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229話 妖怪の里
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鵺が音もなく地面へと着地する。
夜見の里から少し離れた広場状になっている場所、ユキムラの作ったメガネのお陰で昼間と変わらない視界を得られているが、それを外せば足元もよく見えない薄暗い空間だ。
【ちょっと待っててください、門番に事情を説明してきますニャ】
タッタッタと里へ向かって鵺が走っていく。
どことなく嬉しそうに見える。
今まで救いを求めに人里へ行っては問答無用で攻撃されて、ならばと人の往来の多いところで待っていたら余計に攻撃されるようになってしまっていた可哀想な鵺は、ユキムラ達と出会えたことが嬉しいのだ。
「なんか街の作りが見たこともない雰囲気で面白いですね」
レンがはやく街に入りたそうに眺めている。
「長屋っていう平造りの家屋だね。あの長い建物が内部で幾つか区切られていて、それぞれ別の家庭がくらしているんだよ」
「お隣の音とか聞こえないんですか?」
「うーん、聞こえちゃうかもね、何ていうか静かに暮らすというかお互いにお互いを気遣う精神でなりたっているとかだったはず……」
「素敵な考え方ですね」
「ごめん、うろ覚えだけどね……」
「師匠の元いた世界に似たようなものが有るんですね」
「あ……うん。そうだね。俺がいた場所の過去の建物だね」
「師匠……こんな時に聞く話じゃないと思うんですが、師匠はいつの日か……」
「お待たせニャ!! 我が里を案内するニャ!!」
「おお! これが姫様を救ってくださる人達か!?」
「なんじゃ、俺等の仲間がいるじゃないか!」
鵺が連れてきた里の住人たちにあっという間に囲まれてしまい、大騒ぎのまま里へと連れて行かれてしまう。
ユキムラとレンの間に流れた空気は、その喧騒によって流されていってしまう。
それが二人にとっていいことなのか悪いことなのかは誰にもわからない。
「なんか、落ち着かないね……」
「そうですね……」
「見世物みたい……」
「わん!」
今白狼隊のメンバーは里の中心にある館と呼ばれる場所の大広間でひな壇に座っている。
目の前には多数の妖怪と呼ばれる人達がずらりと並んでいる。
先頭には鵺と老人が座っている。
しばらくすると里の者が全て集まったらしく、河童が老人に耳打ちをする。
「この度は姫の救出に助力していただけるということで、誠に感謝の極みであります」
その老人が話し始めるとざわついていた室内がシーンと静かになる。
「私は姫の側付きを任せられているぬらりひょんと申します。
姫のいない今、皆のまとめ役を勤めさせていただいております。以後、お見知りおきを……」
着流しを来た渋いご老人は見事な口上を述べて頭を下げる。
そのふるまいは美しく、ユキムラは少し興奮していた。
ユキムラは地味に時代劇好きなのだ。
「な、なんかそんなにかしこまらないでください。
我々も別件を調べに来たら偶然こうなっただけなので……」
「別件……と、申しますと?」
「実は鵺さんが村と街を繋ぐ道を塞いでいるせいで村の人々が大変困っていまして、その解決をお願いされたのです」
「へ……?」
素っ頓狂な声を上げる鵺、ぬらりひょんは鋭い眼光で鵺を睨みつける。
「あれだけ大言を吐いておきながら……しかも、順調で何の問題もないと言っていたではないか……」
「い、いや、それはその……」
「まぁまぁ、とりあえず夜叉姫をお助けするのはお手伝いしますので、ちょっとご相談が有るのですが……」
ぬらりひょんの怒気の滲む詰問から開放されて鵺がほっとため息をついてまた睨まれている。
それからユキムラは自分が来訪者であること、3年後にこの地に魔神軍が攻め込むこと、そして魔神軍は人も妖怪も根こそぎ排除してくることを伝える。
そして、姫救助の見返りではないが、ダンジョンへの妖怪の中から人を出してもらうことと、この里の保護のためのGUの設置について相談した。
「ふむ……我が里には長寿のものもいます。来訪者の話は聞いたこともあります。
圧倒的な力を持って世界の危機を救ったとも聞いています。
わかりました。ユキムラ殿、我々は姫様を救っていただく立場、喜んでお力をお貸しします。
また、姫様が助けられた暁には我が身命をかけて姫様を説得いたします。
何卒ご助力を重ねてよろしくお願いいたします……」
話は決まった。
「それでは里からは、九きゅう、朧おぼろ、お主らに任せる」
「はいな」
「仕った」
九尾の狐の九と鎧武者の亡霊、朧が同行することになる。
「よろしく頼むねー」
九は女性の姿をしていて、少しはだけているキモノからまぁ立派なものが零れそうでヒヤヒヤする。
ユキムラはじとーーーーっと背中に浴びる視線のほうがヒヤヒヤしているようだが……
魔法に似た妖術と陰陽術の使い手でこの里一番の腕前だそうだ。
「おお、可愛らしい男児がおるのぉ……どうじゃ? 九といいことせぬか?」
「手合わせですか? いいですよ、妖術と陰陽術がどんなものか知りたいですからやりましょう」
「いや、ちが……あ~~れ~~~」
このあとめちゃくちゃ、ボコボコにされた。
朧は立派な鎧武者の姿をしているが、中身は無くて鎧自体に取り付く霊だそうだ。
「朧と申す。ところでそちらの女性の腰に下げているものは刀に見えるのだが……」
「ああ、ソーカは刀使いだよ。朧さんは長船かなその刀は?」
「!? なんと、一目でわかるのか!
良い目をされておるでござるな!
そうでござる拙者の刀は備前長船兼光!
妖怪にも刀鍛冶はおってな、その中でも破格の出来だったこの武器を長い年月をかけて儂の体と馴染ませた一品じゃ。
この美しい刃紋、そしてこの細さをして粘りと強靭さが同居しており、振るだけで心が踊るような気持ちになる」
興奮しながら抜いた刀を見せてくれる。
鎧武者の人が興奮すると背後に浮いている火の玉が赤くなっていくことが発見できた。
「ソーカの刀は俺が打ったので有名な品では無いですが……」
「いやいや、まぁいい刀だと思いますぞ。丁寧な柄の作りは非常に好感が持てますからな、しかし、やはり刃の作りは長船の良さを超えるものというのはなかなかに……」
ユキムラにもらった大切な刀を侮辱されたような気分になりソーカは無言で抜刀する。
「ほう……美しい……うつく……な、何でござるかこの刀は!?
おおおおおおおおお……わかる、わかりますぞ! この刀は凄まじい力を秘めている!
ふおおおおおお見たこともない、このような力の輝き、ふあああああああああああ……
は、入りたい……その刀に入りたいぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「絶対にダメです」
キン
素早く納刀する。
「ああん……! もっと、もっと見せてくだされ!
ちょっとだけ、さきっぽだけだから入らせてくだされ!
お願いじゃ! 頼む! 一回だけ! 痛くしないから!!」
この後ソーカにもし勝ったら乗り移ってもいいと言われボコボコにされた。
問題の多いメンバーだったが、まずはダンジョン攻略のための準備をしないといけない。
鎧と刀を打つと言った時にの火の玉の色の変化は虹のようで美しかった。
夜見の里から少し離れた広場状になっている場所、ユキムラの作ったメガネのお陰で昼間と変わらない視界を得られているが、それを外せば足元もよく見えない薄暗い空間だ。
【ちょっと待っててください、門番に事情を説明してきますニャ】
タッタッタと里へ向かって鵺が走っていく。
どことなく嬉しそうに見える。
今まで救いを求めに人里へ行っては問答無用で攻撃されて、ならばと人の往来の多いところで待っていたら余計に攻撃されるようになってしまっていた可哀想な鵺は、ユキムラ達と出会えたことが嬉しいのだ。
「なんか街の作りが見たこともない雰囲気で面白いですね」
レンがはやく街に入りたそうに眺めている。
「長屋っていう平造りの家屋だね。あの長い建物が内部で幾つか区切られていて、それぞれ別の家庭がくらしているんだよ」
「お隣の音とか聞こえないんですか?」
「うーん、聞こえちゃうかもね、何ていうか静かに暮らすというかお互いにお互いを気遣う精神でなりたっているとかだったはず……」
「素敵な考え方ですね」
「ごめん、うろ覚えだけどね……」
「師匠の元いた世界に似たようなものが有るんですね」
「あ……うん。そうだね。俺がいた場所の過去の建物だね」
「師匠……こんな時に聞く話じゃないと思うんですが、師匠はいつの日か……」
「お待たせニャ!! 我が里を案内するニャ!!」
「おお! これが姫様を救ってくださる人達か!?」
「なんじゃ、俺等の仲間がいるじゃないか!」
鵺が連れてきた里の住人たちにあっという間に囲まれてしまい、大騒ぎのまま里へと連れて行かれてしまう。
ユキムラとレンの間に流れた空気は、その喧騒によって流されていってしまう。
それが二人にとっていいことなのか悪いことなのかは誰にもわからない。
「なんか、落ち着かないね……」
「そうですね……」
「見世物みたい……」
「わん!」
今白狼隊のメンバーは里の中心にある館と呼ばれる場所の大広間でひな壇に座っている。
目の前には多数の妖怪と呼ばれる人達がずらりと並んでいる。
先頭には鵺と老人が座っている。
しばらくすると里の者が全て集まったらしく、河童が老人に耳打ちをする。
「この度は姫の救出に助力していただけるということで、誠に感謝の極みであります」
その老人が話し始めるとざわついていた室内がシーンと静かになる。
「私は姫の側付きを任せられているぬらりひょんと申します。
姫のいない今、皆のまとめ役を勤めさせていただいております。以後、お見知りおきを……」
着流しを来た渋いご老人は見事な口上を述べて頭を下げる。
そのふるまいは美しく、ユキムラは少し興奮していた。
ユキムラは地味に時代劇好きなのだ。
「な、なんかそんなにかしこまらないでください。
我々も別件を調べに来たら偶然こうなっただけなので……」
「別件……と、申しますと?」
「実は鵺さんが村と街を繋ぐ道を塞いでいるせいで村の人々が大変困っていまして、その解決をお願いされたのです」
「へ……?」
素っ頓狂な声を上げる鵺、ぬらりひょんは鋭い眼光で鵺を睨みつける。
「あれだけ大言を吐いておきながら……しかも、順調で何の問題もないと言っていたではないか……」
「い、いや、それはその……」
「まぁまぁ、とりあえず夜叉姫をお助けするのはお手伝いしますので、ちょっとご相談が有るのですが……」
ぬらりひょんの怒気の滲む詰問から開放されて鵺がほっとため息をついてまた睨まれている。
それからユキムラは自分が来訪者であること、3年後にこの地に魔神軍が攻め込むこと、そして魔神軍は人も妖怪も根こそぎ排除してくることを伝える。
そして、姫救助の見返りではないが、ダンジョンへの妖怪の中から人を出してもらうことと、この里の保護のためのGUの設置について相談した。
「ふむ……我が里には長寿のものもいます。来訪者の話は聞いたこともあります。
圧倒的な力を持って世界の危機を救ったとも聞いています。
わかりました。ユキムラ殿、我々は姫様を救っていただく立場、喜んでお力をお貸しします。
また、姫様が助けられた暁には我が身命をかけて姫様を説得いたします。
何卒ご助力を重ねてよろしくお願いいたします……」
話は決まった。
「それでは里からは、九きゅう、朧おぼろ、お主らに任せる」
「はいな」
「仕った」
九尾の狐の九と鎧武者の亡霊、朧が同行することになる。
「よろしく頼むねー」
九は女性の姿をしていて、少しはだけているキモノからまぁ立派なものが零れそうでヒヤヒヤする。
ユキムラはじとーーーーっと背中に浴びる視線のほうがヒヤヒヤしているようだが……
魔法に似た妖術と陰陽術の使い手でこの里一番の腕前だそうだ。
「おお、可愛らしい男児がおるのぉ……どうじゃ? 九といいことせぬか?」
「手合わせですか? いいですよ、妖術と陰陽術がどんなものか知りたいですからやりましょう」
「いや、ちが……あ~~れ~~~」
このあとめちゃくちゃ、ボコボコにされた。
朧は立派な鎧武者の姿をしているが、中身は無くて鎧自体に取り付く霊だそうだ。
「朧と申す。ところでそちらの女性の腰に下げているものは刀に見えるのだが……」
「ああ、ソーカは刀使いだよ。朧さんは長船かなその刀は?」
「!? なんと、一目でわかるのか!
良い目をされておるでござるな!
そうでござる拙者の刀は備前長船兼光!
妖怪にも刀鍛冶はおってな、その中でも破格の出来だったこの武器を長い年月をかけて儂の体と馴染ませた一品じゃ。
この美しい刃紋、そしてこの細さをして粘りと強靭さが同居しており、振るだけで心が踊るような気持ちになる」
興奮しながら抜いた刀を見せてくれる。
鎧武者の人が興奮すると背後に浮いている火の玉が赤くなっていくことが発見できた。
「ソーカの刀は俺が打ったので有名な品では無いですが……」
「いやいや、まぁいい刀だと思いますぞ。丁寧な柄の作りは非常に好感が持てますからな、しかし、やはり刃の作りは長船の良さを超えるものというのはなかなかに……」
ユキムラにもらった大切な刀を侮辱されたような気分になりソーカは無言で抜刀する。
「ほう……美しい……うつく……な、何でござるかこの刀は!?
おおおおおおおおお……わかる、わかりますぞ! この刀は凄まじい力を秘めている!
ふおおおおおお見たこともない、このような力の輝き、ふあああああああああああ……
は、入りたい……その刀に入りたいぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「絶対にダメです」
キン
素早く納刀する。
「ああん……! もっと、もっと見せてくだされ!
ちょっとだけ、さきっぽだけだから入らせてくだされ!
お願いじゃ! 頼む! 一回だけ! 痛くしないから!!」
この後ソーカにもし勝ったら乗り移ってもいいと言われボコボコにされた。
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