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第一章―飛び立つことさえ許されず―
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しおりを挟む※依理side※
「どうしたの?」
「小羽様のお宅に置いてある固定電話ですが、盗聴器が仕掛けられてあったそうです。部屋の中にもいくつか」
「……そう。私から小羽には伝えておくわ」
「はい」
盗聴器までしかけるなんて、想像を裏切らないわね。
「そうだ。頼んでおいた月代十夜のことだけど」
「それが……」
歯切れの悪い田中。
珍しいこともあるものね。
「月代十夜に関する情報が全くないのです」
「は? 全く?」
「はい」
「……それって最初からないってこと? それとも集められないってこと?」
「前者です」
……頭が痛い。
何ていう奴に目をつけられてんのよ、小羽は。
「お嬢様、十分ご注意下さいませ」
「分かってるわ」
小羽には借りがあるのよ。
返しきれない大きな借りがね。
月代十夜。
いいじゃない。やってやるわよ。
※依理side end※
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