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157話 カルチャー(?)ショック
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「し、信じられない……」
一瞬とは言え女神というものを見ることが出来たリンガーの驚きは小さくない。
「リンガーさん信じてなかったんですか?」
レンは混乱するリンガーにお茶を渡してあげる。
一息に飲み込みふーっと深呼吸をするリンガー。
「いや、うん。なんというか。実際に見るとな……居るんだな神というものは……」
「まぁ、気持ちはわかるわよー。滅茶苦茶だからねユキムラちゃんと居ると」
「えーひどいなー」
「自覚がないのが師匠の一番怖いところなんです」
「さて、いつもの楽しみだぁ。今回は期待できるよー」
いつものダンジョンの宝だ。
今回はレベルが高いのと70階層ダンジョンだ。
途中の宝のレベルから最後の宝はかなりのレベルの品であることが予想できる。
「今日はこのまま中で泊まろう。
今回は半月かかっているから外で出て休むより中で休んだほうが外の時間を稼げる」
「それは……どういう意味……?」
その後時間経過の話を聞いてさらにリンガーは腰が抜けてしまう。
「攻略祝いということで今日はドラゴン肉使って料理するからお楽しみに」
まずは宝の確認だ。
ヘーパイストスの鍛冶具
宝槍 グングニル
雷鎚 ミョルニル
天之麻迦古弓
短剣 黄金のハルパー
濃縮オリハルコン 塊
濃縮レインボーダイア 塊
濃縮ヒヒイロカネ 塊
濃縮隕鉄 塊
濃縮アダマンタイト 塊
各種 濃縮級属性石 多数
宝石 多数 魔道具、エンチャント装備、薬品、触媒 多数
「おおお! ヘーパイストスは大当たりだね。鍛冶系の最上位アイテムだ。
あとはまぁ、結構いいね。また武具はふたまわりぐらいは強化できるね」
「……食事ができたら呼んでくれ……ちょっと、部屋で休む……」
リンガーは完全におかしくなってきた。
「師匠、そう言えばリンガーさんには宝の分配みたいなの渡します?」
「そうだなー、あれだったら『無銘』を打ち直してあげようかな。このあとどうするんだろ?」
「どうするんでしょう?」
この師弟コンビはのんきだった。
ヴァリィは手に入った布から創作魂に火がついている。
ソーカは食事を準備している。
一つの山場を越えてゆったりとした時間を過ごすユキムラ達だった。
その日の夜(?)はダンジョン攻略ということでドラゴン肉を用いた形成肉(牛+ドラゴン肉)のステーキだ。
ユキムラが研究に研究を重ねて少ないドラゴン肉を最も美味しく食べる方法として編み出した技法であった。
牛の間に差し込まれたドラゴン肉から肉の旨味が牛の肉に染み渡り、味わいも歯ごたえさえも変える。
そのバランスがもっとも良い比率を苦心して見つけたのだ。
「まぁ皇族であるリンガーさんにはあまり目新しくも無いでしょうけども……」
「いえいえ、流石にドラゴンの肉は食べたことはないですよ」
「本当は100%ドラゴン肉をお出ししたいんですが、なにぶん手に入らない物で……」
じゅうじゅうと立ち上がる香りが、明らかに普通の牛の肉とは異質な、胃袋を暴力的に掴んでいる。
ごくり。
皆の喉が鳴る。
ソーカのお腹がエンジン音のようになっているのには誰も触れない。
「それでは、ダンジョン攻略お疲れ様でした!!」
ユキムラの乾杯の音頭で皆が杯を交わす。
キンキンに冷えたビールが喉を潤す。
シュワシュワとした感覚が喉を通り過ぎる、最後に残るコクと苦味が食欲をさらに刺激する。
ステーキにナイフを入れる。
スッと導かれるようにナイフが肉へと吸い込まれる。
その瞬間にピンク色の切断面から溢れ出す肉汁、その肉汁が鉄板に触れた瞬間ぶわっと水蒸気と香りが溢れ出す。
もう止められない。
切り出された一片を口に放り込む。
ぐっ、と弾力が歯に伝わると同時に肉が解けて溶ける。
100%のドラゴン肉を知っている一同でもこの味わいが勝るとも劣らないと感じる。
ドラゴンの生命力が牛の肉でさえ高いレベルの食材へと昇華させたのだ。
口に溢れ出る、元肉だった旨味の液体。
飲み込むのが惜しい、ずっとこの液体の中を舌で泳いでいたい……
そんな脳からの命令に喉が従わない。
飲み干せと魂が訴えかける。
ごくん。
一瞬の静寂。
今食べた肉汁が胃に届くまでの一瞬、その瞬間だけこのステーキからの束縛から解放される。
しかし、その肉汁たちが胃に届くとその生命力が爆発する。
胃に入っただけで吸収されるなんて非科学的なことはありえない。
あり得ないがその生命力が体の中に完全に入ったことで、全ての内臓がその肉のエネルギーを受けて活性化してしまう。
魂が叫ぶ。
次の肉を喰らえ。と。
全員がその声に従い黙々と肉を口に放り込む作業に隷属する。
「……なんだ、これは……」
「相変わらず……暴力的な旨さね……」
「…………うっうっ………」
「ソーカ、泣いてももうおかわりはないよ……」
「馬鹿にできない、気持ちはわかる……」
文字通り、あっ、と言う間に食べ終えてしまう。
全員、空を見上げて今食べた肉の味わいを脳のメモリーへと記録している。
「ユキムラ殿、私は決めた。ここから出たら私はお兄様の元へと戻る。
貴方とこれ以上居るとお兄様への信仰が揺らいでしまう……」
(あ、信仰って自覚はあるのか)
「それでしたら食後に少し『無銘』を貸していただけますか?」
こうして騎士の精神を表し、名を誇らず、折れず、貫き通す。
『無銘』は魔改造され『無銘・改』となりエゲツのない攻撃力を手に入れる事になる。
一瞬とは言え女神というものを見ることが出来たリンガーの驚きは小さくない。
「リンガーさん信じてなかったんですか?」
レンは混乱するリンガーにお茶を渡してあげる。
一息に飲み込みふーっと深呼吸をするリンガー。
「いや、うん。なんというか。実際に見るとな……居るんだな神というものは……」
「まぁ、気持ちはわかるわよー。滅茶苦茶だからねユキムラちゃんと居ると」
「えーひどいなー」
「自覚がないのが師匠の一番怖いところなんです」
「さて、いつもの楽しみだぁ。今回は期待できるよー」
いつものダンジョンの宝だ。
今回はレベルが高いのと70階層ダンジョンだ。
途中の宝のレベルから最後の宝はかなりのレベルの品であることが予想できる。
「今日はこのまま中で泊まろう。
今回は半月かかっているから外で出て休むより中で休んだほうが外の時間を稼げる」
「それは……どういう意味……?」
その後時間経過の話を聞いてさらにリンガーは腰が抜けてしまう。
「攻略祝いということで今日はドラゴン肉使って料理するからお楽しみに」
まずは宝の確認だ。
ヘーパイストスの鍛冶具
宝槍 グングニル
雷鎚 ミョルニル
天之麻迦古弓
短剣 黄金のハルパー
濃縮オリハルコン 塊
濃縮レインボーダイア 塊
濃縮ヒヒイロカネ 塊
濃縮隕鉄 塊
濃縮アダマンタイト 塊
各種 濃縮級属性石 多数
宝石 多数 魔道具、エンチャント装備、薬品、触媒 多数
「おおお! ヘーパイストスは大当たりだね。鍛冶系の最上位アイテムだ。
あとはまぁ、結構いいね。また武具はふたまわりぐらいは強化できるね」
「……食事ができたら呼んでくれ……ちょっと、部屋で休む……」
リンガーは完全におかしくなってきた。
「師匠、そう言えばリンガーさんには宝の分配みたいなの渡します?」
「そうだなー、あれだったら『無銘』を打ち直してあげようかな。このあとどうするんだろ?」
「どうするんでしょう?」
この師弟コンビはのんきだった。
ヴァリィは手に入った布から創作魂に火がついている。
ソーカは食事を準備している。
一つの山場を越えてゆったりとした時間を過ごすユキムラ達だった。
その日の夜(?)はダンジョン攻略ということでドラゴン肉を用いた形成肉(牛+ドラゴン肉)のステーキだ。
ユキムラが研究に研究を重ねて少ないドラゴン肉を最も美味しく食べる方法として編み出した技法であった。
牛の間に差し込まれたドラゴン肉から肉の旨味が牛の肉に染み渡り、味わいも歯ごたえさえも変える。
そのバランスがもっとも良い比率を苦心して見つけたのだ。
「まぁ皇族であるリンガーさんにはあまり目新しくも無いでしょうけども……」
「いえいえ、流石にドラゴンの肉は食べたことはないですよ」
「本当は100%ドラゴン肉をお出ししたいんですが、なにぶん手に入らない物で……」
じゅうじゅうと立ち上がる香りが、明らかに普通の牛の肉とは異質な、胃袋を暴力的に掴んでいる。
ごくり。
皆の喉が鳴る。
ソーカのお腹がエンジン音のようになっているのには誰も触れない。
「それでは、ダンジョン攻略お疲れ様でした!!」
ユキムラの乾杯の音頭で皆が杯を交わす。
キンキンに冷えたビールが喉を潤す。
シュワシュワとした感覚が喉を通り過ぎる、最後に残るコクと苦味が食欲をさらに刺激する。
ステーキにナイフを入れる。
スッと導かれるようにナイフが肉へと吸い込まれる。
その瞬間にピンク色の切断面から溢れ出す肉汁、その肉汁が鉄板に触れた瞬間ぶわっと水蒸気と香りが溢れ出す。
もう止められない。
切り出された一片を口に放り込む。
ぐっ、と弾力が歯に伝わると同時に肉が解けて溶ける。
100%のドラゴン肉を知っている一同でもこの味わいが勝るとも劣らないと感じる。
ドラゴンの生命力が牛の肉でさえ高いレベルの食材へと昇華させたのだ。
口に溢れ出る、元肉だった旨味の液体。
飲み込むのが惜しい、ずっとこの液体の中を舌で泳いでいたい……
そんな脳からの命令に喉が従わない。
飲み干せと魂が訴えかける。
ごくん。
一瞬の静寂。
今食べた肉汁が胃に届くまでの一瞬、その瞬間だけこのステーキからの束縛から解放される。
しかし、その肉汁たちが胃に届くとその生命力が爆発する。
胃に入っただけで吸収されるなんて非科学的なことはありえない。
あり得ないがその生命力が体の中に完全に入ったことで、全ての内臓がその肉のエネルギーを受けて活性化してしまう。
魂が叫ぶ。
次の肉を喰らえ。と。
全員がその声に従い黙々と肉を口に放り込む作業に隷属する。
「……なんだ、これは……」
「相変わらず……暴力的な旨さね……」
「…………うっうっ………」
「ソーカ、泣いてももうおかわりはないよ……」
「馬鹿にできない、気持ちはわかる……」
文字通り、あっ、と言う間に食べ終えてしまう。
全員、空を見上げて今食べた肉の味わいを脳のメモリーへと記録している。
「ユキムラ殿、私は決めた。ここから出たら私はお兄様の元へと戻る。
貴方とこれ以上居るとお兄様への信仰が揺らいでしまう……」
(あ、信仰って自覚はあるのか)
「それでしたら食後に少し『無銘』を貸していただけますか?」
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