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93話 便利な調理スキル
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「次の目標が決まったみたいだが、サナダ街で噂になっているものが気になってるんだが……」
ガレオンが大臣にこってりと絞られてからユキムラたちのところに合流してきた。
「あ、それ俺も凄い気になってるんだ。大臣どもは絶対に駄目だって言うし……」
ハワード王も何故か混ざってくる。この人は暇なんだろうか?
「刺し身ってのがうまいんだろ?」
「俺は寿司がうまいって聞いた」
ふたりとも目指すところは同じなようだ。
生魚をそのまま調理するのは、よほど新鮮な魚を用意する必要がある。
しかも寄生虫などのハードルが高いためむやみには広められない。
それをすべてクリアにしてしまうのが調理スキルだ。
素材の鮮度は大変重要だし、レアリティは完成するものに直結するから、新鮮な魚の確保は非常に重要だ。
しかし、それはアイテムボックスが解決する。
素材をそのままの状態で固定して保存できる。
一切の劣化はない。釣り上げボックスへ入れれば、入れたそのままの姿で取りだすことができる。
「今作りましょうか?」
ユキムラの何気ない一言が後々まで王城の料理人を苦しめることになる。
誰もそんなこと気がつけるはずもなかった。
ユキムラはキッチンを取り出す。
文字通りキッチンをアイテムボックスから取り出した。
もう意味がわからないかもしれないが、取り出され、そこにキッチンができるのだ。
「まぁ、おつまみ程度にお造りでも作りますよ」
ユキムラはアイテムボックスから烏賊いか、鮭さけ、鯛たい、鮪まぐろ、鮃ひらめを取り出し、五点盛りを慣れた手つきで作り出す。
サナダ街でも調理スキル以外での生魚の調理は禁止されている。
スキルを使えば寄生虫などの心配もなく、毒素も取り除き安全な生魚が食べられる。
つまりスキルさえあればフグもOKなのだ。
食材が傷んでいると自動的に調理失敗になる。そういう点でも安全性を高められる。
「はい、お待たせしました。鮮魚五点盛です」
目の前で跡形もなく消えた魚と現れた料理。
突っ込みたい点は山ほどあったが、とりあえず見たこともない目の前の料理への興味が王とギルドマスターの理性を支配していた。
「これをつけて食べてください。醤油といいます。幾つか種類があるのでお好みで。
嫌いでなければこれも塩ですが色々と手を加えているのでお好きなものがあるかもしれないです」
ユキムラは塩もただの塩で終わらせず、なんちゃってではあるが、抹茶塩、梅塩、旨味塩、醤油塩、など様々な種類のものを作っていた。天ぷらとか刺し身とかに合わせて楽しんでいた。
おじさんは食事にこだわるの、コンビニ弁当で生活していたその反動が出ている。
「こ、これは焼かずにこのままだよな……」
「ビビってるのか? 王様も肝が小さいな!」
そういいつつも、魚を生で食べる習慣がなければ気遅れるのは仕方ない。
それでも意を決して二人は刺し身を口に放り込む。
その間にユキムラは握りを作ったりちらし寿司を作っている。
慣れたレンやソーカは喜んで食べている。ヴァリィも物おじしないのですぐにバクバクと食べている。
「こ、これは!!」
「う、うめぇ!!」
ハワード王もガレオンもひとくち食べたらその目新しさと旨さに夢中になってくれた。
「やはり刺し身にはこれなんですが飲まれますか?」
ユキムラは試作途中の日本酒をだす。
「なんと、これは優しくて甘くて……、それでいて弱くない! 気に入ったぁ!」
「おお、口の中で刺し身と一緒になるとまた美味い……」
試作品の日本酒も大層気に入ってくれた。
いつの間にか小宴会が始まる。
そして王を咎めるために集まった大臣や親衛隊も初めて食べる刺し身と寿司の魅力に夢中になる。
王の命令で場所を食堂へ移して、ユキムラやレン、ソーカが宮廷料理人に料理スキルを教えたり、
城全体を巻き込んだ大宴会になっていくのに時間はかからなかった。
この日から王の無茶振りに答えるために素材の確保、調理レベルの向上に宮廷料理人が奔走することになるのはまた別のお話だ……
「とりあえず次の目標ははっきりした。バルトールの街へ行き、ダンジョンを攻略する」
ユキムラたちはなんとか城を抜け出して宿で今後の方針を話し合っていた。
「けどユキムラちゃん、ダンジョン攻略って簡単に言うけど未だに誰も最深部まで到達したことないのよ?」
ヴァリィが不安を口にする。しかしユキムラはすでにそのダンジョンを攻略したことがるのだ。
「たぶん自分が考えているダンジョンの通りなら、攻略は十分可能だと思う。
もちろんそのための準備もしっかりするけどね。ところでヴァリィはレベルいくつなの?」
「え? 私? 昔に調べたときは60ちょっとだと思うけど……」
初めてのMDになるバルトールのダンジョン。チーム欄を呼び出してリーダーをヴァリィへと変更する。
「とりあえず街へと行ってダンジョンを見てみよう。それからも色々と対策を練られるはずです」
ユキムラの中ではヴァリィにMDになるを作らせて低レベルダンジョンにして攻略の絵図はすでに出来ているので、あまり不安もなかった。
「なんか日が高いうちからちまちま食べてたからそこまでお腹空いてないし、宿の人に言ってかんたんなもの用意して食べようか?」
反対する人はいない。
レンは宿の人に夜の食事が不要であることを伝える。
少し暖かくなってきた部屋のベランダでユキムラは海鮮を用いた寄せ鍋を作る。
こちらでも煮込み料理は多いがどちらかと言えばシチューみたいな本当の煮込む料理が多い。
水炊きみたいなさっと煮てさくっと食べる料理は案外珍しい。
なんだかんだ、結局卵雑炊までみんな美味しく頂いてお腹パンパンにさせることになりましたとさ。
タロは普通の犬オオカミとは一線を画す生物らしく、食事に関してはどんなものでも問題なく食べることが出来て、体調を崩すようなこともない。流石だね。
なので食事の時は大人しく、そして上品に同じものを食べている。
本当にできた子なのでした。
ガレオンが大臣にこってりと絞られてからユキムラたちのところに合流してきた。
「あ、それ俺も凄い気になってるんだ。大臣どもは絶対に駄目だって言うし……」
ハワード王も何故か混ざってくる。この人は暇なんだろうか?
「刺し身ってのがうまいんだろ?」
「俺は寿司がうまいって聞いた」
ふたりとも目指すところは同じなようだ。
生魚をそのまま調理するのは、よほど新鮮な魚を用意する必要がある。
しかも寄生虫などのハードルが高いためむやみには広められない。
それをすべてクリアにしてしまうのが調理スキルだ。
素材の鮮度は大変重要だし、レアリティは完成するものに直結するから、新鮮な魚の確保は非常に重要だ。
しかし、それはアイテムボックスが解決する。
素材をそのままの状態で固定して保存できる。
一切の劣化はない。釣り上げボックスへ入れれば、入れたそのままの姿で取りだすことができる。
「今作りましょうか?」
ユキムラの何気ない一言が後々まで王城の料理人を苦しめることになる。
誰もそんなこと気がつけるはずもなかった。
ユキムラはキッチンを取り出す。
文字通りキッチンをアイテムボックスから取り出した。
もう意味がわからないかもしれないが、取り出され、そこにキッチンができるのだ。
「まぁ、おつまみ程度にお造りでも作りますよ」
ユキムラはアイテムボックスから烏賊いか、鮭さけ、鯛たい、鮪まぐろ、鮃ひらめを取り出し、五点盛りを慣れた手つきで作り出す。
サナダ街でも調理スキル以外での生魚の調理は禁止されている。
スキルを使えば寄生虫などの心配もなく、毒素も取り除き安全な生魚が食べられる。
つまりスキルさえあればフグもOKなのだ。
食材が傷んでいると自動的に調理失敗になる。そういう点でも安全性を高められる。
「はい、お待たせしました。鮮魚五点盛です」
目の前で跡形もなく消えた魚と現れた料理。
突っ込みたい点は山ほどあったが、とりあえず見たこともない目の前の料理への興味が王とギルドマスターの理性を支配していた。
「これをつけて食べてください。醤油といいます。幾つか種類があるのでお好みで。
嫌いでなければこれも塩ですが色々と手を加えているのでお好きなものがあるかもしれないです」
ユキムラは塩もただの塩で終わらせず、なんちゃってではあるが、抹茶塩、梅塩、旨味塩、醤油塩、など様々な種類のものを作っていた。天ぷらとか刺し身とかに合わせて楽しんでいた。
おじさんは食事にこだわるの、コンビニ弁当で生活していたその反動が出ている。
「こ、これは焼かずにこのままだよな……」
「ビビってるのか? 王様も肝が小さいな!」
そういいつつも、魚を生で食べる習慣がなければ気遅れるのは仕方ない。
それでも意を決して二人は刺し身を口に放り込む。
その間にユキムラは握りを作ったりちらし寿司を作っている。
慣れたレンやソーカは喜んで食べている。ヴァリィも物おじしないのですぐにバクバクと食べている。
「こ、これは!!」
「う、うめぇ!!」
ハワード王もガレオンもひとくち食べたらその目新しさと旨さに夢中になってくれた。
「やはり刺し身にはこれなんですが飲まれますか?」
ユキムラは試作途中の日本酒をだす。
「なんと、これは優しくて甘くて……、それでいて弱くない! 気に入ったぁ!」
「おお、口の中で刺し身と一緒になるとまた美味い……」
試作品の日本酒も大層気に入ってくれた。
いつの間にか小宴会が始まる。
そして王を咎めるために集まった大臣や親衛隊も初めて食べる刺し身と寿司の魅力に夢中になる。
王の命令で場所を食堂へ移して、ユキムラやレン、ソーカが宮廷料理人に料理スキルを教えたり、
城全体を巻き込んだ大宴会になっていくのに時間はかからなかった。
この日から王の無茶振りに答えるために素材の確保、調理レベルの向上に宮廷料理人が奔走することになるのはまた別のお話だ……
「とりあえず次の目標ははっきりした。バルトールの街へ行き、ダンジョンを攻略する」
ユキムラたちはなんとか城を抜け出して宿で今後の方針を話し合っていた。
「けどユキムラちゃん、ダンジョン攻略って簡単に言うけど未だに誰も最深部まで到達したことないのよ?」
ヴァリィが不安を口にする。しかしユキムラはすでにそのダンジョンを攻略したことがるのだ。
「たぶん自分が考えているダンジョンの通りなら、攻略は十分可能だと思う。
もちろんそのための準備もしっかりするけどね。ところでヴァリィはレベルいくつなの?」
「え? 私? 昔に調べたときは60ちょっとだと思うけど……」
初めてのMDになるバルトールのダンジョン。チーム欄を呼び出してリーダーをヴァリィへと変更する。
「とりあえず街へと行ってダンジョンを見てみよう。それからも色々と対策を練られるはずです」
ユキムラの中ではヴァリィにMDになるを作らせて低レベルダンジョンにして攻略の絵図はすでに出来ているので、あまり不安もなかった。
「なんか日が高いうちからちまちま食べてたからそこまでお腹空いてないし、宿の人に言ってかんたんなもの用意して食べようか?」
反対する人はいない。
レンは宿の人に夜の食事が不要であることを伝える。
少し暖かくなってきた部屋のベランダでユキムラは海鮮を用いた寄せ鍋を作る。
こちらでも煮込み料理は多いがどちらかと言えばシチューみたいな本当の煮込む料理が多い。
水炊きみたいなさっと煮てさくっと食べる料理は案外珍しい。
なんだかんだ、結局卵雑炊までみんな美味しく頂いてお腹パンパンにさせることになりましたとさ。
タロは普通の犬オオカミとは一線を画す生物らしく、食事に関してはどんなものでも問題なく食べることが出来て、体調を崩すようなこともない。流石だね。
なので食事の時は大人しく、そして上品に同じものを食べている。
本当にできた子なのでした。
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