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幼少期編
18 不穏な予感
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「ん……?」
冷たくて硬い石の感触に目を覚ますと、そこは牢屋らしき場所だった。辺りはほの暗く、手の届かないほどの高さにある窓からうっすらと光の線が漏れ出ていて、明らかに先程までいた庭では無いということが分かる。だが、外に出てみようにも窓には手が届かず、出入口は鉄格子でおおわれている上に鍵がかかっていて出られそうにない。
「ここ……どこ…?……兄様?…クルル?…アリー、エルザ?……父様、母様…?」
知らない場所に一人きりという事実は、幼い年齢に引っ張られている精神を容赦なく抉っていく。気を抜くと、不安に体を支配されそうだ。
「こわい…でも、ここにいたら絶対にヤバいだろうし……逃げないと…!」
なんとかここから逃げ出せないかと道具を探していると、不意に後ろからキィィ……と扉を開く音がした。急いで振り向くと、そこには明らかにまともな奴じゃないと分かるような雰囲気の大柄で筋肉質な男が立っていた。
「だ……だれ、ですか…?」
「おいおい!これまた上玉じゃねぇか!」
俺を見た男は、下衆びた笑い声をだしながら俺に近づいてきた。どうしよう、嫌な予感しかしない。
男が近付いてくるたびにジリジリと後ろへ下がっていると、背中が壁に当たって退路を塞がれてしまった。
男は、そんな逃げ場をなくした俺の腕を掴んで強引に床へと俺の体を押えつけてきた。
「い、たっ……!?」
「は、こんな俺好みのガキが相手だなんて今日はツイてるな」
待て、これ絶対にダメなやつだ。この状況とさっきのセリフを察するに、間違いなくコイツが犯罪者であるだろうことが確定した。今すぐ逃げないと、とんでもない事になるかもしれないと焦りが募る。
だが、そんな焦る思いとは裏腹に、体を上から押さえつけられていて上手く逃げだすことが出来ない。
「い、や……はな、せっ…!」
「ガッ……!」
隙をついて男の股間を思いっきり蹴りあげてやると、男は唸り声を上げてその場にしゃがみこんだ。男がダウンしている間に開けっ放しの鉄格子から逃げ出そうと走ったが、男の回復が思ったよりも早く、俺は背中から体を床に思いっきり押さえつけられてしまった。
「このガキィッ……!ちょっと下手に出ればいい気になりやがって!」
「や、あ…!いだ、痛いぃッ!!」
男の目は血走っており、先程よりも強い力で俺の髪を鷲掴んで引っ張ってきた。そのあまりの痛みに、思わず涙が出てきてしまう。
「はっ!じっくり嬲ってやろうかと思っていたが予定変更だ!お前みたいな反抗するクソガキは無理やり犯した方が大人しくなるだろ!調教はその後でじっくりしてやる!」
完全にアウトである。もうこの男が俺にナニをしようとしているかが確実になってしまった。出来れば、外れていて欲しかったが…そうはいかないようだ。どうにか逃げれないかと模索するが、その動きを遮るように体の上へと乗っかられてしまった。
(痛っ……やばい、本当にまずい!!)
今すぐに魔術を使って撃退できればいいのだが、生憎俺はまだ属性が分かっていない為使えない。
そうこうしているうちに、俺の着ていたブラウスが背中から引きちぎられてしまった。その様子に、恐怖を抑えきることが出来ず、俺の頬を生理的な涙が流れ落ち続ける。
────嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ怖い怖い怖いっ!
「ほう、生意気な割に色白で細いじゃねぇか。こりゃ遊びがいがありそうだ」
「ひっぐ……や、嫌だ…!た、助けて…兄様…!」
男の手が俺のハーフパンツを下ろそうと掴んできたその時、地面が大きく揺れるほどの爆発音が響き渡った。
「な、なんだ!?」
「……!」
1つ瞬きをした次の瞬間、俺の上に乗っかっていたはずの男の体が宙を舞い、そのまま後ろの壁へと激突した。
男が吹き飛んだ方の反対側を見ると、見覚えのある複数人の影が見えた。
「に……兄様っ!!」
「ッ…!?ライッ!!」
「わっ……ぷ…」
俺が呼ぶと、兄様は必死の焦りの中にほっとしたような表情を浮かべて俺を抱きしめてくれた。
「よかった……本当によかった……」
「にい、さま……?」
「あぁ…ライ、ごめんね?怖かったよね?でも、もう大丈夫だから、安心して?ね?」
「う…あ…にい、さま……ゔああああぁぁぁっっ!!!」
兄様の”安心して”という言葉は、恐怖に支配されていた俺の心をいとも簡単に解いてしまった。その安堵からか、俺は涙が止まらなくなってしまい、そのまま兄様の腕の中で泣きじゃくり続けたのだった。
冷たくて硬い石の感触に目を覚ますと、そこは牢屋らしき場所だった。辺りはほの暗く、手の届かないほどの高さにある窓からうっすらと光の線が漏れ出ていて、明らかに先程までいた庭では無いということが分かる。だが、外に出てみようにも窓には手が届かず、出入口は鉄格子でおおわれている上に鍵がかかっていて出られそうにない。
「ここ……どこ…?……兄様?…クルル?…アリー、エルザ?……父様、母様…?」
知らない場所に一人きりという事実は、幼い年齢に引っ張られている精神を容赦なく抉っていく。気を抜くと、不安に体を支配されそうだ。
「こわい…でも、ここにいたら絶対にヤバいだろうし……逃げないと…!」
なんとかここから逃げ出せないかと道具を探していると、不意に後ろからキィィ……と扉を開く音がした。急いで振り向くと、そこには明らかにまともな奴じゃないと分かるような雰囲気の大柄で筋肉質な男が立っていた。
「だ……だれ、ですか…?」
「おいおい!これまた上玉じゃねぇか!」
俺を見た男は、下衆びた笑い声をだしながら俺に近づいてきた。どうしよう、嫌な予感しかしない。
男が近付いてくるたびにジリジリと後ろへ下がっていると、背中が壁に当たって退路を塞がれてしまった。
男は、そんな逃げ場をなくした俺の腕を掴んで強引に床へと俺の体を押えつけてきた。
「い、たっ……!?」
「は、こんな俺好みのガキが相手だなんて今日はツイてるな」
待て、これ絶対にダメなやつだ。この状況とさっきのセリフを察するに、間違いなくコイツが犯罪者であるだろうことが確定した。今すぐ逃げないと、とんでもない事になるかもしれないと焦りが募る。
だが、そんな焦る思いとは裏腹に、体を上から押さえつけられていて上手く逃げだすことが出来ない。
「い、や……はな、せっ…!」
「ガッ……!」
隙をついて男の股間を思いっきり蹴りあげてやると、男は唸り声を上げてその場にしゃがみこんだ。男がダウンしている間に開けっ放しの鉄格子から逃げ出そうと走ったが、男の回復が思ったよりも早く、俺は背中から体を床に思いっきり押さえつけられてしまった。
「このガキィッ……!ちょっと下手に出ればいい気になりやがって!」
「や、あ…!いだ、痛いぃッ!!」
男の目は血走っており、先程よりも強い力で俺の髪を鷲掴んで引っ張ってきた。そのあまりの痛みに、思わず涙が出てきてしまう。
「はっ!じっくり嬲ってやろうかと思っていたが予定変更だ!お前みたいな反抗するクソガキは無理やり犯した方が大人しくなるだろ!調教はその後でじっくりしてやる!」
完全にアウトである。もうこの男が俺にナニをしようとしているかが確実になってしまった。出来れば、外れていて欲しかったが…そうはいかないようだ。どうにか逃げれないかと模索するが、その動きを遮るように体の上へと乗っかられてしまった。
(痛っ……やばい、本当にまずい!!)
今すぐに魔術を使って撃退できればいいのだが、生憎俺はまだ属性が分かっていない為使えない。
そうこうしているうちに、俺の着ていたブラウスが背中から引きちぎられてしまった。その様子に、恐怖を抑えきることが出来ず、俺の頬を生理的な涙が流れ落ち続ける。
────嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ怖い怖い怖いっ!
「ほう、生意気な割に色白で細いじゃねぇか。こりゃ遊びがいがありそうだ」
「ひっぐ……や、嫌だ…!た、助けて…兄様…!」
男の手が俺のハーフパンツを下ろそうと掴んできたその時、地面が大きく揺れるほどの爆発音が響き渡った。
「な、なんだ!?」
「……!」
1つ瞬きをした次の瞬間、俺の上に乗っかっていたはずの男の体が宙を舞い、そのまま後ろの壁へと激突した。
男が吹き飛んだ方の反対側を見ると、見覚えのある複数人の影が見えた。
「に……兄様っ!!」
「ッ…!?ライッ!!」
「わっ……ぷ…」
俺が呼ぶと、兄様は必死の焦りの中にほっとしたような表情を浮かべて俺を抱きしめてくれた。
「よかった……本当によかった……」
「にい、さま……?」
「あぁ…ライ、ごめんね?怖かったよね?でも、もう大丈夫だから、安心して?ね?」
「う…あ…にい、さま……ゔああああぁぁぁっっ!!!」
兄様の”安心して”という言葉は、恐怖に支配されていた俺の心をいとも簡単に解いてしまった。その安堵からか、俺は涙が止まらなくなってしまい、そのまま兄様の腕の中で泣きじゃくり続けたのだった。
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