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203話 成長の苦しみ
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属性が絞られているダンジョンは攻略効率が大変に良い。
敵のレベルは上がっていたが、こちらの武具の品質向上のほうが圧倒的に先に行っている。
これには理由があった。
VOであった装備のレベル制限が無いのである。
その結果、かなり高レベル帯の武器を低レベルで使用できるので、むしろゲーム時代よりパワーレベリングがしやすいのだった。
「さっきのウォーターボールで死を覚悟しました……」
何度かの戦闘中に全ての攻撃を防げるわけではないので、ガニやイオラナも被弾することもあった。
直接攻撃であったり魔法攻撃であったり。
しかし、その全ては防具に施された防御障壁や特性を突破するには至らなかった。
傷一つついていない。
「この武器も……なんというか、信じられない……敵の武器ごとまるでチーズでも切るように一刀両断して、しかも凄まじい属性付与がされている……」
自分の手に持つ武器をマジマジと見つめる。
大型の斧でありながら取り回す際はほとんど重さを感じない、それでいて敵が受けると超重量の一撃。
武器で受ければ武器ごとぶった切り、防具で受けてもその重みで吹き飛ばされる。
イオラナの武器も普段のつもりで魔法を放てば極大詠唱魔法のように増幅され、そのくせ自身のMPをほとんど消費しない。
あまりの増強に自分の感覚が狂ってしまっていた。
「魔法ならバンバン打っちゃっていいからねー、ところで身体は平気?」
ダンジョンに入って数時間、幾度かの戦闘を重ねながらゆっくりと探索をしている。
まずは二人に慣れてもらうためだ。
階層もまだ3階層だ。
「疲れは無いのですが、なんというか、身体が燃えるというか……」
「私は精神的な力が溢れ出て破裂しそうです……」
「あー、やっぱりそういう影響出るよねー。
二人共Lv200近いもんね……」
「へ?」「は?」
ユキムラは今回魔道具で二人のレベルとHP,MPをモニタリングしていた。
今後各国でのPLパワーレベリングのデータ取りの一貫として装備に組み込んだ。
これでゲームの時と近いパーティ管理が可能になった。
レンやソーカ達は自分たちのデータを自分で見ることが出来るので客観的な管理を個人に任せても問題ないが、ビジター達はユキムラが気にかけることにしてより安全性を高めることが目的だ。
「いま、なんと……?」「200……?」
「ええ、ガニさんは191。イオラナさんが185。あと2・3階終えたら200超えると思いますよ」
「師匠、これくらいレベルが変化すると身体に負担が出るみたいですね……」
「そうだね……よし。大事を取って今日は次のセーフゾーン見つけたら早いけど昼休憩をしっかりとって状況によって決めよう」
3階層をゆっくりと探索を続け4階につながる階段にセーフゾーンを見つける。
探索自体も殆ど終わっているので、ほんの少し空いていない部分はタロとユキムラがささっと埋めておいた。
自分の体に起きている変化にも驚きというか、ボーゼンとしてしまっている二人だが、現在眼の前で広がっている光景に更に打ちのめされることになる。
「きゃ、キャンプって……」
「ほ、ホテルですよね……?」
目の前にコテージがそびえ立ち、豪勢なランチが準備されている。
ホカホカと湯気を立てる料理に座り心地の良さそうなチェアと立派なテーブル。
部屋を覗けば個室ごとのシャワー、トイレ、作りの良いベッドに快適な空調と照明。
自分たちの探検観(造語)が粉々に打ち砕かれた瞬間だった。
そんな二人も食事を取って自室で汗を流して横になると異変が起きる。
「あ、熱い!!」
身体が燃え上がるように熱くなり、頭も節々もギシギシと鈍い痛みに襲われたのだ。
「このクスリを飲んでください。そしたら魔法をかけますので抵抗しないでくださいねー、スリープ」
痛み止めを飲ませて強制的に眠りに落とす。
今のところはこれが対処療法になるとユキムラは考えていた。
「MD終わると熱っぽいことは俺達もあるけど、あれの極端に激しいやつなんだろうね……」
ソーカの入れてくれたお茶を飲みながら外でリラックスタイムを過ごす他のメンバー。
しばらくして二人が目覚めて状態によって攻略速度を考えることになっている。
「防具の治癒が身体の変調を隠しちゃうんだろうね、レンの時みたいに回復は出来ないのが辛いね」
「若い人だけじゃないんですね、確かに数時間で100もレベルが上がるなんて体験をした人間はいままでいないでしょうからね……」
「で、ユキムラちゃんはどうするの。回復したらペースあげるの?」
「300超えてくれば穏やかになるから回復したとしても今のペースくらいかなぁ。
ある程度落ち着いたらバンバン行ってもらおう!」
こういうことには容赦がないユキムラ。
他のメンバーもユキムラのこの発言は想定内だった。
結局2時間くらいの睡眠後に驚くほどスッキリと熱さや痛みが抜けることが判明した二人は、もうワンセット同じようなことをやって、寝苦しい夜を過ごすことになった。
数日ソレを繰り返すと寝込むほどの発熱は起こらなくなった。
「さて、そしたら本格的に攻略を開始しますか!」
ユキムラがすっごくいい笑顔で全員に通達する。
二人は引きつった笑顔で頷くしかなかったのである。
敵のレベルは上がっていたが、こちらの武具の品質向上のほうが圧倒的に先に行っている。
これには理由があった。
VOであった装備のレベル制限が無いのである。
その結果、かなり高レベル帯の武器を低レベルで使用できるので、むしろゲーム時代よりパワーレベリングがしやすいのだった。
「さっきのウォーターボールで死を覚悟しました……」
何度かの戦闘中に全ての攻撃を防げるわけではないので、ガニやイオラナも被弾することもあった。
直接攻撃であったり魔法攻撃であったり。
しかし、その全ては防具に施された防御障壁や特性を突破するには至らなかった。
傷一つついていない。
「この武器も……なんというか、信じられない……敵の武器ごとまるでチーズでも切るように一刀両断して、しかも凄まじい属性付与がされている……」
自分の手に持つ武器をマジマジと見つめる。
大型の斧でありながら取り回す際はほとんど重さを感じない、それでいて敵が受けると超重量の一撃。
武器で受ければ武器ごとぶった切り、防具で受けてもその重みで吹き飛ばされる。
イオラナの武器も普段のつもりで魔法を放てば極大詠唱魔法のように増幅され、そのくせ自身のMPをほとんど消費しない。
あまりの増強に自分の感覚が狂ってしまっていた。
「魔法ならバンバン打っちゃっていいからねー、ところで身体は平気?」
ダンジョンに入って数時間、幾度かの戦闘を重ねながらゆっくりと探索をしている。
まずは二人に慣れてもらうためだ。
階層もまだ3階層だ。
「疲れは無いのですが、なんというか、身体が燃えるというか……」
「私は精神的な力が溢れ出て破裂しそうです……」
「あー、やっぱりそういう影響出るよねー。
二人共Lv200近いもんね……」
「へ?」「は?」
ユキムラは今回魔道具で二人のレベルとHP,MPをモニタリングしていた。
今後各国でのPLパワーレベリングのデータ取りの一貫として装備に組み込んだ。
これでゲームの時と近いパーティ管理が可能になった。
レンやソーカ達は自分たちのデータを自分で見ることが出来るので客観的な管理を個人に任せても問題ないが、ビジター達はユキムラが気にかけることにしてより安全性を高めることが目的だ。
「いま、なんと……?」「200……?」
「ええ、ガニさんは191。イオラナさんが185。あと2・3階終えたら200超えると思いますよ」
「師匠、これくらいレベルが変化すると身体に負担が出るみたいですね……」
「そうだね……よし。大事を取って今日は次のセーフゾーン見つけたら早いけど昼休憩をしっかりとって状況によって決めよう」
3階層をゆっくりと探索を続け4階につながる階段にセーフゾーンを見つける。
探索自体も殆ど終わっているので、ほんの少し空いていない部分はタロとユキムラがささっと埋めておいた。
自分の体に起きている変化にも驚きというか、ボーゼンとしてしまっている二人だが、現在眼の前で広がっている光景に更に打ちのめされることになる。
「きゃ、キャンプって……」
「ほ、ホテルですよね……?」
目の前にコテージがそびえ立ち、豪勢なランチが準備されている。
ホカホカと湯気を立てる料理に座り心地の良さそうなチェアと立派なテーブル。
部屋を覗けば個室ごとのシャワー、トイレ、作りの良いベッドに快適な空調と照明。
自分たちの探検観(造語)が粉々に打ち砕かれた瞬間だった。
そんな二人も食事を取って自室で汗を流して横になると異変が起きる。
「あ、熱い!!」
身体が燃え上がるように熱くなり、頭も節々もギシギシと鈍い痛みに襲われたのだ。
「このクスリを飲んでください。そしたら魔法をかけますので抵抗しないでくださいねー、スリープ」
痛み止めを飲ませて強制的に眠りに落とす。
今のところはこれが対処療法になるとユキムラは考えていた。
「MD終わると熱っぽいことは俺達もあるけど、あれの極端に激しいやつなんだろうね……」
ソーカの入れてくれたお茶を飲みながら外でリラックスタイムを過ごす他のメンバー。
しばらくして二人が目覚めて状態によって攻略速度を考えることになっている。
「防具の治癒が身体の変調を隠しちゃうんだろうね、レンの時みたいに回復は出来ないのが辛いね」
「若い人だけじゃないんですね、確かに数時間で100もレベルが上がるなんて体験をした人間はいままでいないでしょうからね……」
「で、ユキムラちゃんはどうするの。回復したらペースあげるの?」
「300超えてくれば穏やかになるから回復したとしても今のペースくらいかなぁ。
ある程度落ち着いたらバンバン行ってもらおう!」
こういうことには容赦がないユキムラ。
他のメンバーもユキムラのこの発言は想定内だった。
結局2時間くらいの睡眠後に驚くほどスッキリと熱さや痛みが抜けることが判明した二人は、もうワンセット同じようなことをやって、寝苦しい夜を過ごすことになった。
数日ソレを繰り返すと寝込むほどの発熱は起こらなくなった。
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ユキムラがすっごくいい笑顔で全員に通達する。
二人は引きつった笑顔で頷くしかなかったのである。
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