老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

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194話 戦い終えて

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 お楽しみの宝箱チェックタイムが訪れる。

 

「さてさて、何が出るかなー」



 砂仙獣の鱗、砂仙獣の肝、砂仙獣の牙、砂仙獣の爪、砂仙獣の骨などの剥ぎ取り品に相当するもの。

 濃縮ランクの各種鉱石が多数、上級魔石多数、それに宝石など、いつものセット。



「お、真打ち 神楽だ。オリジナルの伝説級武器も出てくるね。

 アポロンの弓、ゲイ・ボルグ改、砂仙獣の巨鎚、ブリュンヒルデ、叡智の冠、そんなとこかな。

 あとは魔道具なんかもあるし、まぁまぁだね」



「師匠、そう言えば聖剣とかってどんどん強くなるんですか?」



「ああ、どうなんだろ? 改とか真とか、開放、とか変異とかアルティメットとか、名を変えてステータス数値とか付与が変わってどんどん出てくるんだけど、もう、何ていうか、その頃には自分で作ったほうが強い的な状態になるから……あ、ごく一部作れない神器の最上級品はドロップ品の中では最強だったかな」



「神器……ですか……」



 ソーカがあっけにとられるのも無理はない。

 神器とは文字通り神が使用する物であり、人間の手に入るようなものではない。

 聖剣なども、神が選ばれた民へと与えるもので、現状のようにそこら辺で見つかるものでは無いはずだった。

 来訪者としてのユキムラと訪れると開くMDは、そういった人知を超えた超越品が多数産出される。

 皆も慣れてきて麻痺しているが、これは異常も異常な出来事なのだ。

 ユキムラはユキムラで最終的には自身の手にすべての神器の理論値を手に入れており、そのために犠牲にした神器など数知れずあるので、いまいち有り難みを感じたりしにくいという背景があった。



「なんにせよ新しい物も手に入ったし、いろいろと装備の強化も行える!」



「あれ? そう言えばユキムラさん、今回の大岩嵐巨龍って龍玉とか、あとは、そのお肉とかでないんですか?」



「ああ、間違いやすいけど、龍じゃないからね」



「え?」



「名前に龍はついてるけどあのでかいの龍じゃないんだよ。

 砂仙獣の長寿で巨大化したものに勝手に名前をつけているらしい巨龍って」



「えー、そんなの詐欺じゃないですかー。竜人だって出たし、あんなに大きいからそりゃ大量の龍肉が手に入るのかと思ってたのに……」



「まぁ、しょうがない。こればっかりはそういう設定なんだから諦めてもらうしか無いよ……」



 ユキムラ以外の全員が口には出さないものの期待していたので失意の渦に飲まれている……



「まぁ、なかなか強力な敵を撃破したし。今日はパーッとやろうよ!」



 ユキムラの提案で、皆の顔色もパァッと明るくなる。

 パーティ内の不平不満はなるべく早く解消するに限る。

 不平不満というものは少しづつ降り積もってそして、なんでもないことで突然爆発する。

 一度爆発した不満は他の人への不満も火をつけて次々と誘爆する。

 白狼隊はそういった可能性は極限まで低いが、固定PTやギルドなど、特にインターネットを通してでしか関わりがないような場合、言葉の裏側の感情がわかりづらいために、思った以上に酷いことになったりすることもあるので注意が必要だ。



 ユキムラは過去の幾つかの事象を思い出し少し胃が痛んだが、今はこれからのお疲れ様会を盛り上げるための料理に精を出す。

 今回はイタリアンな感じにしてみるつもりだ。

 トマト、オリーブオイル、ガーリックをうまく使い、素材の味わいを引き出す。

 各種チーズも作り出されている。

 もともとワインは一般的に存在していたので、地中海料理に近い料理はこの世界にも豊富だった。

 大皿でパスタ料理、トマトベース、オイルベース、ホワイトクリームと3種用意した。

 ピザも複数準備した。日本的な照り焼きや明太子なんかも白狼隊に評判が良かった。

 

「これ、美味しいですね。醤油で食べるのとはまた違う感じで!」



 レンが気に入ったのはマリネにしたシーフードだった。



「その場で揚げて熱々を食べるのって幸せですー」



 ソーカは熱したオリーブオイルに野菜や肉、魚介を入れて楽しんでいる。

 アヒージョが気に入ったようだ。積まれた素材に串を挿して次から次へとオリーブオイルで煮るようにして食べている。やけどしないかユキムラはヒヤヒヤしていたが、ソーカにその心配は不要なようだ。

 真似したヴァリィはやけどしていた。



「ワインにはチーズよねぇ」



 様々な種類を一つ一つ楽しみながら、同じようにいろいろな種類のワインに合わせてヴァリィはご機嫌だ。



「ヴァリィこれもいいと思うよ」



 ユキムラが出したのはハム、サラミ、そして生ハムだ。

 時間のかかる調理でもスキルを使えば一瞬で出来上がる。

 ユキムラ自身も生ハムは大好物だった。



「これ、お酒が進んじゃうよねー、シャンパン出そっと」



「あ、ちょっとユキムラちゃん私もー」



「あ、ユキムラさんさっぱりしたのなら私もー!」



「師匠こないだのぶどうのソーダの飲みたいです!」



 慰労を兼ねたパーティはこのように大成功に終わるのでありました。







 ユキムラは部屋に戻り少し物思いに耽っていた。

 謎の敵の気配もあった……

 ユキムラは少し、この先への不安は感じていた。

 異次元の力を干渉を許されないはずのこの世界で行使してきた謎の人物。

 魔神勢の力は底が知れない。

 こちらも女神や神を開放して力を手に入れているが、どれだけの力を世界に持たせれば対抗できるのか……超高速戦闘はこの世界の人物には不可能、そうなるとGUにあの戦闘に耐えうる力を与えないといけない。課題は山積みだ。

 あまり表には出さないが、一度全てを失ったあの時から、時々不安に押しつぶされそうになる夜がある。

 しかし、傍らで寝息を立てるソーカの寝顔を見ていたら、心は落ち着きを取り戻し、いつのまにか眠りについていた。

 仲間たちの存在がユキムラの心に安心を与えてくれるのだった。

 大切な仲間、そして愛すべき世界を守るためにココが踏ん張りどころだった。
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