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120話 時の女神クロノス
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フェイリス様はアルテス様に言われて黙ってほーほー言いながら皆の武具をいじり倒している。
『おほん。気を取り直して、ユキムラ新たな女神の解放心より感謝します。
が、クロノスなのね……はぁ……まだしばらく私一人か……』
「あの、アルテス様。こちらのクロノス様が一向に目を覚まさないのですが……」
恐縮しながらソーカが問いかける。
アルテス様はつかつかとクロノス様へ近づいて顔の側にしゃがみ込む。
そしておもむろにクロノス様の上体を起こすと、
『ほらー! クロノスー! 朝よー!! 起きなさいー!』
ぐわんぐわんと揺らしながら大声で起こしにかかった。
「ちょ、アルテス様! そんな乱暴な……」
女神に触れていいものかアワアワするソーカ、それでもグラグラと揺らされているクロノスが目を覚ます。
『ふぁ……あれー? ここどこー? あれ、アルテスじゃん……うん。おやすみ……』
『こらー! 考えるの放棄しないの! 起きて!! 起きて!
来訪者に渡すものあるでしょ! ほら!! それだけやって! お願い! あとは寝てていいから!
イベントだけ進めて!!』
メタい発言である。
『へあ? あー、うーん……どこだぁ~……あったあった。はいこれ。使える場所に行けば勝手に動き出すよー、それじゃぁ……』
クロノス様から渡されたのは懐中時計。
ユキムラは開こうとするが開かない。使うべき時じゃないと開かないのだろう。
『クロノスは……基本的にずっと寝てるの、ほんとにもうずっとね……。
その代わり時の流れに逆らうほどの大きな力を持っているわ。ただの性格のような気もするけどね』
女神は増えたが、アルテスの負担は減らない……増えてる? ユキムラは考えるのを止めた。
『とりあえずユキムラありがとうね。その時計が次の場所へ貴方を導いてくれる。
アイスフロント北の古龍が暴れている。その謎を明かしに行くのがいいかもしれないわ』
そう告げると3人は光の輪に包まれて消えていった。
フェイリス様がちょっとまだ見てる! って言いながら消えていったのが、アルテス様の気苦労が垣間見える瞬間だった。
それにしてもアルテス様は、よっぽどさっさと次の解放をしてほしいらしく、ガバガバなヒントを出していった。
「つぎは蟻のところへ戻る感じですかね、師匠?」
「そうだね……」
(原作では帝国へ行くはずだったけど、とうとうわからなくなってくるかな……ま、全力で楽しむだけだ)
「ユキムラさん?」
「ああ、さてと。宝箱タイムと行きますかー今回は100越えてるから期待できるぞー」
「まずはボスのからですねー」
ユキムラとレンは早速部屋の奥の宝箱に飛びついている。
楽しそうに宝箱の中身を選定しているユキムラ、本気で心の底から楽しんでいる。
「あら、それ何かしらー?」
「ああ、これはヴァリィにあげるよ。水面の絹糸って言ってどんな色にも染まるし、どんなに細く紡いでも切れることはないっていう糸で服飾で凄く使いやすいし終盤まで一級品だよ」
ヴァリィはそこから紡がれる糸をうっとりと見つめている。
そして様々な作品が頭の中を走り抜けていく。
ヴァリィは心の底からユキムラ達についてきてよかった。そう感じる時間だった。
「ソーカ! ソーカ! 王玉鋼! 王玉鋼があるよ!」
「それは、凄いものなのですか?」
「ああ、日本刀を打つなら超一流と言っていいね。これで鈴蟲直せば……ジュルリ」
ユキムラの目が怪しく光っている。
たまにこういう時がある。幸せそうだからそっとしておくのが一番である。
「どうせ次はアイスフロントだし、ついでにサナダ街へ一度戻ろう!」
方向的にまるでついでな位置関係には無いのだが、誰も異は唱えない。
レンもソーカもいろいろと直接打ち合わせたい案件も増えているし、ヴァリィは最終的に腰を落ち着けるであろう街を一度見ておきたい、タロは皆に久々に会える。全員に利がある話だ。
「よーし、それじゃぁダンジョンの宝とご対面と行きますかぁ!!」
ボス宝箱でもかなりテンションが上っているユキムラ。
さらにこの先に今回のダンジョン制覇の宝があると思うと子供のような好奇心を抑えられていなかった。
戦いのあった場の奥に扉が続いていて、そこを開くと地上へのワープポイントと思われる装置と、立派な宝箱が置かれた一室になる。
それまでの赤く禍々しい部屋とは異なり、スッキリとして蛍光灯のような光が天井全体から降り注いでいる部屋になっていた。
中央に置かれた見事な装飾が施された宝箱へスポットライトのように光が集まり、その宝の価値への期待感を一層掻き立てる演出がされている。
「ねぇ、このダンジョンって俺達が発見者ってことだよね……」
「そうなんですよね、師匠どうされますか?」
「うーん、ここに入るのに王様にはかなり骨を折ってもらっているし、期待してるとも言われちゃったし。俺は封印して持ち帰るつもりなんだけど、皆はそれでいいかな?」
「私たちはユキムラさんの決定でいいと思います。ユキムラさんがいなければこのダンジョンにも入れませんしね」
ソーカは笑顔でそう言ってくれる。
未発見のダンジョンの最深部の宝の所有権ははじめに発見して攻略したパーティが総取りできる。
ただ、今回このダンジョンに入れたのは国王が帝国と停戦条約を結んでくれたところが大きく、ユキムラはこの宝を総取りする気にはなれなかった。
ギルド特製の封印を施して宝箱をアイテムボックスに回収する。
「そしたら、帰ろうか! 王都へ寄ったら、次はサナダ街へ寄ってから、氷龍の山ダンジョンだ!」
『おほん。気を取り直して、ユキムラ新たな女神の解放心より感謝します。
が、クロノスなのね……はぁ……まだしばらく私一人か……』
「あの、アルテス様。こちらのクロノス様が一向に目を覚まさないのですが……」
恐縮しながらソーカが問いかける。
アルテス様はつかつかとクロノス様へ近づいて顔の側にしゃがみ込む。
そしておもむろにクロノス様の上体を起こすと、
『ほらー! クロノスー! 朝よー!! 起きなさいー!』
ぐわんぐわんと揺らしながら大声で起こしにかかった。
「ちょ、アルテス様! そんな乱暴な……」
女神に触れていいものかアワアワするソーカ、それでもグラグラと揺らされているクロノスが目を覚ます。
『ふぁ……あれー? ここどこー? あれ、アルテスじゃん……うん。おやすみ……』
『こらー! 考えるの放棄しないの! 起きて!! 起きて!
来訪者に渡すものあるでしょ! ほら!! それだけやって! お願い! あとは寝てていいから!
イベントだけ進めて!!』
メタい発言である。
『へあ? あー、うーん……どこだぁ~……あったあった。はいこれ。使える場所に行けば勝手に動き出すよー、それじゃぁ……』
クロノス様から渡されたのは懐中時計。
ユキムラは開こうとするが開かない。使うべき時じゃないと開かないのだろう。
『クロノスは……基本的にずっと寝てるの、ほんとにもうずっとね……。
その代わり時の流れに逆らうほどの大きな力を持っているわ。ただの性格のような気もするけどね』
女神は増えたが、アルテスの負担は減らない……増えてる? ユキムラは考えるのを止めた。
『とりあえずユキムラありがとうね。その時計が次の場所へ貴方を導いてくれる。
アイスフロント北の古龍が暴れている。その謎を明かしに行くのがいいかもしれないわ』
そう告げると3人は光の輪に包まれて消えていった。
フェイリス様がちょっとまだ見てる! って言いながら消えていったのが、アルテス様の気苦労が垣間見える瞬間だった。
それにしてもアルテス様は、よっぽどさっさと次の解放をしてほしいらしく、ガバガバなヒントを出していった。
「つぎは蟻のところへ戻る感じですかね、師匠?」
「そうだね……」
(原作では帝国へ行くはずだったけど、とうとうわからなくなってくるかな……ま、全力で楽しむだけだ)
「ユキムラさん?」
「ああ、さてと。宝箱タイムと行きますかー今回は100越えてるから期待できるぞー」
「まずはボスのからですねー」
ユキムラとレンは早速部屋の奥の宝箱に飛びついている。
楽しそうに宝箱の中身を選定しているユキムラ、本気で心の底から楽しんでいる。
「あら、それ何かしらー?」
「ああ、これはヴァリィにあげるよ。水面の絹糸って言ってどんな色にも染まるし、どんなに細く紡いでも切れることはないっていう糸で服飾で凄く使いやすいし終盤まで一級品だよ」
ヴァリィはそこから紡がれる糸をうっとりと見つめている。
そして様々な作品が頭の中を走り抜けていく。
ヴァリィは心の底からユキムラ達についてきてよかった。そう感じる時間だった。
「ソーカ! ソーカ! 王玉鋼! 王玉鋼があるよ!」
「それは、凄いものなのですか?」
「ああ、日本刀を打つなら超一流と言っていいね。これで鈴蟲直せば……ジュルリ」
ユキムラの目が怪しく光っている。
たまにこういう時がある。幸せそうだからそっとしておくのが一番である。
「どうせ次はアイスフロントだし、ついでにサナダ街へ一度戻ろう!」
方向的にまるでついでな位置関係には無いのだが、誰も異は唱えない。
レンもソーカもいろいろと直接打ち合わせたい案件も増えているし、ヴァリィは最終的に腰を落ち着けるであろう街を一度見ておきたい、タロは皆に久々に会える。全員に利がある話だ。
「よーし、それじゃぁダンジョンの宝とご対面と行きますかぁ!!」
ボス宝箱でもかなりテンションが上っているユキムラ。
さらにこの先に今回のダンジョン制覇の宝があると思うと子供のような好奇心を抑えられていなかった。
戦いのあった場の奥に扉が続いていて、そこを開くと地上へのワープポイントと思われる装置と、立派な宝箱が置かれた一室になる。
それまでの赤く禍々しい部屋とは異なり、スッキリとして蛍光灯のような光が天井全体から降り注いでいる部屋になっていた。
中央に置かれた見事な装飾が施された宝箱へスポットライトのように光が集まり、その宝の価値への期待感を一層掻き立てる演出がされている。
「ねぇ、このダンジョンって俺達が発見者ってことだよね……」
「そうなんですよね、師匠どうされますか?」
「うーん、ここに入るのに王様にはかなり骨を折ってもらっているし、期待してるとも言われちゃったし。俺は封印して持ち帰るつもりなんだけど、皆はそれでいいかな?」
「私たちはユキムラさんの決定でいいと思います。ユキムラさんがいなければこのダンジョンにも入れませんしね」
ソーカは笑顔でそう言ってくれる。
未発見のダンジョンの最深部の宝の所有権ははじめに発見して攻略したパーティが総取りできる。
ただ、今回このダンジョンに入れたのは国王が帝国と停戦条約を結んでくれたところが大きく、ユキムラはこの宝を総取りする気にはなれなかった。
ギルド特製の封印を施して宝箱をアイテムボックスに回収する。
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