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第五章 影理の司祭
第115話 光の反撃
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短剣を振り抜いた瞬間、空間にひびが走った。
シャルガの周囲を囲んでいた理式の術式が鋭い音もなく、ばらばらと崩れていく。
破壊された術式の断片が消えていくのを見ながら俺は息を詰めた。
「——やった、止まった……!」
だが、すぐに膝が崩れた。魔力を限界まで刃に注ぎ込んだ反動が全身を襲う。
視界が揺れる。シャルガが静かに顔を上げるのが見えた。仮面の奥、その目は変わらず無感情だった。だが、術式を破られた彼の手は止まっていた。その間をカズエルは見逃さなかった。
「よくやった、カイン……今だ!」
自身にかけられた『ヴェルナス』を解除したカズエルが空中に素早く術式を描く。彼の指が空気をかき分けるたび、淡い光が軌跡をなぞり、理式が構築されていく。
「『ヴェルナス』の効果範囲、認識完了。……術式介入、開始!」
カズエルが展開したのは、精緻なカウンター理式——。
干渉式・逆相律。
緻密に組まれたコードのような理式が静かに発動し、空間に染みこんだ『沈黙の封印』に干渉を開始する。
「一気にいくぞ……!」
カズエルの魔力が閃いた。
次の瞬間、音が戻った。足音、呼吸、剣の震え——仲間たちの存在が空間に『声』として還ってきた。
「ん……な、なにが起こったの……!?」
最初に立ち上がったのはルナだった。混乱しながらも、すぐに短剣を構え直す。
続いてエルン。静かに目を開き、風を読むように手を広げる。
「空気が動いてる……カズエルが封印を解いてくれたのね……!」
セリスも息を整え、地を蹴って立ち上がる。
「暗闇に支配されたと思ったけれど……今は見えます!」
誰も言葉を交わさずとも、今が反撃のときだと分かっていた。
「ヴェルナス……破られた、か?」
シャルガの声が低く響いた。その仮面の奥で、何かがわずかに揺れたような気がした。
そして——。彼は再び片手を掲げた。
「再構成、発動」
空間に新たな術式が浮かび上がる。またしても『ヴェルナス』……! けれど——。
「無駄だ!」
カズエルがすかさず対抗理式を起動させる。
「干渉式・封律断層! お前の術式はもう、こっちが読んだ!」
シャルガの術式が揺れ、文字列が崩れる。ヴェルナス、再封印——失敗。
仲間たちは動いた。セリスが真っ先に飛び出し、地を蹴って距離を詰める。
「させない!」
鋭く振るわれた剣がシャルガの右腕を斬り裂いた。腕が宙に浮き、仮面の影がかすかに歪む。しかし次の瞬間、シャルガの身体はゆらりと揺れ——。そのまま空間から消えた。斬り落とされた右腕だけを残して——。
「逃げた……?」
ルナが息を呑む。
俺は剣を下げながら、すぐにカズエルへと駆け寄った。
「カズエル、やつはまだ近くにいるか!?」
「……わからない。だが、空間の裏に潜んだまま、この場を消し飛ばす準備をしている可能性が高い」
カズエルは焦ったように理式を組み直し始める。
「今すぐ起動する……だから、カイン、エルン……お前たちの『光』をありったけ、俺の理式にぶつけてくれ!」
背後では斬り落とされた腕がゆっくりと蒸発しはじめていた。
この空間の最奥で——。
何かが、もう一度、蠢いている。
シャルガの周囲を囲んでいた理式の術式が鋭い音もなく、ばらばらと崩れていく。
破壊された術式の断片が消えていくのを見ながら俺は息を詰めた。
「——やった、止まった……!」
だが、すぐに膝が崩れた。魔力を限界まで刃に注ぎ込んだ反動が全身を襲う。
視界が揺れる。シャルガが静かに顔を上げるのが見えた。仮面の奥、その目は変わらず無感情だった。だが、術式を破られた彼の手は止まっていた。その間をカズエルは見逃さなかった。
「よくやった、カイン……今だ!」
自身にかけられた『ヴェルナス』を解除したカズエルが空中に素早く術式を描く。彼の指が空気をかき分けるたび、淡い光が軌跡をなぞり、理式が構築されていく。
「『ヴェルナス』の効果範囲、認識完了。……術式介入、開始!」
カズエルが展開したのは、精緻なカウンター理式——。
干渉式・逆相律。
緻密に組まれたコードのような理式が静かに発動し、空間に染みこんだ『沈黙の封印』に干渉を開始する。
「一気にいくぞ……!」
カズエルの魔力が閃いた。
次の瞬間、音が戻った。足音、呼吸、剣の震え——仲間たちの存在が空間に『声』として還ってきた。
「ん……な、なにが起こったの……!?」
最初に立ち上がったのはルナだった。混乱しながらも、すぐに短剣を構え直す。
続いてエルン。静かに目を開き、風を読むように手を広げる。
「空気が動いてる……カズエルが封印を解いてくれたのね……!」
セリスも息を整え、地を蹴って立ち上がる。
「暗闇に支配されたと思ったけれど……今は見えます!」
誰も言葉を交わさずとも、今が反撃のときだと分かっていた。
「ヴェルナス……破られた、か?」
シャルガの声が低く響いた。その仮面の奥で、何かがわずかに揺れたような気がした。
そして——。彼は再び片手を掲げた。
「再構成、発動」
空間に新たな術式が浮かび上がる。またしても『ヴェルナス』……! けれど——。
「無駄だ!」
カズエルがすかさず対抗理式を起動させる。
「干渉式・封律断層! お前の術式はもう、こっちが読んだ!」
シャルガの術式が揺れ、文字列が崩れる。ヴェルナス、再封印——失敗。
仲間たちは動いた。セリスが真っ先に飛び出し、地を蹴って距離を詰める。
「させない!」
鋭く振るわれた剣がシャルガの右腕を斬り裂いた。腕が宙に浮き、仮面の影がかすかに歪む。しかし次の瞬間、シャルガの身体はゆらりと揺れ——。そのまま空間から消えた。斬り落とされた右腕だけを残して——。
「逃げた……?」
ルナが息を呑む。
俺は剣を下げながら、すぐにカズエルへと駆け寄った。
「カズエル、やつはまだ近くにいるか!?」
「……わからない。だが、空間の裏に潜んだまま、この場を消し飛ばす準備をしている可能性が高い」
カズエルは焦ったように理式を組み直し始める。
「今すぐ起動する……だから、カイン、エルン……お前たちの『光』をありったけ、俺の理式にぶつけてくれ!」
背後では斬り落とされた腕がゆっくりと蒸発しはじめていた。
この空間の最奥で——。
何かが、もう一度、蠢いている。
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