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122話 鉄壁のプロスト
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朝日で目が覚める。
明らかに体が軽い。全ての疲労が根っこから抜けているような、羽の生えたような。と言う表現がぴったりだった。
「凄まじい効能ですねドラゴンステーキ……」
レンもソーカもヴァリィもタロも同じ状態みたいだ。
タロは嬉しそうに車の周りを跳ね回っている。
なんだかんだでダンジョン攻略続きで気がつかない疲労が溜まっていたようで、思いもかけないギフトを貰ったような幸運を手に入れた。
「プロスト将軍達にも味わってほしくはあるんだけどねぇ……」
「師匠、普通の量にものすご~く少量を細かくして入れるとかするとどうなるんでしょう?」
「なるほど、アレンジ使ってみるかぁ……」
アレンジと言うのは既存の料理に別の材料を足して調理する方法です。
だいたい失敗します。ルールがしっかり有るのでソレに則ってアレンジするのが無難です。
兎にも角にも砦の皆との連絡もあるので早々に砦へと向かう。
砦まではすぐに到着する。
前日の昼に出て翌朝帰ってきて、50階層のダンジョンを攻略してきた。
プロスト将軍も事前には聞いていたが実際に体験すると狐につままれたような表情になる。
実際に封印された宝箱を見せると信じるしか無い。来訪者とは凄いものだな。これでOKである。
「それでは、約束通りパーッとやりますから昼は期待してくださいねー!」
うおおおおおおおおお!! と兵士たちが地鳴りを立てる。
砦の食堂をお借りして様々な料理を作っていく。
ここは海は近いんだけどまさか最前線で呑気に釣りをするわけにも行かないので新鮮な海鮮物を利用して、マリネなどを作る。ユキムラは最初から刺し身ではなくて少しづつハードルを下げて最終的に刺身や寿司の可能性を布教することに方針を変更していた。いずれは寿司や刺し身が世間を席巻する日を夢見て……。
ある程度の下ごしらえを恐ろしいスピードで済ませてあとは料理人の方々に任せる。
もうすでにスキル発動した人もいたが、さいしょのうちは今まで通りの調理をおすすめしておいた。
そしていまは訓練所へと移動してきている。
ダンジョンを攻略するほどの猛者に手ほどきをお願いしたいとプロスト将軍に頭を下げられてしまったからだ。
ソーカ、ヴァリィは前衛の訓練。レンとユキムラが後衛部隊の訓練に合流する。
この世界では人間離れしたレベルに達してきている一同は完全に人間を止めているレベルになっていることを確かめていた。
レンも最初は見た目から可愛がられていたが、その魔力の凄まじさと多彩さ、それに戦略、戦術知識の広さを話せばすぐに一目も二目も置かれる。
「さて、ユキムラ殿。この老いぼれに一手ご教授願おうかのぉ」
訓練もある程度こなしてからプロスト将軍がそう切り出してきた。
「私なぞが教えることがあるといいのですが。喜んでお相手させていただきます」
プロスト将軍の得物は槍にラージシールド。
ユキムラはラージシールドを使う、しかも一流の使い手と相まみえることにワクワクしていた。
ラージシールドは体を包み隠せるほどの大型の盾で特に中距離での牽制にも優れる槍と組み合わせて使うと鉄壁とも言える防御を築くことができる。
砦を守り続けてきた鉄壁のプロストと言われる老獪な戦士と戦える。それはユキムラの心を踊らせた。
砦の兵士たちも白狼の面々も二人の戦いに注目する。
「さて、やろうかのぉ」
プロストが構えるとその巨大な盾が更に大きく見える。
微動だにせずにまっすぐとユキムラへと向かう槍の穂先。
一瞬の油断も出来ない。前に立つだけで背筋に冷たいものが流れる。
ステータスでは測れない経験と技の積み重ねによって生み出される威圧である。
ユキムラは小太刀の二刀流という珍しい装備で挑んでいる。
たぶん一番相性が良いのは同じ槍だが、あえて分が悪いもので挑んでみたくなった。
ユキムラは細かく体を上下に揺らしながらいつ出るかを伺っている。
しかし、巨大な岩のようにプロストは微動だにしない。
「流石ですね、それでは少し無茶します」
ユキムラの体がスッと沈んだと思うと急速にプロストへ加速する。
そこから凄まじい速度のサイドステップ、ユキムラ自身の鍛え上げた身体能力に来訪者としての上乗せが加わりややチートな速度になっている。ちょっと残像気味になっている。
キィィィン
それでもプロストは惑わされることはない、槍の範囲に入ったユキムラに槍を突く。それだけだ。
ユキムラもその槍の神速の一突きを双剣で見事に受ける。すでに槍は元の位置にありユキムラを狙っている。ユキムラは速度を消されこのやり取りはプロストの方が得たものが多い。
ズッと半歩プロストが歩を進めると、その制空権にユキムラが入る。
プロストの寸分たがわぬ突きがユキムラに襲いかかるがユキムラも短剣で見事に捌き続ける。
ジリジリとユキムラが距離を詰める。
プロストの放つ槍と短剣の交差する音が音楽のように絶え間なく響く、ユキムラも円を描くようにプロストの周囲を回りながらほんの少しづつ近づくが、あるところより先には進めなくなりまた距離を取る。
槍の厄介なところは牽制で十分な威力を持たせつつ距離のコントロールが出来てしまう。
「流石ですね……」
「お主も大したもんじゃ、その若さで恐ろしいもんだ」
ユキムラはギアを一つ上げる。
明らかに体が軽い。全ての疲労が根っこから抜けているような、羽の生えたような。と言う表現がぴったりだった。
「凄まじい効能ですねドラゴンステーキ……」
レンもソーカもヴァリィもタロも同じ状態みたいだ。
タロは嬉しそうに車の周りを跳ね回っている。
なんだかんだでダンジョン攻略続きで気がつかない疲労が溜まっていたようで、思いもかけないギフトを貰ったような幸運を手に入れた。
「プロスト将軍達にも味わってほしくはあるんだけどねぇ……」
「師匠、普通の量にものすご~く少量を細かくして入れるとかするとどうなるんでしょう?」
「なるほど、アレンジ使ってみるかぁ……」
アレンジと言うのは既存の料理に別の材料を足して調理する方法です。
だいたい失敗します。ルールがしっかり有るのでソレに則ってアレンジするのが無難です。
兎にも角にも砦の皆との連絡もあるので早々に砦へと向かう。
砦まではすぐに到着する。
前日の昼に出て翌朝帰ってきて、50階層のダンジョンを攻略してきた。
プロスト将軍も事前には聞いていたが実際に体験すると狐につままれたような表情になる。
実際に封印された宝箱を見せると信じるしか無い。来訪者とは凄いものだな。これでOKである。
「それでは、約束通りパーッとやりますから昼は期待してくださいねー!」
うおおおおおおおおお!! と兵士たちが地鳴りを立てる。
砦の食堂をお借りして様々な料理を作っていく。
ここは海は近いんだけどまさか最前線で呑気に釣りをするわけにも行かないので新鮮な海鮮物を利用して、マリネなどを作る。ユキムラは最初から刺し身ではなくて少しづつハードルを下げて最終的に刺身や寿司の可能性を布教することに方針を変更していた。いずれは寿司や刺し身が世間を席巻する日を夢見て……。
ある程度の下ごしらえを恐ろしいスピードで済ませてあとは料理人の方々に任せる。
もうすでにスキル発動した人もいたが、さいしょのうちは今まで通りの調理をおすすめしておいた。
そしていまは訓練所へと移動してきている。
ダンジョンを攻略するほどの猛者に手ほどきをお願いしたいとプロスト将軍に頭を下げられてしまったからだ。
ソーカ、ヴァリィは前衛の訓練。レンとユキムラが後衛部隊の訓練に合流する。
この世界では人間離れしたレベルに達してきている一同は完全に人間を止めているレベルになっていることを確かめていた。
レンも最初は見た目から可愛がられていたが、その魔力の凄まじさと多彩さ、それに戦略、戦術知識の広さを話せばすぐに一目も二目も置かれる。
「さて、ユキムラ殿。この老いぼれに一手ご教授願おうかのぉ」
訓練もある程度こなしてからプロスト将軍がそう切り出してきた。
「私なぞが教えることがあるといいのですが。喜んでお相手させていただきます」
プロスト将軍の得物は槍にラージシールド。
ユキムラはラージシールドを使う、しかも一流の使い手と相まみえることにワクワクしていた。
ラージシールドは体を包み隠せるほどの大型の盾で特に中距離での牽制にも優れる槍と組み合わせて使うと鉄壁とも言える防御を築くことができる。
砦を守り続けてきた鉄壁のプロストと言われる老獪な戦士と戦える。それはユキムラの心を踊らせた。
砦の兵士たちも白狼の面々も二人の戦いに注目する。
「さて、やろうかのぉ」
プロストが構えるとその巨大な盾が更に大きく見える。
微動だにせずにまっすぐとユキムラへと向かう槍の穂先。
一瞬の油断も出来ない。前に立つだけで背筋に冷たいものが流れる。
ステータスでは測れない経験と技の積み重ねによって生み出される威圧である。
ユキムラは小太刀の二刀流という珍しい装備で挑んでいる。
たぶん一番相性が良いのは同じ槍だが、あえて分が悪いもので挑んでみたくなった。
ユキムラは細かく体を上下に揺らしながらいつ出るかを伺っている。
しかし、巨大な岩のようにプロストは微動だにしない。
「流石ですね、それでは少し無茶します」
ユキムラの体がスッと沈んだと思うと急速にプロストへ加速する。
そこから凄まじい速度のサイドステップ、ユキムラ自身の鍛え上げた身体能力に来訪者としての上乗せが加わりややチートな速度になっている。ちょっと残像気味になっている。
キィィィン
それでもプロストは惑わされることはない、槍の範囲に入ったユキムラに槍を突く。それだけだ。
ユキムラもその槍の神速の一突きを双剣で見事に受ける。すでに槍は元の位置にありユキムラを狙っている。ユキムラは速度を消されこのやり取りはプロストの方が得たものが多い。
ズッと半歩プロストが歩を進めると、その制空権にユキムラが入る。
プロストの寸分たがわぬ突きがユキムラに襲いかかるがユキムラも短剣で見事に捌き続ける。
ジリジリとユキムラが距離を詰める。
プロストの放つ槍と短剣の交差する音が音楽のように絶え間なく響く、ユキムラも円を描くようにプロストの周囲を回りながらほんの少しづつ近づくが、あるところより先には進めなくなりまた距離を取る。
槍の厄介なところは牽制で十分な威力を持たせつつ距離のコントロールが出来てしまう。
「流石ですね……」
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ユキムラはギアを一つ上げる。
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