150 / 342
150話 リンガー
しおりを挟む
リンガーは細剣レイピア使いだった。
しかも超一級の。
「スプラッシュフラッシュ」
目に見えぬほどの速度の刺突がモンスターの体を削っていく。
もちろんバフもデバフも完璧ではあるものの、見事な攻撃だ。
風龍の洞窟の敵は蟲系、飛行系の敵が多い。
「リンガーさん強いんですね。というか、何者なんですか?」
「ははは、一応この国でNo1張ってますから」
「へ? そんな凄い人なのリン?」
「ええ、今ので確信しました。光速のリンガーさん。本物なんですね」
「そう言ったじゃないですか」
不敵な笑みだ。絶対にこの人はいじめっ子だ。レンはそう確信した。
「いやー、本当にこんなところがあるんだね。こんな手強い敵、見たことも聞いたこともなかった。
ついてきてほんとに良かったよ。伝承どおりこれで僕はもっと強くなれる」
「そう言えばリンガーさんってレベルはおいくつなんですか?」
ソーカはどうもこのリンガーが苦手でちょっと距離を取っていた。
「おや、ソーカさん。そういうことは今度二人っきりの時にでも……っと、ユキムラ殿の目つきが怖いので冗談はこれぐらいで、私は171です」
レベルもおかしいが、レイピアがおかしい。一見すると普通のレイピアだがユキムラは武器オタクだ。
「その武器、無銘。でしょ?」
「ほー、ユキムラ殿は博識であられる。伝説の武器にもご精通か」
「師匠、名前がないのがそんなに凄いんですか?」
「違う。『無銘』が名前なんだ。騎士の精神を体現化した物。
聖剣の一つだよ。名を誇ることなく、折れること無く、貫けぬもの無し。良いものだよ」
「伝説の武器を前に落ち着いてますね、というか皆さん?」
「まぁ、聖剣やら魔剣はいろいろと見てきたからねぇ……」
「くっ、はーっはっは! つくづく君たちに付いてきてよかったよ!」
「皆さん、おしゃべりはそこまでで。次の敵が来ます」
現在のパーティ構成はソーカ、ヴァリィ、リンガーが前衛、タロは中衛、レンが後衛。
バランスをとるならユキムラが後衛なんだが、現在ハイレベルなところを突き進んでいるので最前列でしかも広範囲高火力特化という事で二刀斧、大型魔法型というでたらめな戦闘をしている。
どうしても大味な戦闘になりやすい構成だがそれをユキムラと、来訪者としてのステータスが重なるととんでもないことになる。
やや、あいつ一人いればいいんじゃないか? 状態になっている。
それだけLv300近い敵相手だと事故が怖いということだ。
やられる前にヤルを体現している。
「ユキムラ殿は化け物だな……」
目の前の敵を塵芥に変えながらリンガーはつぶやく。
「リンガーさんもあまり人のこと言えないような……」
「ひどいなぁレン君は、君の魔法も常識外れだよね……、まったく。少しは出し抜けたかと思ったが、このような圧倒的な力があるのか……」
可能性に入れていなかった自分が消されていた可能性に背筋に冷たいものが走る。
冷静に全員の戦いぶりをリンガーは分析をしていた。
(ユキムラ殿、まるで相手にならない。たぶん何もできずにコテンパンにやられる。
レン君、厳しい。底が見えない、こんなに多彩な魔法を使う相手に戦ったことがない。
ソーカさん、これも厳しい。テンゲンの刀をあそこまで見事に操る剣士は見たことがない。そして美しい。素敵だ。
ヴァリィさん、相性が悪い。防御に徹しられては崩せる気もしない、攻められたら防げる気がしない。
タロちゃん。瞬殺されるだろうな……
なんだこれ、一応私は帝国では並ぶ者はいないと言われているんだがな……)
そんなリンガーの最後のプライドが根っこから崩されるのは、このダンジョンで手に入るアイテムと、食事と寝床だった。
「お、オリハルコン……だと……?」
自分の立場にいてもそんなものは見たこともない、神話の話だ。
しかもそれを加工すると簡単にユキムラは言ってのける。だれもそれに異を唱えない。
「こ、これが、ダンジョンでの野営だと……?」
自分のいる場所が信じられなかった。帝都の超一流のホテルに泊まっているかそれ以上に快適な空間が、ダンジョン内部で味わっているのだ。
「こ、これが生の魚の味。それ以外の料理も味わったことがない……」
この世界の人間に一番効果があるのはやはり刺身。そして最近ユキムラがはまっているチャーハンだ。
ただの葱と卵だけのシンプルなチャーハンなのだが、珍しくスキルじゃなくて手作りでユキムラのマイブームになっている。帝国領ではこういう調理法がないために新鮮で、それでいて家庭的で、単純だからこそ旨かった。
最初の一日でリンガーの心は完全にユキムラたちに敗北した。
「ユキムラ殿、そして皆さま。今までの非礼を詫びます。
私の本当の名はゲッタルヘルン・リンガー。この帝国の第3皇位継承者です。
そしてゲッタルヘルン帝国軍親衛隊隊長、光速のリンガーとも呼ばれています。
そして、もう一つの顔が第2皇子ゲッタルヘルン・フォン・ライガーの影の部隊 月影シャーテンモーナットの隊長でもあります。
最後に、この帝国でこの事実を知るものはごくわずかのみ、大神官や最高官達。
そして父と兄弟だけですが……」
リンガーは首飾りのような魔道具をはずす。
リンガーの身体から光の粒子のようなものが飛び去ると、一人の女性が立っていた。
「私は第一皇女 ゲッタルヘルン・リンガーでございます。以後お見知りおきを」
美しい黒に近い青い髪、透き通るような白い肌、銀色に近い美しい瞳、自己主張の激しい胸元、女性らしい腰からの安定感のあるライン。芸術作品のような非の打ちどころのない絶世の美女がそこに立っていた。
しかも超一級の。
「スプラッシュフラッシュ」
目に見えぬほどの速度の刺突がモンスターの体を削っていく。
もちろんバフもデバフも完璧ではあるものの、見事な攻撃だ。
風龍の洞窟の敵は蟲系、飛行系の敵が多い。
「リンガーさん強いんですね。というか、何者なんですか?」
「ははは、一応この国でNo1張ってますから」
「へ? そんな凄い人なのリン?」
「ええ、今ので確信しました。光速のリンガーさん。本物なんですね」
「そう言ったじゃないですか」
不敵な笑みだ。絶対にこの人はいじめっ子だ。レンはそう確信した。
「いやー、本当にこんなところがあるんだね。こんな手強い敵、見たことも聞いたこともなかった。
ついてきてほんとに良かったよ。伝承どおりこれで僕はもっと強くなれる」
「そう言えばリンガーさんってレベルはおいくつなんですか?」
ソーカはどうもこのリンガーが苦手でちょっと距離を取っていた。
「おや、ソーカさん。そういうことは今度二人っきりの時にでも……っと、ユキムラ殿の目つきが怖いので冗談はこれぐらいで、私は171です」
レベルもおかしいが、レイピアがおかしい。一見すると普通のレイピアだがユキムラは武器オタクだ。
「その武器、無銘。でしょ?」
「ほー、ユキムラ殿は博識であられる。伝説の武器にもご精通か」
「師匠、名前がないのがそんなに凄いんですか?」
「違う。『無銘』が名前なんだ。騎士の精神を体現化した物。
聖剣の一つだよ。名を誇ることなく、折れること無く、貫けぬもの無し。良いものだよ」
「伝説の武器を前に落ち着いてますね、というか皆さん?」
「まぁ、聖剣やら魔剣はいろいろと見てきたからねぇ……」
「くっ、はーっはっは! つくづく君たちに付いてきてよかったよ!」
「皆さん、おしゃべりはそこまでで。次の敵が来ます」
現在のパーティ構成はソーカ、ヴァリィ、リンガーが前衛、タロは中衛、レンが後衛。
バランスをとるならユキムラが後衛なんだが、現在ハイレベルなところを突き進んでいるので最前列でしかも広範囲高火力特化という事で二刀斧、大型魔法型というでたらめな戦闘をしている。
どうしても大味な戦闘になりやすい構成だがそれをユキムラと、来訪者としてのステータスが重なるととんでもないことになる。
やや、あいつ一人いればいいんじゃないか? 状態になっている。
それだけLv300近い敵相手だと事故が怖いということだ。
やられる前にヤルを体現している。
「ユキムラ殿は化け物だな……」
目の前の敵を塵芥に変えながらリンガーはつぶやく。
「リンガーさんもあまり人のこと言えないような……」
「ひどいなぁレン君は、君の魔法も常識外れだよね……、まったく。少しは出し抜けたかと思ったが、このような圧倒的な力があるのか……」
可能性に入れていなかった自分が消されていた可能性に背筋に冷たいものが走る。
冷静に全員の戦いぶりをリンガーは分析をしていた。
(ユキムラ殿、まるで相手にならない。たぶん何もできずにコテンパンにやられる。
レン君、厳しい。底が見えない、こんなに多彩な魔法を使う相手に戦ったことがない。
ソーカさん、これも厳しい。テンゲンの刀をあそこまで見事に操る剣士は見たことがない。そして美しい。素敵だ。
ヴァリィさん、相性が悪い。防御に徹しられては崩せる気もしない、攻められたら防げる気がしない。
タロちゃん。瞬殺されるだろうな……
なんだこれ、一応私は帝国では並ぶ者はいないと言われているんだがな……)
そんなリンガーの最後のプライドが根っこから崩されるのは、このダンジョンで手に入るアイテムと、食事と寝床だった。
「お、オリハルコン……だと……?」
自分の立場にいてもそんなものは見たこともない、神話の話だ。
しかもそれを加工すると簡単にユキムラは言ってのける。だれもそれに異を唱えない。
「こ、これが、ダンジョンでの野営だと……?」
自分のいる場所が信じられなかった。帝都の超一流のホテルに泊まっているかそれ以上に快適な空間が、ダンジョン内部で味わっているのだ。
「こ、これが生の魚の味。それ以外の料理も味わったことがない……」
この世界の人間に一番効果があるのはやはり刺身。そして最近ユキムラがはまっているチャーハンだ。
ただの葱と卵だけのシンプルなチャーハンなのだが、珍しくスキルじゃなくて手作りでユキムラのマイブームになっている。帝国領ではこういう調理法がないために新鮮で、それでいて家庭的で、単純だからこそ旨かった。
最初の一日でリンガーの心は完全にユキムラたちに敗北した。
「ユキムラ殿、そして皆さま。今までの非礼を詫びます。
私の本当の名はゲッタルヘルン・リンガー。この帝国の第3皇位継承者です。
そしてゲッタルヘルン帝国軍親衛隊隊長、光速のリンガーとも呼ばれています。
そして、もう一つの顔が第2皇子ゲッタルヘルン・フォン・ライガーの影の部隊 月影シャーテンモーナットの隊長でもあります。
最後に、この帝国でこの事実を知るものはごくわずかのみ、大神官や最高官達。
そして父と兄弟だけですが……」
リンガーは首飾りのような魔道具をはずす。
リンガーの身体から光の粒子のようなものが飛び去ると、一人の女性が立っていた。
「私は第一皇女 ゲッタルヘルン・リンガーでございます。以後お見知りおきを」
美しい黒に近い青い髪、透き通るような白い肌、銀色に近い美しい瞳、自己主張の激しい胸元、女性らしい腰からの安定感のあるライン。芸術作品のような非の打ちどころのない絶世の美女がそこに立っていた。
10
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる