すずしろの浅漬け

すずしろ

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何でもかんでもひ・み・つ  迷子拾いました

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物騒な世の中ですから学校では、「知らない人に名前など教えない。」と教育しています。

でもね、時と場合によると思うんですよね。

客先から出てきて、ふと見ると、向こうから様子のおかしな女の子が歩いてきました。
泣いてるよね、あれ。

「どうしたの?」
一瞬悩みましたが、そのままにはしておけなくて声をかけたら、泣きながら走り寄ってきて言うには、
「お家が分かんなくなったの。」

あー、迷子か。
でも今って個人情報保護のため、下手に聞けないんだよなあ。

ティッシュ渡して聞き出せたのは、引っ越してきて間がなく、今日はお友達の家に遊びに行った帰りの小4さんという事。
私のスマホ貸して、家に電話させる?
いやいや、知らない人に家の番号知られたと嫌がる親かもしれない。

出会った所からもう少し先に行けば公立小学校あるから、そこに連れて行ってみる?
いやいや、知らない道に来ちゃって不安になってるんだし、悪い事に今いる場所、大きな木が沢山あって薄暗いんだよね。その先の所に誘導されるのは怖いだろう。
しゃーないな。

「大丈夫だよ、取り敢えずおばちゃんと一緒に今来た道戻ろうか。あっちのが明るいしさ。」
「・・・うん」

お友達と何して遊んだの?
おばちゃんは子供二人いてね。
何て話しながら歩いていくと、同じ年齢の女の子が二人

「あ、○○ちゃんどうしたの?」
おっ、やったね、多分さっきまで遊んでたお友達だ。
「・・・・、なんでもない・・。」

迷子になって泣きましたとは言いたくないよなあ。
と思っていたら突然そのうちの一人が私の前に立ち塞がりました。

「あなたはだあれ?」
おやおや、いいぞこの子、友達守るために知らない奴に誰何してきた。
「とっても親切な通りがかりのおばちゃんさ。」
「そっか^^、○○ちゃんまたねー。」

へ?
それで納得?まあいいか。

その子達と別れてさらに進むとバス通りの丁字路です。
迷子ちゃんに聞くと、お友達の家までは、お家から真っ直ぐ歩いてきたとか。
なるほどね、さっきの子供の家って、玄関が道路に面してなかったから、帰る時錯覚したんだね。

本当は、左にちょっと出て、そこから丁字路をまっすぐ行けば大丈夫だったのにね。
どっちに曲がればいいかわからないというので、家の近くに何があったか聞くと、コンビニの名前。
ああならこっちだよと教えて歩くうちに、やっと見たことのある所に出たようでした。

なんだよ、この子、私の客先の入っているマンションの子かあ。
最初っから教えてくれればすぐ連れていけたのに。
とは、ちょっとばかり考えましたけれどね。

子供を守るために活動している大人の方は沢山おられますけれど、悪辣な奴も増えているのは事実。
昔みたいに近所はほとんど顔見知りという環境は夢なんでしょうね。
子供なりの自衛のためには、身元を軽々に明かさないのは仕方がない事ですが、なんだかなあ。

泣いてる子供がいても、気を使いまくらないと手を差し伸べられない世の中って、かなり違うと思うのね。

マンションの前の横断歩道まで送って別れましたが、ちょっともやもや・・。

でもその後に約束していた客先でこの話したら、同じ年のお孫さんいる方だったんで、物凄く感謝されました。

まあ、また同じようなことがあれば、私は手を貸すでしょう。
おせっかいおばちゃん、上等です。







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