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翌朝王城まで行くとミッドを呼び出してもらう。
ミッドには事前に自転車を作ることを言って要望を聞いてある。とにかく筋トレの役に立つものだった。
相変わらずの脳筋だがその辺は予測済みだったので単純に重さ軽減なのど魔法を付与せずにギアもそこそこ重いものを使っている。そのぶんスピードに乗れば戦車並みの突進力が出てしまうのでブレーキには力を注いで急な停車でも慣性の法則を無視した停車ができるようになり、搭乗者への負荷もほとんど無いように計算している。
あとはモンスターなどを跳ね飛ばしてもタイヤが痛まないように前方に結界を張るようにしているが結界による空気抵抗は軽減していない。多分そのほうがミッドは嬉しいだろうし魔力をケチってゲーム時代は用途不明の空気抵抗を受けるほどに結界の強度を高くなる魔力消費をほとんどせずに張ることのできる結界を採用している。
城からミッドがやってくると自転車を取り出し使い方と機能を説明して受け渡すのだがミッドの後ろにナターシャがいる。いったい何の用なのだろうか?
ミッドが頬を緩め嬉しそうに自転車に跨ると「試してくる」と言い残してどこかへ走り出すとニコニコと笑顔のナターシャが一歩歩みでる。
「レイン様おはようございます。」
「おはよう。」
丁寧な挨拶だがどこか威圧感がある。
「例のものですが何時頃になりそうですか?」
例のもの??はてなんのことだろうかと思ったところで思い出す。
レインが少し考える様子を取ると生理用品を頼まれていたことを思い出す。
思い出した時には時すでに遅し。全く何も考えていなかったレイン。定期的に用意するとかも言ってたような気がするしちょっと安易に返事をしすぎたことに後悔する。
「まさかお忘れに?」
「あ、いや、忘れてたわけではないんだけどね。その~たくさん作るにはちょっと…ね?」
「そう、ですか。確かに量産するのは難しいのでしょうね。ですがこれは世の女性のためになるのです!なので早めに!ぜひ!なんだったら指名依頼にいたしましょうか?」
「え!いや、それはさすがに。大体そんなことすれば俺のランク的にそんなに安くはならないですよ」
「いえいえ。確かに安くはないのかもしれませんがレイン様にいただいた例のものですが同僚に話したところ宮中のものにもしれましてとある貴族様の奥方が量が多くて困っていらっしゃるらしくお渡ししたところ大変喜んでいらしてですね。奥方が自由にできる範囲で援助なさりたいと」
知らぬ間におおごとになってることに驚愕するレイン。たかが生理用品がここまでか!?と思う反面自身が女性の体であった経験上それも仕方ないことだというのも理解してるため逃げるという手段も取り難い。
レイン自身学校の体育の後なかなか悲惨な目にあったことがあるのだ。替えの下着もないし我慢したがあの不快感ったらなかった。どんなタイプかにもよるのだろうが量が多いとなると衛生面を考えても大変だろう。
そう思うと今日出発予定だったがどうも出発する気になれない。
「えっと…じゃあミヤビの店の方で作るように」
「レイン様。あそこは紹介がなければ入れない店ですよ?」
「あ…どうしよう」
「はぁ。では私の知り合いの店にでも…いえ、ここは新たに店を展開してはどうでしょうか?レイン様は下着類の作成もできますよね?」
「え?」
「2人から裁縫も得意で下着の調整もしたとお聞きしましたが?」
「……そ、そうですね」
まさかエルルの中で女性陣がそんな話をしてるとは思っていなかったレイン。だがよく考えれば一緒に寝泊まりしていて着替えまで一緒の部屋なのだから作りのいい下着を見れば誰だって話を振る。ガールズトークなんてそういう話も多いので当然と言えば当然だろう。元女性とは言えその辺がちょっと抜けてるレインである。
性同一性障害の弊害とでもいえよう。
「では、その…そう!当分はミヤビの工房を借りて作るのでどこか良さげな小さい店舗を探してもらえますか?毎回持ってくるのもちょっとあれなんでそちらで自分の好みのものを購入する形にしましょう。」
こうなりゃヤケクソだとレインも腹をくくる。
「小さい店舗ですか?」
「そう、小さい店舗。普通の服はミヤビのとこでも作ったりしてたし手伝うこともあるからね。で、下着類はもともと俺が担当してたからそこを別にするように頼んでみるよ。下着専門店で例のものも扱うって形で行こうと思う。それにさっきナターシャさんが言ったように女性にとっていいものなら庶民にも手に届くようにしたほうがいいだろうしね。」
「なるほど。かしこまりました。ではそのように手配いたします。となると店舗は最外殻の一般街がよろしいですか?」
「そうだね。そこで頼むよ。」
そう言って別れるとミヤビ洋服店に足を向ける。
「ごめんね2人とも予定変更だ。」
「大丈夫ですよ。私たちはレインさんのいう通りでも全然問題ないです。」
二人に謝罪するとミヤビの店へと向かう。
店の場所は最外殻にある。これは単に素材を集めた後に何度も門をくぐるのが面倒だという理由で最外殻の土地を購入したにすぎない。王都というだけあってゲーム時代から門をくぐるのに一手間かかっていたためめんどくさがっているだけである。立地によって色々と特典があったりするがミヤビの場合は特にそういう特典に頓着なく、自分の好き魔物を売れればいいというだけらしい。その割に一見さんを断りなのはゲームの中くらい自分の作品を大事にしてくれる人にしか売りたくないという感情ゆえだそうだ。
店に到着するとドアマンに会員証を提示して中に入る。
「いらっしゃいませ。会員証の確認よろしいでしょうか?」
笑顔で接客をする見知らぬ男性店員に少し驚きつつ、5年も建てば一人や二人雇われることもあるのだろうと平静を保つ。
「どうぞ」
「ありがとうございます。今日はどのようなものをお求めで?」
会員証を確認するとマニュアル通りの受け答えをする店員。じっくり服を見たい人はこの受け答えは嫌だろうがここは王都なので貴族もよく利用するためにこのような対応になっている。
プレイヤーでこのような対応が苦手のものは本店に切って買い物するものが多い。
「今日はパウルに用があったんだけど今いるかな?」
「店長ですか?失礼ですがお約束の方は?」
「あ~、レインが来たと言ってくれないかな?」
「申し訳ございません。お約束がない場合はちょっと。つい最近他の店舗で大量に素材を仕入れましてその加工でお忙しいのです」
「他の店舗ってことはここにいないんですか?」
「いえいえ。そういうことではございません。当店の倉庫は少し特殊な作りをしていまして、各支店の倉庫がつながっております。これは3年ほど前に冒険者ギルドが公開した新技術でしてミヤビ様がその技術を用いて支部を回って倉庫を繋げているところなのです」
「え!そんなことが!?ならそこを利用して人が行き来することも?」
「残念ながらそれはできません。どういうわけか生命体に限っては倉庫間を行き来できないようなのです。世界融合からこっち転移魔法の発動ができなくなってしまったので新たに転移魔法を開発する方法を研究してる折にこの新技術が生まれたそうですね」
「え?転移魔法が使えない?」
「はい。まぁ転移魔法が使えるもの以外はこのことを知らなくても当然ですね。なんでも世界が融合したので次元が歪み安定しないのと、正確な空間把握ができなくなったそうですよ」
店員の説明に今まで動揺が走る。
だがよく考えれば当然の内容でもある。複数の世界が融合した上にあちこちで人が消えたり現れたりしているのだ。次元が安定していない証拠である。安定していないのに魔法でその次元を飛び越えることなどできるはずがない。
ここで倉庫の共有化はどうなのかという話になる。
これに関してはゲームの設定上ギルド倉庫は全て繋がった一つの倉庫であるというものがある。一つの倉庫にするために特定も魔法陣を組み込むことで一つの倉庫として設定され共有化されるのだが、次元を飛び越えるというものではなくそういうものだと強引に設定されたゲームの仕様だった。その仕様がこの世界でも受け継がれていたに過ぎないのだ。変なところでゲームの設定と現実が混在した世界となっているのだがレインがそれを知る由も無い。
「転移魔法が使えない、だと」
「お客様?」
「レインさん?」
「お兄ちゃん?」
「…あ、あぁごめん。ちょっと転移魔法のことでね」
「もしかして転移魔法を覚えようと思っていたクチですか?私も昔は憧れてましてね。この職につくまでは冒険者をしながら転移魔法を使えるようあちこち旅をしていたものです。ですが世界融合が起こって以来転移魔法が使えなくなったことを耳にして諦めがつきましたよ。はい」
何か勘違いして話を進める店員に苦笑いを浮かべるレイン。
どうも同類だと思われているようだ。レインにしてみれば今までのマイホームへの転移が使えないことや、攻撃や回避手段に使っていた転移が使えなくなったことで今後の戦闘スタイルを考え直す必要が出てきたということなのだが、、、
「ダリル!あなた一人で何くっちゃべってんの?」
一人盛り上がってる店員に店の奥から声が掛かる。
「は!店長!!申し訳ございません!!」
ダリルと呼ばれる店員がピシッと姿勢を正すと店の奥からスラリとした身長に肩にかかるほど髪を伸ばした中性的な顔立ちのエルフが顔を出す。
「あんら~レインちゃん?あなたレインちゃんよね?久しぶりねぇ~あなたも失踪したくち?」
「久しぶり。自分では実感ないけどその失踪者ってやつらしいね」
「まぁ、まぁ!ミヤビちゃんといいレインちゃんといい!勝手に失踪しちゃって心配したんだから!!」
レインの体をペタペタと触りながら会話を続けるこのエルフはいわゆるオカマである。
ゲームの時はここまでベタベタとねちっこい話し方をしてなかったように思っていたレイン。現実となったことで感情が豊かになりキャラ立ちしたのだろう。
「んもう!5年もどこいってたのよ!っていっても無駄なのよね?次元の狭間でウロウロしてたんですもんね~。にしてもこの娘はどこで拾ってきたの?獣人ねぇ。レインちゃんはそういう趣味だったの?私てっきりこっちの人間だと思ってたんだけどねぇ。下着作りのこだわりといい女性ものの服の細部の出来を見るとそう思ってたんだけど、可笑しいわねぇ」
パウルの言葉に少し心当たりがあるレインだがそれはリアルでは女であったために服の細部がそうなってた方が着心地がよく、どうなっていたら痛みや締め付け等の不快感があるのか知っていたからに過ぎない。
ミヤビのデザインする服は現実世界でも販売することを考慮して作られているためどうしても妥協が許されないのだ。
意外と鋭い指摘にゲームの頃の記憶もしっかり残っているのだと驚きを示す。
「あ、あぁそれはその~ミヤビが妥協を許さないから」
「それもそうね。で?今日は私に挨拶に来ただけではないのよねぇ」
「そうだった」
本題を忘れそうになっていたレインがナターシャとの話をパウルに相談し始める。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
なぜだろう?思ってたように話が進まない。
修正するたびに話が逸れて大変なことに!!
この先どうなるんでしょうね?
ミッドには事前に自転車を作ることを言って要望を聞いてある。とにかく筋トレの役に立つものだった。
相変わらずの脳筋だがその辺は予測済みだったので単純に重さ軽減なのど魔法を付与せずにギアもそこそこ重いものを使っている。そのぶんスピードに乗れば戦車並みの突進力が出てしまうのでブレーキには力を注いで急な停車でも慣性の法則を無視した停車ができるようになり、搭乗者への負荷もほとんど無いように計算している。
あとはモンスターなどを跳ね飛ばしてもタイヤが痛まないように前方に結界を張るようにしているが結界による空気抵抗は軽減していない。多分そのほうがミッドは嬉しいだろうし魔力をケチってゲーム時代は用途不明の空気抵抗を受けるほどに結界の強度を高くなる魔力消費をほとんどせずに張ることのできる結界を採用している。
城からミッドがやってくると自転車を取り出し使い方と機能を説明して受け渡すのだがミッドの後ろにナターシャがいる。いったい何の用なのだろうか?
ミッドが頬を緩め嬉しそうに自転車に跨ると「試してくる」と言い残してどこかへ走り出すとニコニコと笑顔のナターシャが一歩歩みでる。
「レイン様おはようございます。」
「おはよう。」
丁寧な挨拶だがどこか威圧感がある。
「例のものですが何時頃になりそうですか?」
例のもの??はてなんのことだろうかと思ったところで思い出す。
レインが少し考える様子を取ると生理用品を頼まれていたことを思い出す。
思い出した時には時すでに遅し。全く何も考えていなかったレイン。定期的に用意するとかも言ってたような気がするしちょっと安易に返事をしすぎたことに後悔する。
「まさかお忘れに?」
「あ、いや、忘れてたわけではないんだけどね。その~たくさん作るにはちょっと…ね?」
「そう、ですか。確かに量産するのは難しいのでしょうね。ですがこれは世の女性のためになるのです!なので早めに!ぜひ!なんだったら指名依頼にいたしましょうか?」
「え!いや、それはさすがに。大体そんなことすれば俺のランク的にそんなに安くはならないですよ」
「いえいえ。確かに安くはないのかもしれませんがレイン様にいただいた例のものですが同僚に話したところ宮中のものにもしれましてとある貴族様の奥方が量が多くて困っていらっしゃるらしくお渡ししたところ大変喜んでいらしてですね。奥方が自由にできる範囲で援助なさりたいと」
知らぬ間におおごとになってることに驚愕するレイン。たかが生理用品がここまでか!?と思う反面自身が女性の体であった経験上それも仕方ないことだというのも理解してるため逃げるという手段も取り難い。
レイン自身学校の体育の後なかなか悲惨な目にあったことがあるのだ。替えの下着もないし我慢したがあの不快感ったらなかった。どんなタイプかにもよるのだろうが量が多いとなると衛生面を考えても大変だろう。
そう思うと今日出発予定だったがどうも出発する気になれない。
「えっと…じゃあミヤビの店の方で作るように」
「レイン様。あそこは紹介がなければ入れない店ですよ?」
「あ…どうしよう」
「はぁ。では私の知り合いの店にでも…いえ、ここは新たに店を展開してはどうでしょうか?レイン様は下着類の作成もできますよね?」
「え?」
「2人から裁縫も得意で下着の調整もしたとお聞きしましたが?」
「……そ、そうですね」
まさかエルルの中で女性陣がそんな話をしてるとは思っていなかったレイン。だがよく考えれば一緒に寝泊まりしていて着替えまで一緒の部屋なのだから作りのいい下着を見れば誰だって話を振る。ガールズトークなんてそういう話も多いので当然と言えば当然だろう。元女性とは言えその辺がちょっと抜けてるレインである。
性同一性障害の弊害とでもいえよう。
「では、その…そう!当分はミヤビの工房を借りて作るのでどこか良さげな小さい店舗を探してもらえますか?毎回持ってくるのもちょっとあれなんでそちらで自分の好みのものを購入する形にしましょう。」
こうなりゃヤケクソだとレインも腹をくくる。
「小さい店舗ですか?」
「そう、小さい店舗。普通の服はミヤビのとこでも作ったりしてたし手伝うこともあるからね。で、下着類はもともと俺が担当してたからそこを別にするように頼んでみるよ。下着専門店で例のものも扱うって形で行こうと思う。それにさっきナターシャさんが言ったように女性にとっていいものなら庶民にも手に届くようにしたほうがいいだろうしね。」
「なるほど。かしこまりました。ではそのように手配いたします。となると店舗は最外殻の一般街がよろしいですか?」
「そうだね。そこで頼むよ。」
そう言って別れるとミヤビ洋服店に足を向ける。
「ごめんね2人とも予定変更だ。」
「大丈夫ですよ。私たちはレインさんのいう通りでも全然問題ないです。」
二人に謝罪するとミヤビの店へと向かう。
店の場所は最外殻にある。これは単に素材を集めた後に何度も門をくぐるのが面倒だという理由で最外殻の土地を購入したにすぎない。王都というだけあってゲーム時代から門をくぐるのに一手間かかっていたためめんどくさがっているだけである。立地によって色々と特典があったりするがミヤビの場合は特にそういう特典に頓着なく、自分の好き魔物を売れればいいというだけらしい。その割に一見さんを断りなのはゲームの中くらい自分の作品を大事にしてくれる人にしか売りたくないという感情ゆえだそうだ。
店に到着するとドアマンに会員証を提示して中に入る。
「いらっしゃいませ。会員証の確認よろしいでしょうか?」
笑顔で接客をする見知らぬ男性店員に少し驚きつつ、5年も建てば一人や二人雇われることもあるのだろうと平静を保つ。
「どうぞ」
「ありがとうございます。今日はどのようなものをお求めで?」
会員証を確認するとマニュアル通りの受け答えをする店員。じっくり服を見たい人はこの受け答えは嫌だろうがここは王都なので貴族もよく利用するためにこのような対応になっている。
プレイヤーでこのような対応が苦手のものは本店に切って買い物するものが多い。
「今日はパウルに用があったんだけど今いるかな?」
「店長ですか?失礼ですがお約束の方は?」
「あ~、レインが来たと言ってくれないかな?」
「申し訳ございません。お約束がない場合はちょっと。つい最近他の店舗で大量に素材を仕入れましてその加工でお忙しいのです」
「他の店舗ってことはここにいないんですか?」
「いえいえ。そういうことではございません。当店の倉庫は少し特殊な作りをしていまして、各支店の倉庫がつながっております。これは3年ほど前に冒険者ギルドが公開した新技術でしてミヤビ様がその技術を用いて支部を回って倉庫を繋げているところなのです」
「え!そんなことが!?ならそこを利用して人が行き来することも?」
「残念ながらそれはできません。どういうわけか生命体に限っては倉庫間を行き来できないようなのです。世界融合からこっち転移魔法の発動ができなくなってしまったので新たに転移魔法を開発する方法を研究してる折にこの新技術が生まれたそうですね」
「え?転移魔法が使えない?」
「はい。まぁ転移魔法が使えるもの以外はこのことを知らなくても当然ですね。なんでも世界が融合したので次元が歪み安定しないのと、正確な空間把握ができなくなったそうですよ」
店員の説明に今まで動揺が走る。
だがよく考えれば当然の内容でもある。複数の世界が融合した上にあちこちで人が消えたり現れたりしているのだ。次元が安定していない証拠である。安定していないのに魔法でその次元を飛び越えることなどできるはずがない。
ここで倉庫の共有化はどうなのかという話になる。
これに関してはゲームの設定上ギルド倉庫は全て繋がった一つの倉庫であるというものがある。一つの倉庫にするために特定も魔法陣を組み込むことで一つの倉庫として設定され共有化されるのだが、次元を飛び越えるというものではなくそういうものだと強引に設定されたゲームの仕様だった。その仕様がこの世界でも受け継がれていたに過ぎないのだ。変なところでゲームの設定と現実が混在した世界となっているのだがレインがそれを知る由も無い。
「転移魔法が使えない、だと」
「お客様?」
「レインさん?」
「お兄ちゃん?」
「…あ、あぁごめん。ちょっと転移魔法のことでね」
「もしかして転移魔法を覚えようと思っていたクチですか?私も昔は憧れてましてね。この職につくまでは冒険者をしながら転移魔法を使えるようあちこち旅をしていたものです。ですが世界融合が起こって以来転移魔法が使えなくなったことを耳にして諦めがつきましたよ。はい」
何か勘違いして話を進める店員に苦笑いを浮かべるレイン。
どうも同類だと思われているようだ。レインにしてみれば今までのマイホームへの転移が使えないことや、攻撃や回避手段に使っていた転移が使えなくなったことで今後の戦闘スタイルを考え直す必要が出てきたということなのだが、、、
「ダリル!あなた一人で何くっちゃべってんの?」
一人盛り上がってる店員に店の奥から声が掛かる。
「は!店長!!申し訳ございません!!」
ダリルと呼ばれる店員がピシッと姿勢を正すと店の奥からスラリとした身長に肩にかかるほど髪を伸ばした中性的な顔立ちのエルフが顔を出す。
「あんら~レインちゃん?あなたレインちゃんよね?久しぶりねぇ~あなたも失踪したくち?」
「久しぶり。自分では実感ないけどその失踪者ってやつらしいね」
「まぁ、まぁ!ミヤビちゃんといいレインちゃんといい!勝手に失踪しちゃって心配したんだから!!」
レインの体をペタペタと触りながら会話を続けるこのエルフはいわゆるオカマである。
ゲームの時はここまでベタベタとねちっこい話し方をしてなかったように思っていたレイン。現実となったことで感情が豊かになりキャラ立ちしたのだろう。
「んもう!5年もどこいってたのよ!っていっても無駄なのよね?次元の狭間でウロウロしてたんですもんね~。にしてもこの娘はどこで拾ってきたの?獣人ねぇ。レインちゃんはそういう趣味だったの?私てっきりこっちの人間だと思ってたんだけどねぇ。下着作りのこだわりといい女性ものの服の細部の出来を見るとそう思ってたんだけど、可笑しいわねぇ」
パウルの言葉に少し心当たりがあるレインだがそれはリアルでは女であったために服の細部がそうなってた方が着心地がよく、どうなっていたら痛みや締め付け等の不快感があるのか知っていたからに過ぎない。
ミヤビのデザインする服は現実世界でも販売することを考慮して作られているためどうしても妥協が許されないのだ。
意外と鋭い指摘にゲームの頃の記憶もしっかり残っているのだと驚きを示す。
「あ、あぁそれはその~ミヤビが妥協を許さないから」
「それもそうね。で?今日は私に挨拶に来ただけではないのよねぇ」
「そうだった」
本題を忘れそうになっていたレインがナターシャとの話をパウルに相談し始める。
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なぜだろう?思ってたように話が進まない。
修正するたびに話が逸れて大変なことに!!
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その為カーチェイスのシーンでは、ガワは少々小さめの車なのに、動力はチェーン伝動の足漕ぎペダルw
肩肘張らず見れる映画ですので、もしレンタル屋で見掛ける事があれば、是非お試しを
面白そうですね。
今度レンタル屋行ったら探して見ます。
こんにちは。
毎話 読み終わるたびに「えっ?!もう読み終わっちゃった~」と次話をせっつきたくなるくらいにはまってます。
で、今回も誤字報告です。
13話
☆「ミヤビ洋服店」っていう店なんで助けど →なんですけど
☆贈呈品?を持っては着たんですけど
→来たんですけど
☆強者を中心に疾走して~ →失踪
の以上3箇所です。(小姑みたいですみません)
次話も楽しみにしてます。
修正いたしました!
何度か確認してるのですが思い込みって怖いです。
こうして誤字脱字を指摘してもらえると「読んでくれてるんだ!グフフ」とにやけてしまう。
注意されてるうちが華ってなもんですからね。
かといってわざと間違ってるんではないですよ?
本当にマジでわざとでも知っててでもないんです!信じてください!!
犯人がいるとしたら誰だ!?
誤字脱字ミステリー
さてやる気も出たので頑張って書きま~す。
ところでプロットが行方不明になったのですが誰か知りませんか?
確か夢の中で5話ほど書いたはずなんですが。
これもまたミステリーです。
消えたプロット残されたのは誤字脱字の蔓延る原稿……
難解な暗号を解読して行き着く犯人は!?
はじめまして! いつも更新が待ち遠しいです。
「世界融合」…これからどうなるの? 面白いです!
レインや登場人物達もすごく好きです。
2人はレインのお嫁さんになるのでしょうか。これからも楽しみです。
また、読ませていただきますね!
そろそろ世界融合が起こった理由がわかる予定です。
ちらっとかがっつりか悩むところですが楽しみにしてもらえると嬉しいです。