悪役になるのは嫌なので、さっさと表舞台から退場したいと思います。

深樹ロア

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幼少期編

1 目を覚ませば

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「ッ!?はぁっ、はぁっ…」

 気がつけば、俺はベットの上で眠っていた。

「はぁ……俺は…生きている…のか?」

 確か今さっき、地震が起きた拍子に何かで頭をぶつけて…

「…頭は、痛くねぇな。…てか、ここは病院なのか?」

 頭には包帯を巻いてあったが、痛みはなかった。だんだんと思考が落ち着いてきて、もう一度よく辺りを見回すと、そこは病室と言うより1人部屋のような感じだった。だが、同時に妙な違和感も感じた。

「ん…?あれ、俺ってこんなに声高かったっけ…」

 あー、あー!と叫んでみても、やはり高い声のままだ。

「んー?怪我の後遺症か…?」

 そう思いながらも、喉が渇いたので一旦誰かいないかを呼びに行こうとして…また違和感に気がついた。

「あ、あれ?なんでこのドアこんなにでかいんだ?」

 そして、気がついてしまった。ドアノブを掴む俺の手がとても小さいことに。

「っはぁぁぁぁあぁぁあああ!?!?」

 よくよく自分の体を確認してみると、やはり体が小さくなっている。それも一回り二回りと言ったレベルではなく、小学校低学年…いや、むしろ幼稚園児レベルの小ささかもしれない。

 そんな俺の叫び声を聞いたからか、ドタドタとこっちに近づいて来る足音がたくさん聞こえてきた。
 この部屋の扉を開け入ってきたのは、メイド服らしきものを着た女性たちだった。その女性たちは開口一番に言った。

「大丈夫でございましょうかお坊ちゃま…!」
「何かご気分を損ねてしまうことを致してしまったのでしょうか…?」

 ん…?と俺は不思議に思った。なぜならこの部屋には俺以外おらず、この人たちがいう『お坊ちゃま』らしき人物もいない。
 キョロキョロと辺りを見回す俺を不思議に思ったのか、女性の一人がおずおずと訪ねてきた。

「あ、あの…お坊ちゃまは一体何を探しておいででしょうか…?」

 そこで気がついた。この女性たち俺に対して言ってるのだと。だが、俺はお坊ちゃまでもなければこんな女性たちに会ったことすらないので人違いのはず。
だが、この時の俺はものすごく嫌ーな予感を感じとっていた。しかしこの勘には確証がない。だったらどうするべきか、答えは一つである。

「あの、そのさっきから言ってる『お坊ちゃま』って誰の事を言ってるんですか?」

 こういうのは一旦吹っ切れて素直に聞くんだよ。これ大事だから~なんてことを考えていると、次に部屋に響いたのは悲鳴ともいえる叫び声であった。
 ある女性はどうしようと言って錯乱しており、ある女性は顔を青ざめさせながらどこかへと走って行ってしまったりともう阿鼻叫喚である。そんな様子に困惑しつつも、これを引き起こしてしまったのは自分なのでなんとも言えないのも事実。
 そうこうしている間に、なにやら部屋にどんどん人が集まってきてしまい、俺は再度ベットに座らされることとなったのだった。
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