インターネットの道化師は現実世界で泣く

ベットルームと彼女

僕の住むマンションは夜になると街の夜景を一望できる高層マンションだった。

その一室で彼女は淡い寝息をたてて眠っている。

彼女の寝顔に「僕はこの幸せを守れるかな？」と静かに問いかけた。

ベットルームにあるクローゼットの前で着替えていると、彼女が目を覚まし僕に「おかえり。」と言った。

僕は下着姿のまま彼女のいる布団に潜ると、その身体を抱きしめて顔をすり合わせると小さな声で「ただいま。」と言った。

彼女は寝ぼけた声で「女の子のお店？」と聞いた。

僕は話を逸らすかのように「獅子谷社長が税理士の先生を紹介してくれるんだ。」と答えた。

彼女は「そうなんだ。」と言った。

僕は彼女を抱き締めると「不安なんだ。」と自分の気持ちを吐き出した。

僕「これから僕がどこへ向かうのか。それが分からなくて不安なんだ。」

僕「いつまでも学生起業家って訳にもいかなくなる。」

彼女はゆっくりと２回頷いた。

僕「未来がどんなふうに変わっても、僕についてきてくれる？」

彼女は「ついていく。」と静かに答えた。

僕は「ありがとう。」と言って彼女のおでこに唇をくっつけた。

彼女は僕に「私だけ見てほしい。」と言った。

僕は彼女の細くて華奢な指を上から覆うように握りしめて手を繋ぐと「愛してるよ。」と言った。

彼女は「私も。」と言った。

それから僕は彼女の柔らかい部分を舌でなぞると、動物のようにその雫を欲しがった。

やがて彼女は身体を強張らせ小さく震えると、ゆっくりと弛緩した。

柔らかくなった彼女の中をゆっくりと進むと、今度は獰猛に彼女の身体を求めた。

叩き壊してこじ開けようとするように僕は彼女の子宮を突いた。

僕がその途中で力尽きると、彼女の名前を呼んで覆いかぶさるように果てた。

「愛してるよ。」と言うと、彼女は「すごく伝わってくるよ。」と言ってくれた。

「離れないでね？」と言うと、彼女は「離れないよ。」と言ってくれた。

「どんな未来も一緒に受け入れてくれる？」と聞くと、彼女は「受け入れるよ。」と言った。

僕は彼女の中で、その役割を果たしたコンドームを引き抜いた。

僕はそれに結び目を作り、ベットから徐おもむろに起き上がるとリビングへと向かった。

僕は自分の遺伝子が蠢うごめくそれをリビングのゴミ箱へと捨てた。

僕がタクシーから見ていた「街灯のない先」には、このゴミ箱が口を開けているように思えた。