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177話 デート
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ソーカは町の中央にある時計台の下で人を待っていた。
今日は待ちに待った待望のユキムラとのデート。
「ごめん、ソーカ! 遅れた?」
ソーカの姿を見つけてユキムラが小走りに近づいてくる。
最近この街で過ごしているせいで少し日焼けしてきて、上品な薄い黄色のアロハシャツに白のハーフパンツ、革製のサンダルがとても良く似合う。
少し困ったような優しい笑顔を向けられるだけでソーカは蕩けそうになってしまう。
「すみません、ユキムラさん。楽しみすぎて早く来すぎてしまいました」
待ち合わせまでまだ15分位ある。それでもソーカは5分位ここでそわそわと今日のデートへ想いを馳せていた。
ユキムラは時計台の下で待つソーカの姿を改めて確かめる。
赤毛と白いワンピースが非常によく映える。
ソーカもまた少し日に焼けていたが、それが彼女のハツラツとした魅力を上げている。
そして、なにより、肩口から胸元への日焼け跡は、ユキムラを多分に刺激した。
ユキムラは日焼けあとフェチな一面を持っていたのだった。
完全な偶然ではあるが、この日は特にその日焼け跡の見え方がユキムラのピンポイントスリーストライクだった。
「そのワンピース凄い素敵だね。凄く似合ってかわいいよ」
普段ならもうちょっとぼやっと褒めてくるユキムラが直球を投げてきたのでソーカも被弾する。
「あ、ありがとうございます。ユキムラさんも……素敵だと思います……ほんとに……」
「ありがとう」
少女漫画のようにキラリと白い歯が光った。ように見えた。
いつもなら二人してモジモジと下を向いてしまうはずなのに、今日のユキムラは一味違う。
「それじゃぁ行こうか?」
そして自然に差し出される手、何が起きたのだろう?
「は、はい!」
嬉しそうにその手を握るソーカ。
周囲からソーカを遠目に見ていた男達の怨嗟の舌打ちが聞こえる。
それも仕方がないことだ。
ソーカもユキムラもまぁ見事に映える。
日々の戦いで極限まで鍛え上げられた肉体。
年齢的にも若さと大人への階段を登っている一瞬の煌めき。
持って生まれた美貌。
服装はヴァリィの渾身のアイテムたち。
二人が歩くだけですれ違う人が物を落としてしまう。
今日のユキムラは悪いものでも食べたのか完璧にソーカをエスコートしていく。
港町の素敵な海の見えるカフェでランチ、一面に広がる真っ青な海に太陽が反射してキラキラと宝石のように輝いている。
テラスから見るその景色はまるで海の上に座って食事をしているような気分になる。
サナダ商会による空調は暑すぎる海風を和らげて心地よい風を店内に運んでくる。
「素敵なお店ですね」
「気持ちが良いよね、料理も美味しいんだよ。久しぶりの休日だし、飲んでもいいかな?」
ユキムラが子犬のように訪ねてくる。
あまりに今日はしっかりしているからちょっとびっくりしていたけど、やっぱりいつものユキムラだとソーカは少し安心する。
「今日ぐらいはいいと思います! 私も頂きますね!」
一般化したよく冷えたビールとスパークリングワインで乾杯する。
新鮮な魚介を塩とスパイスとオリーブオイルでマリネした前菜がロケーションと相まって本当においしい。
「落ち着いたら高台に家でも作ろうかなぁ、山と海が展望できる感じで、でもサナダ街から遠くなっちゃうか……」
「フェルシェル様から転移石を頂いたからもうあまり気になさらなくてもいいんじゃ?」
「お、そう言えばそうだった。楽しみだなー。早く世界の危機を救わないとね」
目の前の男の人はとんでもないことをなんでもないことのように言うなぁ、ソーカは思わず吹き出しそうになってしまう。
「ん? あれ? なんか変なこと言った?」
「いえ、ユキムラさんは大物ですね!」
「えー、なんだよそれー」
「ふふふ……」
食事を終えた二人は海岸線沿いの砂浜を散策する。
ついつい二人共スポットがあると釣りやら採取してしまう。
まぁ、ユキムラと付き合うならこういうことに理解がないと難しい。
「サファイアシュリンプ?」
「おおお! 超レアだよソーカ!! 宝石箱の様な美味しさって説明から海のドラゴン肉かもよ!
それなら夜はどっか気持ちいいところでコテージ貼って外で食べようか?」
「はい!! それならユキムラさん!! もっと獲りましょう!!」
それから二人で海岸線を往復しながらガチ採取コースになる。
それでも、二人が幸せなんだからデートとしてはいいのだろう……うん……。
「結局3個……」
「もう一生分ぐらいの魚介類がボックス内に……ま、メインは取っておいても魚介祭りだね!」
海岸線の近くのいい雰囲気の高台にコテージを展開する。
虫よけやら温度管理は魔道具で一括管理されている優れものだ。
二人は肩を並べ沢山の獲物たちを料理へと変えてテーブルに広げていく。
「凄い豪華な景色になったね!」
「幸せですぅ!!」
ソーカに尻尾がついていたらぶるんぶるんと振られているのは間違いない。
しばらく料理を堪能する二人。
そしてお待ちかねのアレの番だ。
「こういうものは奇をてらわず塩で焼こう」
「はい」
ソーカの唾液が危険だ。
サファイアシュリンプは深い青色をしたエビだ。
綺麗に真っ二つにされ網の上に置かれる。
火が通っていくと殻の青色が輝くように明るくなっていく。
宝石のような輝きを見せる殻、身の部分はプリップリの真っ白だ。
そこに塩、控えめに。
「ユキムラさま、もういいですか?」
「うん。いいと思う。凄い香りだね!」
その場に広がるエビの香りが強い。
「それじゃぁ、頂きます」
身をはがし皿に乗せナイフを入れる。ぐっと力を入れないと切れないほど弾力がある。
一口大に切り出してフォークを突き立て、まだかまだかと唾液が溢れ出す口に放り込む。
「……!?」
ぎゅむっっという歯ごたえが弾けた瞬間にエビの暴力的な旨味が口の中にはじけ飛ぶ。
瑞々しいエビのエキスが飲み込めるほどに溢れ出す。
いくら噛んでも歯ごたえが、感触が楽しませる。
不思議なことに飲み込むとスルリと飲み込める。
口の中からいなくなってもその残り香はいつまでも鼻を楽しませてくれる。
「ぶはぁ……なんだこれ、旨すぎるだろ!」
ドラゴンの肉が陸の王様だとすると、サファイアシュリンプは海の女王と言ったところだ。
そのあと刺し身でも食べたが最高だった。
「一個はみんなに持って帰らないとな……美味しかった……」
「最高でした……グスッ……」
ソーカは泣いていた。
そんな感じでゆったりと素晴らしい時間を堪能する二人。
美しいロケーションと料理、空気感によって二人のお酒も進んでいく。
「今日は、ありがとうございましたユキムラさん……」
一旦、食事の片付けをして軽くシャワーも浴びてさっぱりしてから場所を移す。
コテージの二階部分に作られたベランダにリクライニングチェアを置いてそこで二人寛いでいる。
サイドテーブルには二つのグラスが置かれている。
足元から照らす間接照明が真っ暗な海の怖さを幻想的なものへと変えさせる。
波の音が静かな周囲に一定のリズムを刻みながら流れる。
「こんな、素敵な時間を過ごせるなんて……」
「俺も本当に楽しかったよ。ソーカ……これ……」
ユキムラは用意していたプレゼントを取り出す。
小さな花の中央に不思議な光を放つ宝石が控えめに輝いているリングだった。
「これ……は……?」
「えっと、プレゼント。最初に出会ったのが花畑だったから……ヴァリィにデザインは見てもらったから大丈夫だと思うけど……」
「つけて……いいんですか?」
「も、もちろんだよ! 今は、今はまだそういうのじゃないけど……
そ、その時まで、予約っていうか、なんていうか。つけてて欲しい」
ユキムラの言うことはしっかりとソーカへと伝わる。
ソーカは溢れ出る涙を止めることが出来なかった。
「はい、はいユキムラさん。ソーカは幸せです。ユキムラさん大好きです」
「俺もソーカが、大好きだ……」
翌朝、アレほど活動したのに妙に体調がいいソーカは、ユキムラからその指輪がそれ一つで鎧に匹敵するほどの魔法効果がついている説明を受けることになる。
今日は待ちに待った待望のユキムラとのデート。
「ごめん、ソーカ! 遅れた?」
ソーカの姿を見つけてユキムラが小走りに近づいてくる。
最近この街で過ごしているせいで少し日焼けしてきて、上品な薄い黄色のアロハシャツに白のハーフパンツ、革製のサンダルがとても良く似合う。
少し困ったような優しい笑顔を向けられるだけでソーカは蕩けそうになってしまう。
「すみません、ユキムラさん。楽しみすぎて早く来すぎてしまいました」
待ち合わせまでまだ15分位ある。それでもソーカは5分位ここでそわそわと今日のデートへ想いを馳せていた。
ユキムラは時計台の下で待つソーカの姿を改めて確かめる。
赤毛と白いワンピースが非常によく映える。
ソーカもまた少し日に焼けていたが、それが彼女のハツラツとした魅力を上げている。
そして、なにより、肩口から胸元への日焼け跡は、ユキムラを多分に刺激した。
ユキムラは日焼けあとフェチな一面を持っていたのだった。
完全な偶然ではあるが、この日は特にその日焼け跡の見え方がユキムラのピンポイントスリーストライクだった。
「そのワンピース凄い素敵だね。凄く似合ってかわいいよ」
普段ならもうちょっとぼやっと褒めてくるユキムラが直球を投げてきたのでソーカも被弾する。
「あ、ありがとうございます。ユキムラさんも……素敵だと思います……ほんとに……」
「ありがとう」
少女漫画のようにキラリと白い歯が光った。ように見えた。
いつもなら二人してモジモジと下を向いてしまうはずなのに、今日のユキムラは一味違う。
「それじゃぁ行こうか?」
そして自然に差し出される手、何が起きたのだろう?
「は、はい!」
嬉しそうにその手を握るソーカ。
周囲からソーカを遠目に見ていた男達の怨嗟の舌打ちが聞こえる。
それも仕方がないことだ。
ソーカもユキムラもまぁ見事に映える。
日々の戦いで極限まで鍛え上げられた肉体。
年齢的にも若さと大人への階段を登っている一瞬の煌めき。
持って生まれた美貌。
服装はヴァリィの渾身のアイテムたち。
二人が歩くだけですれ違う人が物を落としてしまう。
今日のユキムラは悪いものでも食べたのか完璧にソーカをエスコートしていく。
港町の素敵な海の見えるカフェでランチ、一面に広がる真っ青な海に太陽が反射してキラキラと宝石のように輝いている。
テラスから見るその景色はまるで海の上に座って食事をしているような気分になる。
サナダ商会による空調は暑すぎる海風を和らげて心地よい風を店内に運んでくる。
「素敵なお店ですね」
「気持ちが良いよね、料理も美味しいんだよ。久しぶりの休日だし、飲んでもいいかな?」
ユキムラが子犬のように訪ねてくる。
あまりに今日はしっかりしているからちょっとびっくりしていたけど、やっぱりいつものユキムラだとソーカは少し安心する。
「今日ぐらいはいいと思います! 私も頂きますね!」
一般化したよく冷えたビールとスパークリングワインで乾杯する。
新鮮な魚介を塩とスパイスとオリーブオイルでマリネした前菜がロケーションと相まって本当においしい。
「落ち着いたら高台に家でも作ろうかなぁ、山と海が展望できる感じで、でもサナダ街から遠くなっちゃうか……」
「フェルシェル様から転移石を頂いたからもうあまり気になさらなくてもいいんじゃ?」
「お、そう言えばそうだった。楽しみだなー。早く世界の危機を救わないとね」
目の前の男の人はとんでもないことをなんでもないことのように言うなぁ、ソーカは思わず吹き出しそうになってしまう。
「ん? あれ? なんか変なこと言った?」
「いえ、ユキムラさんは大物ですね!」
「えー、なんだよそれー」
「ふふふ……」
食事を終えた二人は海岸線沿いの砂浜を散策する。
ついつい二人共スポットがあると釣りやら採取してしまう。
まぁ、ユキムラと付き合うならこういうことに理解がないと難しい。
「サファイアシュリンプ?」
「おおお! 超レアだよソーカ!! 宝石箱の様な美味しさって説明から海のドラゴン肉かもよ!
それなら夜はどっか気持ちいいところでコテージ貼って外で食べようか?」
「はい!! それならユキムラさん!! もっと獲りましょう!!」
それから二人で海岸線を往復しながらガチ採取コースになる。
それでも、二人が幸せなんだからデートとしてはいいのだろう……うん……。
「結局3個……」
「もう一生分ぐらいの魚介類がボックス内に……ま、メインは取っておいても魚介祭りだね!」
海岸線の近くのいい雰囲気の高台にコテージを展開する。
虫よけやら温度管理は魔道具で一括管理されている優れものだ。
二人は肩を並べ沢山の獲物たちを料理へと変えてテーブルに広げていく。
「凄い豪華な景色になったね!」
「幸せですぅ!!」
ソーカに尻尾がついていたらぶるんぶるんと振られているのは間違いない。
しばらく料理を堪能する二人。
そしてお待ちかねのアレの番だ。
「こういうものは奇をてらわず塩で焼こう」
「はい」
ソーカの唾液が危険だ。
サファイアシュリンプは深い青色をしたエビだ。
綺麗に真っ二つにされ網の上に置かれる。
火が通っていくと殻の青色が輝くように明るくなっていく。
宝石のような輝きを見せる殻、身の部分はプリップリの真っ白だ。
そこに塩、控えめに。
「ユキムラさま、もういいですか?」
「うん。いいと思う。凄い香りだね!」
その場に広がるエビの香りが強い。
「それじゃぁ、頂きます」
身をはがし皿に乗せナイフを入れる。ぐっと力を入れないと切れないほど弾力がある。
一口大に切り出してフォークを突き立て、まだかまだかと唾液が溢れ出す口に放り込む。
「……!?」
ぎゅむっっという歯ごたえが弾けた瞬間にエビの暴力的な旨味が口の中にはじけ飛ぶ。
瑞々しいエビのエキスが飲み込めるほどに溢れ出す。
いくら噛んでも歯ごたえが、感触が楽しませる。
不思議なことに飲み込むとスルリと飲み込める。
口の中からいなくなってもその残り香はいつまでも鼻を楽しませてくれる。
「ぶはぁ……なんだこれ、旨すぎるだろ!」
ドラゴンの肉が陸の王様だとすると、サファイアシュリンプは海の女王と言ったところだ。
そのあと刺し身でも食べたが最高だった。
「一個はみんなに持って帰らないとな……美味しかった……」
「最高でした……グスッ……」
ソーカは泣いていた。
そんな感じでゆったりと素晴らしい時間を堪能する二人。
美しいロケーションと料理、空気感によって二人のお酒も進んでいく。
「今日は、ありがとうございましたユキムラさん……」
一旦、食事の片付けをして軽くシャワーも浴びてさっぱりしてから場所を移す。
コテージの二階部分に作られたベランダにリクライニングチェアを置いてそこで二人寛いでいる。
サイドテーブルには二つのグラスが置かれている。
足元から照らす間接照明が真っ暗な海の怖さを幻想的なものへと変えさせる。
波の音が静かな周囲に一定のリズムを刻みながら流れる。
「こんな、素敵な時間を過ごせるなんて……」
「俺も本当に楽しかったよ。ソーカ……これ……」
ユキムラは用意していたプレゼントを取り出す。
小さな花の中央に不思議な光を放つ宝石が控えめに輝いているリングだった。
「これ……は……?」
「えっと、プレゼント。最初に出会ったのが花畑だったから……ヴァリィにデザインは見てもらったから大丈夫だと思うけど……」
「つけて……いいんですか?」
「も、もちろんだよ! 今は、今はまだそういうのじゃないけど……
そ、その時まで、予約っていうか、なんていうか。つけてて欲しい」
ユキムラの言うことはしっかりとソーカへと伝わる。
ソーカは溢れ出る涙を止めることが出来なかった。
「はい、はいユキムラさん。ソーカは幸せです。ユキムラさん大好きです」
「俺もソーカが、大好きだ……」
翌朝、アレほど活動したのに妙に体調がいいソーカは、ユキムラからその指輪がそれ一つで鎧に匹敵するほどの魔法効果がついている説明を受けることになる。
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