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幼少期編
10-2 波乱のパーティー
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「うぅ……どうしよ…」
「そんなに気落ちしないで、ライ。大丈夫、僕が付いてるから」
「兄様……」
さすが兄様、ものすごく頼りになる。それに、沈む俺の気持ちを察してか、色々と興味をあちらこちらに引いてくれている。
「あ、ほら見てライ。あそこにある桃のタルト、とても美味しそうだよ?」
「……!」
「ふふっ、食べるかい?」
「…っはい!食べたいです兄様!」
この桃のタルトがまた、とても美味しかった。前世のスイーツとも引けを取らないレベルである。
不意に本日の主役がいる辺りを見ると、もうすぐ列が途切れそうではないか。ここまで来れば、もう興味をほかに逸らしている場合ではなくなるだろう。あぁもう、本当に一体なんでこうなったんだ……なんてぶつくさと心の中で愚痴を言っていたら、例の3人がこちらに歩いてくるのが見えた。そして俺たちの目の前で止まると、公爵が父様に向かって話を振りだした。
「先程ぶりだな、レヴェリクト侯爵。そして、侯爵夫人」
「ええ…それより、もうご挨拶は終えられたのですか?」
「まぁな。…決して有意義とは言えなかったが」
「そうですか。ところで、我々に何の御用ですか?」
そう問い返した父様は笑顔を浮かべていたが、目は全く笑っていなかった。ちょっと怖い。
「先ほど言った通り、貴殿の子らに我が息子達の話し相手になってもらおうと思ってな!」
「私はまだ了承していないんですけどね?」
「まぁそうカリカリするな!…それより、少しばかり例の件について話をしたい。侯爵夫人も出来ればご一緒に」
「…はぁ……なるほど、承知いたしました。…ベル、ライのことをよろしく頼む」
「はい、勿論です父上。ライ、僕から絶対に離れちゃダメだよ?」
なんだか雰囲気がガラッと変わった気がしたが、とりあえず兄様の言葉に承諾した事を示すように首を縦に振る。すると、公爵はまたもや豪快に笑い出した。
「ハハハ!なぁに、それについては心配無用だ。なんせ、我が息子達もいるのだからな!」
「…その件についても、じぃー…っくりと話を聞きたいところですねぇ…」
さっきの真面目だった緊張しい雰囲気はどこへやら。豪快に笑う公爵と、その様子を見ながら絶対零度の気を放つ父様。そして、その2人を呆れたようにため息を吐きながら見つめる母様の図が出来上がっていた。
そうして父様達がどこかへと席を外すと、この場に沈黙という気まずい雰囲気が出来上がっていた。その空気をどうやって打破しようかと恐る恐る顔を上げると、なぜか3人の目線は俺の方に向いていた。予想外のことに驚いてしまって、本能的に兄様の背中へと隠れてしまったのは仕方がないだろう。
なぜか余計に空気が重くなってしまった気もするが、これに関しては俺は悪く無い。誰だってじっと見つめられてたら怖いでしょ普通は。と、心の中で言い訳をしていたのも束の間。最初に沈黙を破ったのは意外にもエニアくんだった。
「えっ…と、改めて…クロンディア公爵家が次男のエニアです。先ほどはお祝いの言葉を有難うございました、ベリオル殿と…えっと、クライドくん?って呼んでも良いかな?」
どうやら、俺とコミュニケーションを取ろうと頑張ってくれているらしい。とりあえず、呼び方はそれで良いので頷いて意思表示をする。するとエニアくんは、ぱぁぁ!と効果音が付いてるかと思うくらい嬉しそうに顔を輝かせた。
「よろしくね、クライドくん!」
「よ、よろしくお願いします…あの、俺もエニアくんって呼んでもいい…ですか?」
「ぜひそう呼んで!あと、敬語は無しでお願い!」
嬉しそうに俺の手を取り握手を交わしたエニアくんは、それはもういい笑顔をしていた。エニアくんは俺の一個上の6歳なんだそうだが、どう見ても身長に差がありすぎる。おそらく、10センチくらいは違う。それは偏に、クライドの身長が低いせいであろう。そのせいか、エニアくんの俺を見る目がなんだか兄様を感じさせる。…もしかして、弟みたいって思われてんのかな…
そんなことを考えていると、ふと視線を感じて顔を上げてみた。視線を感じた方向に目線を向けると、何故か苦虫を噛み潰したような顔をしたリオネスがいた。俺の目線を追ってか、エニアくんも斜め後ろを向いた。すると、みるみる怒ったような表情になっていった。
「…兄さん、どうしてそんな顔でクライドくんを見つめているんですか?」
その声は静かだが、確かな怒気を含んでいた。その問いかけに対し、リオネスは罰が悪そうな顔をしながらもボソボソと何かを呟いて去って行った。だが、ほぼ真下にいた俺には聞こえてしまったのだ。
『今更いい子ぶったって意味ないくせに』
そして、俺と同様に聞こえてしまったのだろう。エニアくんの顔が怒りで歪んでいった。そんな不穏な様子を察知したのかは知らないが、兄様が話題を逸らしてくれたおかげでその場の重い空気感は有耶無耶になっていった。こうしてパーティーも無事?に終わったので、俺は家族と共に帰宅した。だが、どうやら案外疲れが溜まっていたらしく、さっさとやることを済ませてしまえばベットに入り込んだと同時に眠ってしまった。
次の日は、ぐっすり寝た影響か疲れはなくスッキリとしていて、気分良く1日を過ごすことができた。
だから、思わなかったのだ。まさかパーティーを終えた数日後に、リオネスを連れた公爵が俺に謝罪をしに訪れるなんて。
「そんなに気落ちしないで、ライ。大丈夫、僕が付いてるから」
「兄様……」
さすが兄様、ものすごく頼りになる。それに、沈む俺の気持ちを察してか、色々と興味をあちらこちらに引いてくれている。
「あ、ほら見てライ。あそこにある桃のタルト、とても美味しそうだよ?」
「……!」
「ふふっ、食べるかい?」
「…っはい!食べたいです兄様!」
この桃のタルトがまた、とても美味しかった。前世のスイーツとも引けを取らないレベルである。
不意に本日の主役がいる辺りを見ると、もうすぐ列が途切れそうではないか。ここまで来れば、もう興味をほかに逸らしている場合ではなくなるだろう。あぁもう、本当に一体なんでこうなったんだ……なんてぶつくさと心の中で愚痴を言っていたら、例の3人がこちらに歩いてくるのが見えた。そして俺たちの目の前で止まると、公爵が父様に向かって話を振りだした。
「先程ぶりだな、レヴェリクト侯爵。そして、侯爵夫人」
「ええ…それより、もうご挨拶は終えられたのですか?」
「まぁな。…決して有意義とは言えなかったが」
「そうですか。ところで、我々に何の御用ですか?」
そう問い返した父様は笑顔を浮かべていたが、目は全く笑っていなかった。ちょっと怖い。
「先ほど言った通り、貴殿の子らに我が息子達の話し相手になってもらおうと思ってな!」
「私はまだ了承していないんですけどね?」
「まぁそうカリカリするな!…それより、少しばかり例の件について話をしたい。侯爵夫人も出来ればご一緒に」
「…はぁ……なるほど、承知いたしました。…ベル、ライのことをよろしく頼む」
「はい、勿論です父上。ライ、僕から絶対に離れちゃダメだよ?」
なんだか雰囲気がガラッと変わった気がしたが、とりあえず兄様の言葉に承諾した事を示すように首を縦に振る。すると、公爵はまたもや豪快に笑い出した。
「ハハハ!なぁに、それについては心配無用だ。なんせ、我が息子達もいるのだからな!」
「…その件についても、じぃー…っくりと話を聞きたいところですねぇ…」
さっきの真面目だった緊張しい雰囲気はどこへやら。豪快に笑う公爵と、その様子を見ながら絶対零度の気を放つ父様。そして、その2人を呆れたようにため息を吐きながら見つめる母様の図が出来上がっていた。
そうして父様達がどこかへと席を外すと、この場に沈黙という気まずい雰囲気が出来上がっていた。その空気をどうやって打破しようかと恐る恐る顔を上げると、なぜか3人の目線は俺の方に向いていた。予想外のことに驚いてしまって、本能的に兄様の背中へと隠れてしまったのは仕方がないだろう。
なぜか余計に空気が重くなってしまった気もするが、これに関しては俺は悪く無い。誰だってじっと見つめられてたら怖いでしょ普通は。と、心の中で言い訳をしていたのも束の間。最初に沈黙を破ったのは意外にもエニアくんだった。
「えっ…と、改めて…クロンディア公爵家が次男のエニアです。先ほどはお祝いの言葉を有難うございました、ベリオル殿と…えっと、クライドくん?って呼んでも良いかな?」
どうやら、俺とコミュニケーションを取ろうと頑張ってくれているらしい。とりあえず、呼び方はそれで良いので頷いて意思表示をする。するとエニアくんは、ぱぁぁ!と効果音が付いてるかと思うくらい嬉しそうに顔を輝かせた。
「よろしくね、クライドくん!」
「よ、よろしくお願いします…あの、俺もエニアくんって呼んでもいい…ですか?」
「ぜひそう呼んで!あと、敬語は無しでお願い!」
嬉しそうに俺の手を取り握手を交わしたエニアくんは、それはもういい笑顔をしていた。エニアくんは俺の一個上の6歳なんだそうだが、どう見ても身長に差がありすぎる。おそらく、10センチくらいは違う。それは偏に、クライドの身長が低いせいであろう。そのせいか、エニアくんの俺を見る目がなんだか兄様を感じさせる。…もしかして、弟みたいって思われてんのかな…
そんなことを考えていると、ふと視線を感じて顔を上げてみた。視線を感じた方向に目線を向けると、何故か苦虫を噛み潰したような顔をしたリオネスがいた。俺の目線を追ってか、エニアくんも斜め後ろを向いた。すると、みるみる怒ったような表情になっていった。
「…兄さん、どうしてそんな顔でクライドくんを見つめているんですか?」
その声は静かだが、確かな怒気を含んでいた。その問いかけに対し、リオネスは罰が悪そうな顔をしながらもボソボソと何かを呟いて去って行った。だが、ほぼ真下にいた俺には聞こえてしまったのだ。
『今更いい子ぶったって意味ないくせに』
そして、俺と同様に聞こえてしまったのだろう。エニアくんの顔が怒りで歪んでいった。そんな不穏な様子を察知したのかは知らないが、兄様が話題を逸らしてくれたおかげでその場の重い空気感は有耶無耶になっていった。こうしてパーティーも無事?に終わったので、俺は家族と共に帰宅した。だが、どうやら案外疲れが溜まっていたらしく、さっさとやることを済ませてしまえばベットに入り込んだと同時に眠ってしまった。
次の日は、ぐっすり寝た影響か疲れはなくスッキリとしていて、気分良く1日を過ごすことができた。
だから、思わなかったのだ。まさかパーティーを終えた数日後に、リオネスを連れた公爵が俺に謝罪をしに訪れるなんて。
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