どこかで見たような異世界物語

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第十一章

第289話 戦果報告

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「ただいま」

「おぅ、お帰り。無事戻ってきたようで何よりだぁ」

「無事……ではあるが、課題が残る内容だったよ」

「まあまあ、そこらへんの話は中でゆっくりしようじゃあないかぁ」


 信也ら『プラネットアース』が拠点へと戻ると、すでに北条たちは帰還していたようで、各自拠点内で自由行動を取っている所だった。
 今回は両パーティー共に一か月近い探索になったので、こうして顔を合わすのは久々だ。その分積もる話もあるだろう。

 最初に信也らに気づき応答したのは北条だったが、話している間にも『プラネットアース』の帰還に気づいたようで、龍之介やカタリナらもやってくる。
 門の近くで話すのも何なので、そのまま中央館にまで移動する。


「で、ですね。その時せっかく倒したストーンゴーレムをまたボスが呼び出してですね……」

 道中、冒険中のきつかった部分を必死に語る咲良。それを北条はうんうんと頷きながら黙って聞いている。
 ロベルトも同じような事をカタリナに語り続けているが、こちらは右の耳から入って左の耳から流れていっている状態。
 それでもいいのか、或いは気づいていないのか、ロベルトは苦戦した戦闘についてを語っていく。

 そういった話は中央館の会議室に到着してからも続き、結局そのまま雑談的に今回の冒険について、互いの成果を話し合う事になった。
 『サムライトラベラーズ』のその他の面々も全員拠点内にはいたので、すでに会議室には両パーティーメンバーは集結済みだ。



「……となると、そちらも守護者ガーディアンを倒して無事にエリア制覇したという事か」

「そうだぁ」

「はぁぁぁ……。つっても、北条のオッサンがいなければ相当やばかっただろうけどなー」

「そうですね。あのボスのしぶとさは異常でしたし……」

「慶介くんの"ガルスバイン神撃剣"を二回あてても倒せませんでしたからね」

「というか、ホージョーがいなければ私たち今頃生きてるかも分からないわよ」

 北条たちも地下迷宮エリアを先へと進み、三十層にて無事守護者ガーディアンを倒して戻ってきたらしい。
 龍之介の語ったところによると、二十六層からはCランクの魔物の割合も多くなっていったそうで、その時点で北条頼りにはなっていたそうだ。

 そして最深層である三十層では、雑魚として出た場合はCランクの実力がある、グローツラングという全長が軽く十メートルを超す大蛇のボスとの戦闘に入った。

 信也らが戦ったルームイミテーターが、通常ではDランクの魔物である事を考えると、それ以上の強敵であるのは明らかだ。
 特に守護者ガーディアン番人キーパーとして立ちはだかる魔物は、HPなどのステータス強化と共に、通常は使ってこないスキルなども使用してくる。
 ルームイミテーターも、本来ならストーンゴーレムの召喚などは行えないのだ。


「いや、アイツにはほんと参ったぜ……」

 いつも強気な龍之介が弱音を吐いてしまうほど、守護者ガーディアンのグローツラングは強かったらしい。
 特に元々グローツラングのHPが多かったせいか、しぶとさについては、折り紙付きだったようだ。

「ふうん。アンタがそう言うって事は相当なのね」

「ああ。アレとまともにやりあうにはまだまだ早いって思ったぜ」

「私達も、今回はちょっとばかし無理しちゃったわね」


 そうは言いつつも、両パーティー共に脱落者なしにダンジョンのエリアを制覇しているのだ。
 すでに北条たちは冒険者ギルドに行った際に、北条以外のメンバーもDランクに昇格するという話を受けていた。

 簡単な実技によるテストもあるとのことなので、ダンジョンから帰って来たばかりの北条たちは後回しにしてあるのだが、恐らく信也達もギルドに行けば同じような話をされる事だろう。

「そういや、リーダー達……じゃなかった。和泉リーダー達は、どんな祝福をもらったんだ?」

「俺は"器用貧乏"というスキルを手に入れた。他のみんなは……」

「私は多分魔力が強化されたとは思うんだけど……」

「僕はショージキよく分からないッス!」

「と、いった具合でな」

「それならオッサンの"解析"で見てもらえばいーんじゃね?」

「え? でもスキルをもらったんならともかく、祝福は"鑑定"では見れないんじゃないッスか?」

「それがそうでもないのよねえ」

 神碑に触れた事で得られた祝福について語る一同。
 最後にカタリナが呆れた声音で言う。

「俺の"解析"スキルならダンジョンの"祝福"もバッチリ見えるぞぉ。というか、この祝福という奴も結局は特殊なスキルらしくてなぁ。『ユニークスキル』が通常の鑑定では見れないのと同じようなもんだぁ」

「へぇー、それは凄いッスね。じゃあ、早速見てもらいたいッス」

「承知したぁ。ええと、お前さんは……"生命の祝福Ⅰ"。HPが上昇するスキルだな」

「えいちぴー……。僕らが言うところの生命力の事ッスね」

「そうだぁ。で、陽子は"精神の祝福Ⅰ"。咲良は魔力で、由里香は体力。芽衣は"マナの祝福Ⅰ"といって、MPが上昇するようだなぁ」

「おー、体力っすか」

「えむぴーって事は~、魔法がもっと使えるって事ね~」

「あ、やっぱ私のって魔力だったんですね。ところで名前の後の数字ってのは一体……?」

「恐らく重ねて祝福されることで、効果が上昇していくんだろう。あのおっかないエルフのねーちゃんは、魔力の祝福がⅡだったぞぉ」

「おっかないエルフのねーちゃんって……」

 それがエスティルーナの事を言っているのは、陽子にも分かった。
 ぞんざいな北条の言い方だが、それで伝わってしまう辺り、そう間違った言い方ではないのかもしれない。

「あー、例のAランクの冒険者って奴か」

「それよりも、和泉の"器用貧乏"っていうスキル。これはかなりの当たりだなぁ」

「やはりそうなのか?」

 "解析"スキルは、スキル所持者以上にそのスキルについての情報を知る事も出来る。
 北条がそう言うのならば、やはり自分の感じた事は間違ってなかったんだと、信也は思った。

「あぁ。こいつぁ、『ユニークスキル』に分類されているから、普通の鑑定では見えんだろうがぁ……」

「え、オッサン? 『ユニークスキル』っていったらアレだろ? 『レアスキル』より上の奴だろ?」

 二人の会話につい割り込んでしまう龍之介。

「そうだぁ。『ユニークスキル』は、ツヴァイの"コピー"スキルや、ロベルトの"スキルスティール"などの影響も受ける事はない。それだけで格が違うというのは分かるだろう?」

「そうなのか」

 龍之介だったら小躍りして喜んでいそうな事だが、信也の反応は冷めたものだった。
 信也が思っていたのは、これで少しは身を守れるようにはなるかも、というクソ真面目なものだ。

「俺の称号の効果と合わせればぁ、未獲得のスキルを取得しやすくなる。そうして和泉自身も称号を獲得していけばぁ、更にスキル取得は加速するだろう」

「なるほど」

「え、ちょっと。『なるほど』じゃなくて、今のどういう意味よ?」

 半分生返事で返した信也だが、今のやりとりにカタリナが食いつく。

「どういう意味って……。あー、スキル習得によって得られる称号の効果をちゃんと説明してなかったっけかぁ?」

 そう言って、北条はスキルを取得する事で得られる、称号効果について語っていく。

「この称号には五段階あってなぁ。一段階目と二段階目は、スキルの効果がアップ。三段階目はそれプラス、誰かに教える際に相手の得られる熟練度が増加する効果がある」

 なおスキル効果アップについても、段階が上がるごとに倍率が上がっていくらしい。

「そして四段階目になると、自身のスキル熟練度の獲得にプラス補正がつく」

 例えば闘技スキル系の四段階目の称号。
 『闘技スキルの限界に挑みし者』であるならば、四十八個の闘技スキルを取得する事で得る事が出来る。
 この称号を得る事で、既存の取得済のスキルだけでなく、まだ覚えていないスキルを取得する際にも補正効果が働き、よりスキルを覚えやすくなるらしい。

「四十八個って……」

「そんなに同種のスキルを取得した人、聞いたこと無いッス」

「まーそうだろうなぁ。"普通"に考えるならスキル称号系は、三段階目が獲得出来る限界だと思うぞぉ」

「ちなみにオッサン。今のが四段階目って事なら、五段階目はどーなってんだよ?」

「……五段階目の効果は中々エグイぞぉ。こうもゲーム的なシステムなんだから、誰かがこれを考えたんじゃないかと思うんだがぁ、達成できるものとは思わずに設定したんじゃないかっていう……」

「そういうのはいいから、効果を教えてくれよ」

「あー、効果はだなあ。スキルレベルに必要な熟練度を一律下げるというモンだぁ」


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