老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

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100話 トレジャーハント

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 40階を越えると敵の質、数共に増えて、とうとうユキムラも参戦する形になった。

 一緒に戦いだして、そして今まで助言、苦言を受けてきたパーティメンバーはユキムラの凄さをこれでもかと言うほど思い知ることになる。



「師匠先程の戦闘なんで敵があのポイントに集まるってわかったんですか?」



「ああ、あのトラップのこと? うーん……説明すると長いけど、敵の行動をコントロールして移動する方向を誘導していくだけだよ簡単に言えば」



「待ってください。私達ユキムラさんから特に何の指示も受けてませんでしたよ?」



「それはどういう時にどう動くか後ろで見させてもらってわかってきたから、こっちが少し手を加えれば動いて欲しいように動いてくれるからね」



「ワオン!」



「そうそう、細かな調整はタロがやってくれるからね。タロはほんとに凄いよねー」



 レンもソーカもヴァリィも開いた口が塞がらない状態だった。

 自分たちと敵の行動を全てコントロールして戦闘を完全に支配下に置いていたってことだ。



「まぁレンやソーカ、ヴァリィに指導してるのも俺だからね。皆優秀だから助かるよ」



 3人は背中に冷たいものを感じる。この人は一体どこまでなんだと。

 見た目は16・7の優男がこの境地に到れるものなのか……

 ユキムラが来訪者なんだと否が応でも思ってしまった。

 伝説の存在と言うものは便利な言葉で、たとえ考えられないような能力を持っていても、来訪者なら仕方ない。と、この世界では説明がついてしまう。



「私……こんな人の隣りにいたいなんて……身の程知らず……」



「ん? ソーカ何か言った?」



「い、いいえ! 何でもないです!」



「ソーカもだいぶ動き良くなってるからそれが当たり前になってくるとまた楽しくなってくるよ」



「はい! ありがとうございます!」



 その後も複数のPTが混合したような敵との戦闘でも、敵の集団行動の阻害の重要性を説明しながら見事にピタ○ラスイッチのように、罠に面白いように敵がハマっていく姿に驚愕しながら、自分に与えられた仕事をきちっとこなしていく。

 

 ユキムラはもちろん前線で1対1で戦えば無敵の戦士と言っていい。

 しかし本当に恐ろしいのはパーティなどでバランスを取ったり、様々なスキルで敵の行動を阻害、そして撃破していく2列目にいたほうが敵全体からすると恐怖なのだ。

 レンは一生懸命ユキムラから学ぼうと幾度となく戦いの記録を見返し、戦闘中も自らの仕事をこなしつつ出来る限りユキムラの思惑を理解しようと心がけるようになる。

 これが飛躍的なレンの成長へとつながっていくのは疑いようもない事だった。



 もちろんいつも後衛にいるわけではなく、ヴァリィやソーカの師として前衛としての立ち回りも実演指導していく。前に出たユキムラは見事に敵をひきつけヘイトを管理し、後衛の行動を阻害して最速で敵数を減らしていく。あえてクリティカルカウンターは使わずに前衛の見本を見せつける。

 共に前衛として戦っていても、後衛からしてもユキムラが入ることで目に見えて戦闘がしやすくなる。

 なぜ、そうなるのかを考えて動き一つ一つの意味を考える。

 タロも踊るように敵中を走り回り多数の魔石を産み出していく。



「お、宝箱あるね」



 今のところいくつか装備品が出ていたが、魔改造サナダ街製装備のほうが上だ。

 売れば一財産作れるので売却用に回収済みだ。

 ユキムラは宝箱に近づき魔法にて罠等の解除を行う。

 ミニゲームでもいいけど、まぁ楽な方で。



「こ、これは……よっしゃー!! ホーリークリスタルとマギナメタル鋼!

 これで聖属性武器作れる!」



 ユキムラのテンションが上がった。

 聖属性付与に必要なホーリーパウダーの材料と、ミスリルの上位鉱石が手に入った。

 ここの最下層が死霊系モンスターなのでそれの救済なんだろう。

 固定宝箱ってやつだろう。

 

「これは一刻も早くセーフゾーン探してキャンプ張ろう!」



 新しい鉱石に出会うと誰でもテンションが上ってしまう。これは仕方がないことだ。

 セーフゾーンっていうのは各階層に存在する安全地帯で、大抵水の確保や休息が取りやすい小部屋になっている。

 VOにおいてはミニイベントなどが起きるポイントにもなっている。

 この世界でも入ると雰囲気が変わるために誰でもすぐに分かる。

 上層階は駆け抜けているのでセーフゾーン以外で野営したりするが、よほどの事情がなければセーフゾーンでキャンプするのが冒険者の常識だ。



 現在ダンジョンに侵入してから4日目だ。

 1日目に29階層、2日目に35階層、3日目に39階層、今日は41階層で野営をこなす。

 時間は時計的な魔道具で把握しながら進んでいる。

 あまり外と生活リズムを崩すとゲームとは違って後が大変だろうからユキムラが管理している。

 レンもソーカもヴァリィも極限まで集中してユキムラの一挙一投足から学ぼうとしているので疲労感は募ってきている。



「ちょっと明日は42階のセーフエリア見つけたら休もう。

 皆もだいぶ疲れが溜まってきているし、こういう閉鎖された空間ってのは精神的にすっきりしないからね」



 ユキムラが皆の状態を分析して提案する。

 決して作成や鍛冶の時間をしっかりと把握したいからではないはずだ。

 もちろん3人はそういうところまでしっかりと見ているユキムラを、ただただ尊敬するだけだ。



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