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第三章 戦王の咆哮
第67話 三振りの短剣
セリスのための剣、風哭が完成してから数日。俺たちはグレンダの工房に再び集まっていた。
「さて、次は俺たちの番だな」
俺の言葉にエルンとルナがうなずく。
三人で揃って短剣を打ってもらうという話はセリスの剣が完成したあの日に決まっていた。
「お揃いの剣、楽しみっ! ルナ、カインとエルンとお揃いって、なんだかすっごく嬉しい!」
ルナは両手を胸の前で握りしめて、ぴょんぴょんと小さく跳ねながら無邪気な笑顔を見せた。
「お揃いってのは戦う仲間としての絆だよ。俺はそう思ってる」
そう答える俺にグレンダは腕を組んでうなずいた。
「ふん、じゃあ気合い入れてやるさ。短剣なら素材の取り回しも楽だし、三本まとめて鍛えてやるよ」
グレンダは用意していたヴァルグリム鉱の小片を選別し、各人の体格や魔力との相性を見ながら、大きさや重心を調整していく。
「カインには精密制御しやすいバランス、エルンには魔力伝導率の高い刃、ルナには反応速度を活かせる軽量設計だな」
グレンダが淡々と技術を語る中、俺は再び水魔法での加工補助に取りかかる。
加工は順調に進んだ。セリスの剣のときのような大きな失敗もなく、三人の短剣は着実に形を成していく。
「仕上がってきたぞ。見てみな」
グレンダが一振り目を差し出す。銀色の刀身に淡い青が混ざる短剣で、刃渡りは手のひらほど。まるで水が流れるような滑らかな形状だ。
「これは……」
俺が手に取ると、まるで自分の魔力が刃に通じているような感覚が走る。
「すごいな、魔力の流れがそのまま刃に乗る感じがする」
「そりゃあたしの手で、あんたの魔法に合わせてしっかり鍛えたんだよ。出来が悪いなんて言うなら、鉄床の上に寝かせて叩き直してやろうかねぇ?」
続いてエルンが自身の短剣を受け取る。刀身は金属内部の結晶構造が独特の模様を作っており、それが角度によって淡い光を放った。
「……精霊が共鳴してる?」
エルンが驚いたように目を見開く。
「おそらくな。あんたの魔力の特性が精霊の導管みたいに刃を通ってるのさ」
最後にルナが受け取った短剣は小ぶりで軽量。刀身にはまるで燃え上がる炎の揺らめきのような赤みを帯びた模様が浮かんでいた。
「軽いっ! 切れ味はどうかな?」
ルナが試しに用意された干し肉の塊を斬ると、スッと音もなく真っ二つになった。
「わ、すごい……!」
ルナが目を輝かせるのを見て、グレンダが微笑む。
俺は自分の短剣をじっと見つめた。精霊との結びつきを感じる刃は意志を持っているかのようにすら思えた。
「これは……戦うための道具ってだけじゃないな。仲間たちと肩を並べるための証みたいなもんだ」
俺の言葉にエルンも短剣を胸元で握りしめるように持ち、静かにうなずいた。
「はい。……この刃があれば、共に歩いていける気がします」
ルナは相変わらず短剣を構えて、楽しげに軽く素振りしていたが、ふと真顔になって言った。
「これで、カインを守る力になれるかも。ルナ、頑張る」
「それぞれにぴったりの短剣を……本当にありがとうございます。グレンダ殿」
エルンが丁寧に頭を下げるとグレンダは照れ隠しのように咳払いをしてから言った。
「切れ味なら保証付きだ。手加減しないといけないくらいさ」
その様子を少し離れたところで見ていたセリスがゆっくりと歩み寄る。
「皆様にも、素晴らしい武器が出来たのですね。……とても、お似合いです」
そう言って微笑むセリスの瞳には仲間としての誇らしさと、静かな決意が宿っていた。
「カイン殿と歩むこの道が、きっと正しいものだと、あらためて感じました」
「礼なんていいさ。セリスがその剣で身を守って、無事でいることが一番嬉しいんだから」
セリスは三本の短剣を順に見つめ、満足げにうなずいた。
こうして、俺たち三人も、それぞれの武器を手に入れた。その刃はただの道具ではなく、仲間としての絆。戦いの中で共に歩む証となる——そう感じられる一日だった。
「さて、次は俺たちの番だな」
俺の言葉にエルンとルナがうなずく。
三人で揃って短剣を打ってもらうという話はセリスの剣が完成したあの日に決まっていた。
「お揃いの剣、楽しみっ! ルナ、カインとエルンとお揃いって、なんだかすっごく嬉しい!」
ルナは両手を胸の前で握りしめて、ぴょんぴょんと小さく跳ねながら無邪気な笑顔を見せた。
「お揃いってのは戦う仲間としての絆だよ。俺はそう思ってる」
そう答える俺にグレンダは腕を組んでうなずいた。
「ふん、じゃあ気合い入れてやるさ。短剣なら素材の取り回しも楽だし、三本まとめて鍛えてやるよ」
グレンダは用意していたヴァルグリム鉱の小片を選別し、各人の体格や魔力との相性を見ながら、大きさや重心を調整していく。
「カインには精密制御しやすいバランス、エルンには魔力伝導率の高い刃、ルナには反応速度を活かせる軽量設計だな」
グレンダが淡々と技術を語る中、俺は再び水魔法での加工補助に取りかかる。
加工は順調に進んだ。セリスの剣のときのような大きな失敗もなく、三人の短剣は着実に形を成していく。
「仕上がってきたぞ。見てみな」
グレンダが一振り目を差し出す。銀色の刀身に淡い青が混ざる短剣で、刃渡りは手のひらほど。まるで水が流れるような滑らかな形状だ。
「これは……」
俺が手に取ると、まるで自分の魔力が刃に通じているような感覚が走る。
「すごいな、魔力の流れがそのまま刃に乗る感じがする」
「そりゃあたしの手で、あんたの魔法に合わせてしっかり鍛えたんだよ。出来が悪いなんて言うなら、鉄床の上に寝かせて叩き直してやろうかねぇ?」
続いてエルンが自身の短剣を受け取る。刀身は金属内部の結晶構造が独特の模様を作っており、それが角度によって淡い光を放った。
「……精霊が共鳴してる?」
エルンが驚いたように目を見開く。
「おそらくな。あんたの魔力の特性が精霊の導管みたいに刃を通ってるのさ」
最後にルナが受け取った短剣は小ぶりで軽量。刀身にはまるで燃え上がる炎の揺らめきのような赤みを帯びた模様が浮かんでいた。
「軽いっ! 切れ味はどうかな?」
ルナが試しに用意された干し肉の塊を斬ると、スッと音もなく真っ二つになった。
「わ、すごい……!」
ルナが目を輝かせるのを見て、グレンダが微笑む。
俺は自分の短剣をじっと見つめた。精霊との結びつきを感じる刃は意志を持っているかのようにすら思えた。
「これは……戦うための道具ってだけじゃないな。仲間たちと肩を並べるための証みたいなもんだ」
俺の言葉にエルンも短剣を胸元で握りしめるように持ち、静かにうなずいた。
「はい。……この刃があれば、共に歩いていける気がします」
ルナは相変わらず短剣を構えて、楽しげに軽く素振りしていたが、ふと真顔になって言った。
「これで、カインを守る力になれるかも。ルナ、頑張る」
「それぞれにぴったりの短剣を……本当にありがとうございます。グレンダ殿」
エルンが丁寧に頭を下げるとグレンダは照れ隠しのように咳払いをしてから言った。
「切れ味なら保証付きだ。手加減しないといけないくらいさ」
その様子を少し離れたところで見ていたセリスがゆっくりと歩み寄る。
「皆様にも、素晴らしい武器が出来たのですね。……とても、お似合いです」
そう言って微笑むセリスの瞳には仲間としての誇らしさと、静かな決意が宿っていた。
「カイン殿と歩むこの道が、きっと正しいものだと、あらためて感じました」
「礼なんていいさ。セリスがその剣で身を守って、無事でいることが一番嬉しいんだから」
セリスは三本の短剣を順に見つめ、満足げにうなずいた。
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