老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

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106話 ダンジョン攻略後

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 夕食は落ち着けなかったが、楽しかった。ユキムラはもみくちゃにされながらそう思っていた。



 白狼隊が現れたという情報はあっという間に街中に伝わってしまい、件の居酒屋は見物客まで現れる大騒ぎとなった。

 降って湧いたチャンスに店員はすぐに全店員を呼び出し、臨時店員を雇い店の外までも酒やツマミを売って笑いが止まらない状態だ。

 便乗した周囲のお店も含めてその一体は急にお祭り騒ぎになっている。

 普通こんな大騒ぎすると街の衛兵が駆けつけてくるのだが、今は領主とともにギルドでの宝の選定警護に駆り出されている。国家レベルのことなので万が一にもダンジョンの宝を強奪されました。

 なんてことにならないために街を上げてそちらにかかりっきりだ。



「白狼の皆様は本日お代はいりませんので当店自慢の料理を好きなだけ堪能してください! 白狼バンザイ!!」



 上機嫌の店長が次から次へと料理をテーブルへと広げていってくれる。

 冒険者の街らしく味が濃い目で量が多い。しかしどれも独特の魅力がある。

 あと、酒がすすむ。



「そしたら店長、今日この店の酒は俺らがおごるよ。これで足りるかい?」



 ユキムラはダンジョンで手に入れた宝石袋をひとつ店長に渡す。

 中を確かめた店長の目の色が変わる。



「てめぇら! 白狼の皆様に礼を言え!! 今日はどんな酒でもなくなるまでただで飲ませてやる!!」



 大歓声の波が街中へ広がっていく。

 なんだかんだ実は見栄っ張りなところがあるユキムラであった。

 莫大な財産を持っていても、特にそれを奪おうと張り付いた笑顔で近づいてくる輩がいない。

 ただその一点でもこの世界の人間を愛する理由になっているのかも知れなかった。

 本人がそれに気がついている、いないは別問題として……。









「は~~~~疲れた~~~~~けど楽しかった~~~~~」



「もう、師匠ちゃんと歩いてくださいよー。酔ったんですか? 珍しいですね」



 ユキムラはレンに肩を借りながらフラフラで宿へと戻ってきた。



「いやー、なんか酔わないかなーって念じてたら状態異常耐性下げられるみたいでさ~~フヒ……」



「まぁ、今日はお祝いでしたしたくさんの人が師匠を尊敬していて僕も気分が良かったです!」



 ユキムラはニターっと笑ってレンの頭をクシャクシャにする。



「ちょ、師匠やめてくださいよー」



「レンは可愛いなぁー、師匠命令だー抵抗するなー!」



 両手でぐしゃぐしゃと頭を撫でていると、



「わふん!」



 タロが遊んでるの? って感じで頭を突っ込んでくる。



「おおタロー……お前は温かいなぁ……眠くなってくるよぉ……」



「あ、師匠寝るならベッドで、ちゃんと着替えて……もう寝ちゃったか……」



 タロに抱きついてそのまま眠っちゃったユキムラをみてヤレヤレと肩をすぼめるレン。



「あー、そこの覗き見ている人達手伝って下さい。ベッドまで運びますよ」



「あれぇ、バレてるの~?」



「だから言ったじゃないですかダメだーって!」



 ヴァリィに抗議するソーカだが、レンはちゃんと理解している。



「むしろノリノリだったくせに、ソーカねーちゃんも何言ってるんだか……」



「えへへへへへへ……」



 その後手分けして上着だけ脱がしてベッドへと寝かせる。

 ソーカははぁはぁ言いながら服を脱がしていたので引き剥がしてたら、ヴァリィは舌なめずりをしながらズボンを脱がそうとしてた。結局レンが一通りやる羽目になってしまった。

 ユキムラは満面の笑みで眠りについており、全員守りたい。この笑顔。と、心を一つにした。

 

「それじゃぁタロ、変な虫がつかないように師匠をよろしくね」



 レンはユキムラの寝室の扉を閉める。

 なんだかんだ言って自分も多忙な1日だった。

 さっぱりして、今日の報告などをして、眠りにつくつもりだった。



 結局シャワー浴びてベッドに腰掛けた当たりでレンの記憶は途切れることになる。





「れ、レンー……頭痛薬あるー?」



「師匠! 大丈夫ですか? 魔法でも解毒できますよ多分二日酔いですよね?」



 レンは早朝のユキムラの来襲で目を覚ます。

 完全に二日酔いです。



「ごめ、集中できなくて……かけてもらっていい……?」



「しょうがないなぁ師匠は、今度から程々にしてくださいねー。 体内浄化ボディデトックス」



 小言を言いながらもレンはニヤニヤしてしまっていた。ユキムラに頼られたのがよほど嬉しかったようだ。



「あーーー、すごい楽になったよー。ありがとねーレン……」



「そしたら師匠はお風呂はいったほうがいいですよ~、昨日そのまんま寝ちゃってましたから」



「ああ、そうするーほんとにありがとうね」



 くしゃっと頭を撫でる。

 昔と変わらない可愛い笑顔のレンがそこにいる。



 ユキムラは車の風呂へと移動する。

 冒険者向けの宿が多いこの街の宿は基本的に汗を流すシャワーしかついていないことが多い。

 ユキムラたちの宿もそのタイプだった。

 ちょっと湯船でゆっくりしたかったユキムラは自前の施設を利用する。



「あれ、こんな時間にもう作業してたの?」



 車の中にはヴァリィがいた。日が出たばかりの時間だったのですでに先客がいるとは思っていなかった。



「あらユキムラちゃん体調は平気?」



「ええ、レンに治してもらいました」



 ポリポリと鼻を書いて恥ずかしそうに告白する。



「ま、たまにはいいんじゃない? ユキムラちゃんいつもこう一歩引いた感じあるから」



「そうかなぁ、うん、たまには羽目をはずすよ。たまにはね。ちょっと風呂借りるね」



「はい、どーぞ。あ、そーだ。今できた服。普段着だから使ってちょうだい。置いておくわね」



「ありがとー、それじゃーお風呂借りますー」



 こういう言い回しは日本人であるところが出てしまうユキムラであった。

 自分の家のお風呂なのにね、言ってみれば。



 
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