95 / 342
95話 いざ冒険者の街へ
しおりを挟む
王都でお世話になった人々に挨拶と次の予定を伝え、惜しまれながらもユキムラ一行は王都を後にする。
改めて決まったことと言えばパーティの正式名が決まった。
サナダ白狼隊だ。そのまんまだ。
バルトールの街は王都プラネテルの南西に位置する。
行き来が多いため道路はきちんと整備されており普通の馬車でも2日ほどで到着する。
ヴァリィはさっそくサナダ街製馬車の洗礼を浴びる。
「全く揺れないわね」
「ええ、そっちで作業も出来ます」
「広い、広すぎるわね」
「ええ、そっちがお風呂で個室も増やしました。ここ押すと天井部が拡張して寝室が出来ます」
レンが説明してさらに魔改造度が上がった馬車を案内する。
「ここも停車時なら左右に拡張して、ここからベッドが出せますから、最大10名程度なら何の問題もなく宿泊可能です」
「あんまり、驚かない気でいたけど。ユキムラちゃん達、半端ないわね……」
それでもせっかく与えられた環境は利用する派のヴァリィは制作活動に勤しむ。
ユキムラも作業台でレンと一緒に発明やら改造に打ち込んでいる。
馬車を操るソーカはタロと一緒に鼻歌交じりで馬車を走らせる。
別段イベントが有るわけでもなく、それはもう快適な野営を一度こなして街への道を進む。
「師匠、見えてきました。バルトールの街です」
予定通り、初夏の日差しが厳しい昼過ぎに街へと到着する。
いつもの通りに衛兵の審査を抜け、馬を宿へと預ける。
街の特性上、冒険者たちは長期に宿を取ることも多い。
「師匠、はっきり言ってしまってしまうと、もう馬は街へ戻しませんか?」
「そうなんだよね、宿も別に取らなくてもいいしな……」
「ユキムラさん今この街にはサナダ街の商人もいるそうです。お呼びしますか?」
「そうだな。もういいや。馬はサナダ街へ返そう。危ない目にも何度か合わせちゃったしね」
「ちょ、ちょっと馬車はどうするの?」
「もうかわりの動力は作ってあるんで。いままで遠慮してたんですが気にしないことにします!」
ユキムラはとてもいい笑顔でヴァリィにサムズアップで答える。
こうして馬車は自動車へとランクアップした。というか戦車……的な?
街の雰囲気は王都とはだいぶ異なる。
居酒屋や食堂、冒険用の用品を扱うお店が立ち並び、ダンジョンでの素材を買い取ったり、それを加工した商品を扱う店が立ち並んでいた。
整然とした王都の町並みに比べるとごちゃごちゃとしていたが、活気は王都以上でユキムラはこの街を既にすっかり気に入っていた。
「いいねぇ、変わった食べ物も多くありそうだし。変な物もたくさん売ってそうだ」
「道行く人も冒険者風な人が多いですね。僕達も武装します? ちょっと浮いてますよね」
「まぁ、夜ご飯食べてから考えよう。っと、その前にギルドへ行こう」
この街の冒険者ギルドはダンジョンへ入る冒険者を管理する関係で、ダンジョンの入口のある街の奥の方に存在する。万が一のダンジョンからのモンスターの氾濫を防ぐために街の中にもう一つ城壁が組まれていて、その内部にギルドの建物がある。
ギルドの建物に入る扉も今は上がっている、かなりの重量がある鉄製の扉、もう一つが木製の内扉という作りになっている。
ギギギギと立て付けの悪い音を立ててギルド内へ入ると、今まで見たギルドの中でも、もっとも賑わっていた。
今日はビッグタートル3匹仕留めてうはうはよー!
7階にソードウルフが出て苦労したぜー!
何だよ! ただの石ころかよ!!
冒険者の騒ぎ声で室内は喧騒に包まれている。
しかし、嫌な感じはしない。
みな自分の仕事に誇りを持っている感じがする。
The 冒険者ギルドと言った雰囲気だ。
ユキムラ達、サナダ白狼隊はA級パーティになる。
隊長のユキムラはS級。間違いなく一流のパーティだ。
見る人が見ればその実力は推して知るべしという奴だ。
外のワンチャン可愛かったー!
どうやら今入ってきた女性の冒険者らしく、外でお利口さんに待っているタロが愛想を振りまいたのだろう。
ユキムラはニヤリとしながら受付へと向かう。
「はじめまして。
私はユキムラと申します。
この度ダンジョンに入る許可を頂きにまいりました。
こちらに王都ギルド本部ギルドマスターからの紹介状もありますので、よろしくお願いします」
新人営業みたいなかたっ苦しい話し方になってしまった。
少し興奮と緊張をしているようだ。
本部ギルドマスターの名前が出たことで周りの冒険者たちもユキムラと受付嬢の会話に興味を惹かれる。あいつら何者だ? とそこらかしこで話題になり始める。
紹介状が本物であることが確かめられると奥の応接間へと通されることになる。
これでさらにギルド内の興味はユキムラ達サナダ白狼隊へと集中していくことになる。
応接間に入るとすぐに真面目そうな男が入ってくる。
「紹介状は拝見いたしました。バルトール冒険者ギルドマスターを勤めているポストと申します」
「サナダ白狼隊のリーダーをしていますユキムラです。よろしくお願いします」
握手を交わす。たぶんこのポストさんは魔術系の職だろうな。ユキムラはそう予想する。
知的な顔つき、生真面目そうで整えられた服装。そしてそこまでの肉体的なボリュームを感じさせない。握った手もゴツゴツとはしておらず力仕事よりは知的な仕事を得意としてそうだ。
「今回は紹介状もありますので問題なくダンジョン入場の許可、しかもプラチナ証をお出しします。
ずいぶん総本部長も推しているようで、ぜひ最深部の宝を持ち帰ってくださることをギルドとしても期待いたします。ダンジョンでの基本的なルールはそちらの冊子に目を通してください。
ダンジョンに潜られる全ての冒険者に女神の加護の有らんことを……」
ポストさんは懐から女神の首かざりを出して祈ってくれる。どうやら聖職者系の方らしい。
「今日はもう遅くなってきていますので入場は明日からということでよろしいですか?」
「はい、今日一日英気を養い明日から一気に攻略を目指していきます」
「ふむ、普通なら準備などで数ヶ月出たり入ったりするものですが、なるほど確かに見た目にそぐわぬ剛毅な方のようだ。繰り返しご武運をお祈りさせてもらいます」
再度固く握手を交わす。
ギルドでの用事は済んだ。
後はダンジョン攻略を目指すだけだ。
改めて決まったことと言えばパーティの正式名が決まった。
サナダ白狼隊だ。そのまんまだ。
バルトールの街は王都プラネテルの南西に位置する。
行き来が多いため道路はきちんと整備されており普通の馬車でも2日ほどで到着する。
ヴァリィはさっそくサナダ街製馬車の洗礼を浴びる。
「全く揺れないわね」
「ええ、そっちで作業も出来ます」
「広い、広すぎるわね」
「ええ、そっちがお風呂で個室も増やしました。ここ押すと天井部が拡張して寝室が出来ます」
レンが説明してさらに魔改造度が上がった馬車を案内する。
「ここも停車時なら左右に拡張して、ここからベッドが出せますから、最大10名程度なら何の問題もなく宿泊可能です」
「あんまり、驚かない気でいたけど。ユキムラちゃん達、半端ないわね……」
それでもせっかく与えられた環境は利用する派のヴァリィは制作活動に勤しむ。
ユキムラも作業台でレンと一緒に発明やら改造に打ち込んでいる。
馬車を操るソーカはタロと一緒に鼻歌交じりで馬車を走らせる。
別段イベントが有るわけでもなく、それはもう快適な野営を一度こなして街への道を進む。
「師匠、見えてきました。バルトールの街です」
予定通り、初夏の日差しが厳しい昼過ぎに街へと到着する。
いつもの通りに衛兵の審査を抜け、馬を宿へと預ける。
街の特性上、冒険者たちは長期に宿を取ることも多い。
「師匠、はっきり言ってしまってしまうと、もう馬は街へ戻しませんか?」
「そうなんだよね、宿も別に取らなくてもいいしな……」
「ユキムラさん今この街にはサナダ街の商人もいるそうです。お呼びしますか?」
「そうだな。もういいや。馬はサナダ街へ返そう。危ない目にも何度か合わせちゃったしね」
「ちょ、ちょっと馬車はどうするの?」
「もうかわりの動力は作ってあるんで。いままで遠慮してたんですが気にしないことにします!」
ユキムラはとてもいい笑顔でヴァリィにサムズアップで答える。
こうして馬車は自動車へとランクアップした。というか戦車……的な?
街の雰囲気は王都とはだいぶ異なる。
居酒屋や食堂、冒険用の用品を扱うお店が立ち並び、ダンジョンでの素材を買い取ったり、それを加工した商品を扱う店が立ち並んでいた。
整然とした王都の町並みに比べるとごちゃごちゃとしていたが、活気は王都以上でユキムラはこの街を既にすっかり気に入っていた。
「いいねぇ、変わった食べ物も多くありそうだし。変な物もたくさん売ってそうだ」
「道行く人も冒険者風な人が多いですね。僕達も武装します? ちょっと浮いてますよね」
「まぁ、夜ご飯食べてから考えよう。っと、その前にギルドへ行こう」
この街の冒険者ギルドはダンジョンへ入る冒険者を管理する関係で、ダンジョンの入口のある街の奥の方に存在する。万が一のダンジョンからのモンスターの氾濫を防ぐために街の中にもう一つ城壁が組まれていて、その内部にギルドの建物がある。
ギルドの建物に入る扉も今は上がっている、かなりの重量がある鉄製の扉、もう一つが木製の内扉という作りになっている。
ギギギギと立て付けの悪い音を立ててギルド内へ入ると、今まで見たギルドの中でも、もっとも賑わっていた。
今日はビッグタートル3匹仕留めてうはうはよー!
7階にソードウルフが出て苦労したぜー!
何だよ! ただの石ころかよ!!
冒険者の騒ぎ声で室内は喧騒に包まれている。
しかし、嫌な感じはしない。
みな自分の仕事に誇りを持っている感じがする。
The 冒険者ギルドと言った雰囲気だ。
ユキムラ達、サナダ白狼隊はA級パーティになる。
隊長のユキムラはS級。間違いなく一流のパーティだ。
見る人が見ればその実力は推して知るべしという奴だ。
外のワンチャン可愛かったー!
どうやら今入ってきた女性の冒険者らしく、外でお利口さんに待っているタロが愛想を振りまいたのだろう。
ユキムラはニヤリとしながら受付へと向かう。
「はじめまして。
私はユキムラと申します。
この度ダンジョンに入る許可を頂きにまいりました。
こちらに王都ギルド本部ギルドマスターからの紹介状もありますので、よろしくお願いします」
新人営業みたいなかたっ苦しい話し方になってしまった。
少し興奮と緊張をしているようだ。
本部ギルドマスターの名前が出たことで周りの冒険者たちもユキムラと受付嬢の会話に興味を惹かれる。あいつら何者だ? とそこらかしこで話題になり始める。
紹介状が本物であることが確かめられると奥の応接間へと通されることになる。
これでさらにギルド内の興味はユキムラ達サナダ白狼隊へと集中していくことになる。
応接間に入るとすぐに真面目そうな男が入ってくる。
「紹介状は拝見いたしました。バルトール冒険者ギルドマスターを勤めているポストと申します」
「サナダ白狼隊のリーダーをしていますユキムラです。よろしくお願いします」
握手を交わす。たぶんこのポストさんは魔術系の職だろうな。ユキムラはそう予想する。
知的な顔つき、生真面目そうで整えられた服装。そしてそこまでの肉体的なボリュームを感じさせない。握った手もゴツゴツとはしておらず力仕事よりは知的な仕事を得意としてそうだ。
「今回は紹介状もありますので問題なくダンジョン入場の許可、しかもプラチナ証をお出しします。
ずいぶん総本部長も推しているようで、ぜひ最深部の宝を持ち帰ってくださることをギルドとしても期待いたします。ダンジョンでの基本的なルールはそちらの冊子に目を通してください。
ダンジョンに潜られる全ての冒険者に女神の加護の有らんことを……」
ポストさんは懐から女神の首かざりを出して祈ってくれる。どうやら聖職者系の方らしい。
「今日はもう遅くなってきていますので入場は明日からということでよろしいですか?」
「はい、今日一日英気を養い明日から一気に攻略を目指していきます」
「ふむ、普通なら準備などで数ヶ月出たり入ったりするものですが、なるほど確かに見た目にそぐわぬ剛毅な方のようだ。繰り返しご武運をお祈りさせてもらいます」
再度固く握手を交わす。
ギルドでの用事は済んだ。
後はダンジョン攻略を目指すだけだ。
10
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる