのだ。
 それだけではない。
 私の放った混沌の魔力に反応し、目の前の魔力の壁がさらに巨大化し、私たちを押し潰さんと、迫ってくる。

「ご、ごめんなさい……! 私、私……!」
 私は自分が引き起こした最悪の事態に、ただ、涙を流すことしかできなかった。

 武器は、ない。奇跡も、もう期待できない。
 後ろには絶望する仲間たち。
 前には、迫りくる死の壁。

 しかし、その絶望の淵で。
 ユウキ様は重くなっただけの剣を、それでも強く握りしめ、不敵に笑った。

「……なるほどな。そういうことか」
 彼は私たちを、一人ひとり、見回した。
「どうやら、こいつは、俺たちの本当の力で乗り越えきゃいけないらしいぜ!」

 私のすんごいおっぱいが引き起こした、すんごいピンチ。
 それは、私たちの本当の絆が試される試練の始まりだった。
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