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リミットとバイラル鉱石
出会い
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ZL世界。朝や昼が短く、夜が長い不思議な場所。この世界に暮らすリミット・アルファは、ある日変わった夢を見た。普段見ないような服装の【黒い魔法使い】に何かを言われた夢。
リミット「なんて言っていたか思い出せないけど…どこかで出会いそうな気がする」
夜の時間が長いこの世界では、明るい朝や昼の時間が貴重なので、リミットはいつものようにそそくさと朝食と身支度を済ませる。しかし…
リミット「姉さん、早く起きてー」
姉のリストリクト・アルファは朝起きるのが苦手である。 少し時間が経ってから、フラフラしながら起きてきた。
リミット「起きた?起きてない?」
リスト「お、起きてるかもしれないし起きてないかもしれない…」
リミット「どっちなの…」
いつもと変わらない朝のやりとり。ちなみにリミットが姉に唯一勝てる事が「早起きが得意で朝に強い事」である。
その後家を出発し、いつも通りの通学路を歩くふたり。ストールアカデミーに行く途中の周りには建物などの遮蔽物がなく、そよ風が吹いて姉妹の白い髪が仲良くなびいている。
リミット「…」
リスト(リミットが考え事してる時ってなかなか打ち明けてくれないのよね…私もだけど)
リミット(夢の事、姉さんに相談すべきなのかな…でも実際起こった訳じゃないし…)
癖で悩んでしまっているリミット、顔に出ているのでリストが話しかけようとした時だった。
リスト(…!)
それまで吹いていた風が止んだ。
?「……」
突然目の前にワームホールのようなものが発生し、リミットを覆い姿が消えた。
リスト「リミット!?」
リミット(…?)
リミットは辺りが夜中のような暗さになっている事に気がついたが、さっきまでいた場所なのかどうかは分からなかった。
?「やっと見つけたよ」
リミット「だ、誰?」
前方から誰かが声をかけてきた。しかし不思議と不安を感じない、どこかで聞いた事があるような声。
リミット(この感じ、あの時の夢と一緒…)
?「とりあえず、これを付けて…」
ふと気がつけば、周りの明るさが戻っており元の場所に居た。しかし頭に違和感を覚え、触ってみると不思議な形のアクセサリーが付いていた。
リミット「これって…」
色々考える前に、目の前にいた不安そうな表情をしたリストが抱きしめてきた。
リスト「リ、リミット…大丈夫!?突然姿が消えてしまって…凄く心配したのよ!」
リミット「う、うん。大丈夫だよ」
その後は、何事もなくいつも通り登校して変わらない日常を過ごしていった。マジックアイテム「バイラル鉱石」を身につけた事による変化を除いては。
?「コルネ、あの鉱石って」
?「その思ってる通りのものだよ、ラスター」
リミットを巻き込んだのは、旅をしている黒い服装のシフター”コルネリア・セラミック”と青い服装のメガネをかけたシフター”ラスター・フラッグ”であった。
不思議な体験をした翌日、アカデミーが休みなので、朝から気分転換に近くの広場にやってきたリミット。
リミット「よく分からないけど…多分このバイラル鉱石みたいなものを付けてから、不思議と魔法が使えるような気がする。でも、ポケットに入れてるL-deviceからは聞いたことない音が鳴ってる…」
このZL世界では誰もが所持しているマジックツール”L-device”。リミットが持っているのは新型のタイプだが、なかなかバイラル鉱石との相性が良くなく魔法を使う事が出来なかった。
リミット「そういえば姉さんのL-deviceは少し大きくて旧型だけど、ボクのより色々機能が付いてるんだっけ」
そんな風に考え事をしていると、L-deviceから出ていた音が止まりバイラル鉱石が微かに発光した。
リミット「最近よく分からない事が起こるね…さっきと何か変わったのかな?」
少し意識を指先に集中させてみると…今までにない違和感がある。
リミット「まさか」
指をさした手の形のまま斜めに振り落とす。すると、短めではあったが水属性の魔力の込められたクリアな青色のラインが前方へ飛んでいったのである。
リミット「やった…!」
リミットが初めて魔法を使えるようになった頃、その姿を確認したコルネリアとラスターはZL世界からZN世界へ戻っていた。
ラスター「ホントに、あの子に新しいタイプのシフターになってもらうの?」
コルネリア「私のバイラル鉱石で魔法が使えた以上、可能性は十分にあるからね」
ふたりのシフターがディメンションシフトを使って再びZL世界へ移動する。
今まで魔法が使えなくてストールアカデミーの中でも影で最弱扱いをされていたリミット。その事が覆されるまでにそう時間はかからなかった。そして、本人以外で一番喜んでいたのは姉のリストではなく同級生のフラッグ・ローレンツである。
フラッグ「リミット、やればできるじゃん!」
この元気な少女もL-deviceで魔法を使うのだが、リミットの持っているのと同じタイプのL-deviceを改造した結果「L-custom」として2種類の属性に対応している。
フラッグ「もしかして、最近変な事が起きてる影響かな?」
リミット「えっ、何それ?」
フラッグ「突然違う場所に移動させられる…らしいけど、噂で聞いたくらいだから定かではないよ?まぁ私はこれで自己防衛してるから大丈夫だけどね!」
そう言いながら右手に持っているL-customをチラつかせる。
リミット「前から思ってたけど…使ってて魔法が暴発したりする問題無いの?」
フラッグ「一応今の所は大丈夫っぽい!」
本当はとても言えないような事があったものの、リミットを心配させたくないので誤魔化すフラッグ。
リミット「そう…でも無茶はしないでね?」
フラッグ「もちろん!」
そんなやり取りをしながら、時間が経過した。
数日後、リミットは魔法の練習をする為にいつも通っている近くの開けた場所に姉とフラッグの3人来ていた。
リミット「最近はかなりコントロール出来るようになってきたんだよ」
リスト「そうなのね、でもあんまり頑張りすぎると身体にもL-deviceにも負担がかかるから気をつけて」
フラッグ「リミットー、次は少し威力を上げてみてよ!」
リミットがうなづいて指を思いっきり振ると強い風切り音と共に青い光がフラッグに向かって行く。
フラッグ「わあぁちょっと強すぎ…」
L-customから紫と緑のマジックラインがフラッグの前方に展開し、勢いのあるリミットの魔法を防いだ。しかしその反動で、構えていたフラッグは大丈夫であったが大きな爆風と風圧がアルファ姉妹に跳ね返ってきた。
リスト「危ないっ」
リストがリミットを見た時には、強風で姿が見えなかった。
コルネリア「なかなかいい感じだね」
ラスター「あとはレベルアップね」
再び様子を見に来たシフター二人が、足元に吹き飛ばされてきたリミットを見ながら言った。リミットは身体を起こして周りを見回す途中で、突然目の前にいるコルネリアとラスターの姿に驚いてしまった。
リミット「わわわ、あ、貴女たちは…?」
焦りが収まらないリミットに対し、しゃがんで目の高さを合わせるコルネリア。
コルネリア「初めまして…ではないんだけど、君なら分かるかな」
リミット「え、えっと」
一瞬分からなかったがすぐに思い出した。
リミット「もしかして、ボクの夢の中に出てきた人かも?」
コルネリア「夢…ではないけど、君にその青い鉱石を預けた時に会ってるよ。私はコルネリア」
リミット「な、なるほど。以前見た夢の中でも貴女が出てきました。でもなんというか、もっと姿が違っていたような…」
あの時の黒い格好に黒い帽子、それに羽のあるシフターはこのコルネリアという人にそっくりだ。
会話をしているうちに視界が晴れ、フラッグとリストが駆け寄ってくる。しかし二人とも表情が険しい。
リスト「…妹から離れなさい」
リストがコルネリアに向かって強い口調で言う。
コルネリア「それは難しいかな」
リスト「…あなたたち非機械のマジックシフターがZL世界に平然といられちゃ困るの!」
間髪入れずリストが発生させた赤色のマジックラインがコルネリアとラスターへ放たれた。
しかしラスターが即座に魔導書を開きリストの倍以上の青いマジックラインをぶつけた。
ラスター「やっぱり問答無用でそういう扱いされるのね」
コルネリア「ほとんど何も話してないのにマジックシフターって分かるなんて…さすがだね」
リミットはリストが何を言っているのかさっぱり分からず混乱しそうになり、リストは本気では無かったとはいえ魔法が通用しなかった事に恐怖を覚える。
爆風による土煙で少し汚れてしまったリミット。その前に立つ2人のマジックシフターを見て敵意のようなものは感じなかったが、いつもは見せないような怒りをあらわにした姉の言動をリミットはまだ理解が出来なかった。
リスト「リミットに手を出したら…容赦しないわ!」
そう言いながらリストが赤いマジックラインを展開させている間に、フラッグが得意のスピード魔法でリミットを連れ戻した。
コルネリア「君たちと戦うつもりは無いよ。ただ、リミットになって貰いたい姿が…」
コルネリアが言い終わる前にリストの魔法線が放たれたが、恐怖心からか軌道がそれてあさっての方向に消えていった。明らかに殺気立っているリストの表情を見て、今度はラスターが話しかけてくる。
ラスター「私が言うのも変だけど、貴女がマジックシフターに対して思っている事はよく分かるわ。だからこそ妹さんに用事があるの」
リスト「…」
リミット「姉さん、まずは聞いてみようよ」
リミット「なんて言っていたか思い出せないけど…どこかで出会いそうな気がする」
夜の時間が長いこの世界では、明るい朝や昼の時間が貴重なので、リミットはいつものようにそそくさと朝食と身支度を済ませる。しかし…
リミット「姉さん、早く起きてー」
姉のリストリクト・アルファは朝起きるのが苦手である。 少し時間が経ってから、フラフラしながら起きてきた。
リミット「起きた?起きてない?」
リスト「お、起きてるかもしれないし起きてないかもしれない…」
リミット「どっちなの…」
いつもと変わらない朝のやりとり。ちなみにリミットが姉に唯一勝てる事が「早起きが得意で朝に強い事」である。
その後家を出発し、いつも通りの通学路を歩くふたり。ストールアカデミーに行く途中の周りには建物などの遮蔽物がなく、そよ風が吹いて姉妹の白い髪が仲良くなびいている。
リミット「…」
リスト(リミットが考え事してる時ってなかなか打ち明けてくれないのよね…私もだけど)
リミット(夢の事、姉さんに相談すべきなのかな…でも実際起こった訳じゃないし…)
癖で悩んでしまっているリミット、顔に出ているのでリストが話しかけようとした時だった。
リスト(…!)
それまで吹いていた風が止んだ。
?「……」
突然目の前にワームホールのようなものが発生し、リミットを覆い姿が消えた。
リスト「リミット!?」
リミット(…?)
リミットは辺りが夜中のような暗さになっている事に気がついたが、さっきまでいた場所なのかどうかは分からなかった。
?「やっと見つけたよ」
リミット「だ、誰?」
前方から誰かが声をかけてきた。しかし不思議と不安を感じない、どこかで聞いた事があるような声。
リミット(この感じ、あの時の夢と一緒…)
?「とりあえず、これを付けて…」
ふと気がつけば、周りの明るさが戻っており元の場所に居た。しかし頭に違和感を覚え、触ってみると不思議な形のアクセサリーが付いていた。
リミット「これって…」
色々考える前に、目の前にいた不安そうな表情をしたリストが抱きしめてきた。
リスト「リ、リミット…大丈夫!?突然姿が消えてしまって…凄く心配したのよ!」
リミット「う、うん。大丈夫だよ」
その後は、何事もなくいつも通り登校して変わらない日常を過ごしていった。マジックアイテム「バイラル鉱石」を身につけた事による変化を除いては。
?「コルネ、あの鉱石って」
?「その思ってる通りのものだよ、ラスター」
リミットを巻き込んだのは、旅をしている黒い服装のシフター”コルネリア・セラミック”と青い服装のメガネをかけたシフター”ラスター・フラッグ”であった。
不思議な体験をした翌日、アカデミーが休みなので、朝から気分転換に近くの広場にやってきたリミット。
リミット「よく分からないけど…多分このバイラル鉱石みたいなものを付けてから、不思議と魔法が使えるような気がする。でも、ポケットに入れてるL-deviceからは聞いたことない音が鳴ってる…」
このZL世界では誰もが所持しているマジックツール”L-device”。リミットが持っているのは新型のタイプだが、なかなかバイラル鉱石との相性が良くなく魔法を使う事が出来なかった。
リミット「そういえば姉さんのL-deviceは少し大きくて旧型だけど、ボクのより色々機能が付いてるんだっけ」
そんな風に考え事をしていると、L-deviceから出ていた音が止まりバイラル鉱石が微かに発光した。
リミット「最近よく分からない事が起こるね…さっきと何か変わったのかな?」
少し意識を指先に集中させてみると…今までにない違和感がある。
リミット「まさか」
指をさした手の形のまま斜めに振り落とす。すると、短めではあったが水属性の魔力の込められたクリアな青色のラインが前方へ飛んでいったのである。
リミット「やった…!」
リミットが初めて魔法を使えるようになった頃、その姿を確認したコルネリアとラスターはZL世界からZN世界へ戻っていた。
ラスター「ホントに、あの子に新しいタイプのシフターになってもらうの?」
コルネリア「私のバイラル鉱石で魔法が使えた以上、可能性は十分にあるからね」
ふたりのシフターがディメンションシフトを使って再びZL世界へ移動する。
今まで魔法が使えなくてストールアカデミーの中でも影で最弱扱いをされていたリミット。その事が覆されるまでにそう時間はかからなかった。そして、本人以外で一番喜んでいたのは姉のリストではなく同級生のフラッグ・ローレンツである。
フラッグ「リミット、やればできるじゃん!」
この元気な少女もL-deviceで魔法を使うのだが、リミットの持っているのと同じタイプのL-deviceを改造した結果「L-custom」として2種類の属性に対応している。
フラッグ「もしかして、最近変な事が起きてる影響かな?」
リミット「えっ、何それ?」
フラッグ「突然違う場所に移動させられる…らしいけど、噂で聞いたくらいだから定かではないよ?まぁ私はこれで自己防衛してるから大丈夫だけどね!」
そう言いながら右手に持っているL-customをチラつかせる。
リミット「前から思ってたけど…使ってて魔法が暴発したりする問題無いの?」
フラッグ「一応今の所は大丈夫っぽい!」
本当はとても言えないような事があったものの、リミットを心配させたくないので誤魔化すフラッグ。
リミット「そう…でも無茶はしないでね?」
フラッグ「もちろん!」
そんなやり取りをしながら、時間が経過した。
数日後、リミットは魔法の練習をする為にいつも通っている近くの開けた場所に姉とフラッグの3人来ていた。
リミット「最近はかなりコントロール出来るようになってきたんだよ」
リスト「そうなのね、でもあんまり頑張りすぎると身体にもL-deviceにも負担がかかるから気をつけて」
フラッグ「リミットー、次は少し威力を上げてみてよ!」
リミットがうなづいて指を思いっきり振ると強い風切り音と共に青い光がフラッグに向かって行く。
フラッグ「わあぁちょっと強すぎ…」
L-customから紫と緑のマジックラインがフラッグの前方に展開し、勢いのあるリミットの魔法を防いだ。しかしその反動で、構えていたフラッグは大丈夫であったが大きな爆風と風圧がアルファ姉妹に跳ね返ってきた。
リスト「危ないっ」
リストがリミットを見た時には、強風で姿が見えなかった。
コルネリア「なかなかいい感じだね」
ラスター「あとはレベルアップね」
再び様子を見に来たシフター二人が、足元に吹き飛ばされてきたリミットを見ながら言った。リミットは身体を起こして周りを見回す途中で、突然目の前にいるコルネリアとラスターの姿に驚いてしまった。
リミット「わわわ、あ、貴女たちは…?」
焦りが収まらないリミットに対し、しゃがんで目の高さを合わせるコルネリア。
コルネリア「初めまして…ではないんだけど、君なら分かるかな」
リミット「え、えっと」
一瞬分からなかったがすぐに思い出した。
リミット「もしかして、ボクの夢の中に出てきた人かも?」
コルネリア「夢…ではないけど、君にその青い鉱石を預けた時に会ってるよ。私はコルネリア」
リミット「な、なるほど。以前見た夢の中でも貴女が出てきました。でもなんというか、もっと姿が違っていたような…」
あの時の黒い格好に黒い帽子、それに羽のあるシフターはこのコルネリアという人にそっくりだ。
会話をしているうちに視界が晴れ、フラッグとリストが駆け寄ってくる。しかし二人とも表情が険しい。
リスト「…妹から離れなさい」
リストがコルネリアに向かって強い口調で言う。
コルネリア「それは難しいかな」
リスト「…あなたたち非機械のマジックシフターがZL世界に平然といられちゃ困るの!」
間髪入れずリストが発生させた赤色のマジックラインがコルネリアとラスターへ放たれた。
しかしラスターが即座に魔導書を開きリストの倍以上の青いマジックラインをぶつけた。
ラスター「やっぱり問答無用でそういう扱いされるのね」
コルネリア「ほとんど何も話してないのにマジックシフターって分かるなんて…さすがだね」
リミットはリストが何を言っているのかさっぱり分からず混乱しそうになり、リストは本気では無かったとはいえ魔法が通用しなかった事に恐怖を覚える。
爆風による土煙で少し汚れてしまったリミット。その前に立つ2人のマジックシフターを見て敵意のようなものは感じなかったが、いつもは見せないような怒りをあらわにした姉の言動をリミットはまだ理解が出来なかった。
リスト「リミットに手を出したら…容赦しないわ!」
そう言いながらリストが赤いマジックラインを展開させている間に、フラッグが得意のスピード魔法でリミットを連れ戻した。
コルネリア「君たちと戦うつもりは無いよ。ただ、リミットになって貰いたい姿が…」
コルネリアが言い終わる前にリストの魔法線が放たれたが、恐怖心からか軌道がそれてあさっての方向に消えていった。明らかに殺気立っているリストの表情を見て、今度はラスターが話しかけてくる。
ラスター「私が言うのも変だけど、貴女がマジックシフターに対して思っている事はよく分かるわ。だからこそ妹さんに用事があるの」
リスト「…」
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