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239話 西洋地獄?
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ユキムラの予想は大きく裏切られることになる。
「ふむふむ、つまり敵をこう引き寄せてこう位置取りすれば……」
「そうそう! そうすればここからの射線を確保しつつ、敵全体を把握できるんだよ!」
「そしたら数が増えたら、こっちに位置どったほうがいいんだな」
「……ラオさん……すごいな……」
レンが驚くのも無理はない。
ユキムラも驚いている。
ラオは戦術的な話も戦略的な話も非常に知的で理性的な思考をするタイプだったのだ。
その飲み込みの速さや、導かれる戦術はおおいにユキムラを楽しませて、レンを唸らせる。
「ラオってちゃんとやれば軍を率いて戦えるよ!」
「うーん、俺はいかに喧嘩に勝つかしか考えてね~からな~……」
「戦闘中も見ようと思えば全体をちゃんと見てるし、引くとこは引くし、ごめんだいぶ印象と違うんだね!」
「まぁ喧嘩と命のやり取りはちーーっと違うわな!
喧嘩は馬鹿になって殴り合えりゃーいいんだけど、魔物相手の闘いで無駄に命落とすのはもったいねぇ!」
「なるほどね、いいね! そういう考え好きだよ!」
ユキムラが非常に上機嫌だ。
ここのところ無いくらいにウッキウキでラオと話し込んでいる。
当然、ちょっとおもしろくないのがレンとソーカなわけだ。
「どうしよ、攻撃もタゲ取りもラオさんのほうが上手い……
私……いらない?」
「師匠、楽しそうだな……」
「二人共ふてくされないの、二人はすでにユキムラちゃんが求めるレベルを越えているからいちいち褒めないのよ。もう、わかっててそういうこと言うんだから……」
「だってぇ……」
「最近ゆっくりしてないし……師匠ずっとラオさんと一緒だし……」
「わかったわよ、あとでユキムラちゃんにそれとなく言ってあげるから!
ほら、次のお客さん来たわよ!
動きまで悪くなったらそれこそ本当にユキムラちゃんに嫌われるわよ~!」
年長者であるヴァリィも大変だ。
敵はヴァンパイアロードとヴァンパイア達。
中ボスクラスの敵が普通に出てくるようになっている。
ボスクラスを持つ敵は状態異常耐性、というかほぼ無効だ。
さらに無限に取り巻きを湧かせてくるので、いかにして取り巻きを剥いで本体を手早く叩くかが鍵になる。
「札術、土返し!」
レンの放つ札が敵の足元に張り付くと足場が盛り上がり敵を後方へと弾き飛ばす。
敵を思い通りに弾き飛ばすことで戦力の分断がスムーズに行える。
取り巻きを含む雑魚をヴァリィがそのまま間に入って抱えてレンと戦線を維持して、ユキムラ、タロ、ソーカ、ラオでヴァンパイアロードを一気に落とす。
まるで事前に打ち合わせしていたかのように役割分担が行われる。
取り巻きを倒してしまうとボスの側に再び召喚されるので、倒さず維持しなければならない。
数が多いとヴァリィへの負担が大きくなるのでファイアーウォール、アイスウォールなどに代表される行動阻害魔法を駆使して一度に当たる敵の数を調整する。
レンは新しく憶えた札術や陰陽術を積極的に取り入れて戦術にさらに多様性を持たせていた。
以前にもまして選択肢が増えたことで非常に余裕を持って敵をコントロールしている。
ソーカも一段と刃を研ぎ澄ましている。
カウンターその一点において、VOのシステムに頼らずにユキムラと同等、場合によってはユキムラ以上の輝きを魅せる。
敵の攻撃を躱しての一撃だけではない、敵の攻撃を誘導してその出鼻へのカウンター、ユキムラもよく利用するが、後の先、先の先と呼ばれる攻撃を入り交えてまるで呼吸をするように自然と戦闘を行える、そういうレベルに達している。
これはユキムラが40年という年月で積み重ねてきた様々な戦闘技術の大変大きな一角に至っているということだった。
「レンもソーカさんも凄いな……、いや、白狼隊は凄いな……」
鬼王も感心するしか無い。
こういった闘い方をする人間を見たことがない。
八鬼衆は馬鹿だし。自分もどちらかというと戦闘を楽しんで理論だてるよりも博打を楽しんでしまう。
白狼隊に混じって戦闘を行うことで、理論建てた戦略がハマった時の楽しさを知っていく。
「レンもホントにやれるようになったよね、もう教えることないかなぁ。
札術も陰陽術も俺より使いこなしてるし、レン師匠に習おうかなぁ……」
「や、やめてくださいよぉ師匠! 師匠だなんて……僕なんてまだまだですよ!」
満面の笑みで照れまくっている。
「ソーカも凄いよね! 短時間のDPS(damege per second)なら俺より上だよね。
なにより闘い方が華があって綺麗だ。見とれちゃいそうで困るよ」
「そ、そんな……キレイだなんて……」
「タロ、これが天然のたらしよ、憶えておきなさい」
「わおん!」
「それにしても、ラオがいい意味で予想外で馴染んでくれて、しかも大群の指揮も任せられる。
素晴らしい将がいることをしれたのは僥倖だね!」
「まぁ、大群の指揮と言ってもそんな機会は無いだろうがなぁ!」
「うーん、たぶん、力を借りる時は来ると思うよ。今は詳しく話せないけど……」
「ほぅ……ま、詳しくは聞かねーよ。俺は闘いがあれば精一杯楽しむだけだ!」
「その時は、頼りにしてるよ!」
強力な仲間とともに白狼隊は悪魔系の敵で統一されているダンジョンを快進撃を続ける。
そして、最深部の最後の部屋に続く扉前にて、最後の戦いを迎える。
「悪魔・天使か、かなりきついから頑張ろう」
堕天使ルシフェルと対面する。
「ふむふむ、つまり敵をこう引き寄せてこう位置取りすれば……」
「そうそう! そうすればここからの射線を確保しつつ、敵全体を把握できるんだよ!」
「そしたら数が増えたら、こっちに位置どったほうがいいんだな」
「……ラオさん……すごいな……」
レンが驚くのも無理はない。
ユキムラも驚いている。
ラオは戦術的な話も戦略的な話も非常に知的で理性的な思考をするタイプだったのだ。
その飲み込みの速さや、導かれる戦術はおおいにユキムラを楽しませて、レンを唸らせる。
「ラオってちゃんとやれば軍を率いて戦えるよ!」
「うーん、俺はいかに喧嘩に勝つかしか考えてね~からな~……」
「戦闘中も見ようと思えば全体をちゃんと見てるし、引くとこは引くし、ごめんだいぶ印象と違うんだね!」
「まぁ喧嘩と命のやり取りはちーーっと違うわな!
喧嘩は馬鹿になって殴り合えりゃーいいんだけど、魔物相手の闘いで無駄に命落とすのはもったいねぇ!」
「なるほどね、いいね! そういう考え好きだよ!」
ユキムラが非常に上機嫌だ。
ここのところ無いくらいにウッキウキでラオと話し込んでいる。
当然、ちょっとおもしろくないのがレンとソーカなわけだ。
「どうしよ、攻撃もタゲ取りもラオさんのほうが上手い……
私……いらない?」
「師匠、楽しそうだな……」
「二人共ふてくされないの、二人はすでにユキムラちゃんが求めるレベルを越えているからいちいち褒めないのよ。もう、わかっててそういうこと言うんだから……」
「だってぇ……」
「最近ゆっくりしてないし……師匠ずっとラオさんと一緒だし……」
「わかったわよ、あとでユキムラちゃんにそれとなく言ってあげるから!
ほら、次のお客さん来たわよ!
動きまで悪くなったらそれこそ本当にユキムラちゃんに嫌われるわよ~!」
年長者であるヴァリィも大変だ。
敵はヴァンパイアロードとヴァンパイア達。
中ボスクラスの敵が普通に出てくるようになっている。
ボスクラスを持つ敵は状態異常耐性、というかほぼ無効だ。
さらに無限に取り巻きを湧かせてくるので、いかにして取り巻きを剥いで本体を手早く叩くかが鍵になる。
「札術、土返し!」
レンの放つ札が敵の足元に張り付くと足場が盛り上がり敵を後方へと弾き飛ばす。
敵を思い通りに弾き飛ばすことで戦力の分断がスムーズに行える。
取り巻きを含む雑魚をヴァリィがそのまま間に入って抱えてレンと戦線を維持して、ユキムラ、タロ、ソーカ、ラオでヴァンパイアロードを一気に落とす。
まるで事前に打ち合わせしていたかのように役割分担が行われる。
取り巻きを倒してしまうとボスの側に再び召喚されるので、倒さず維持しなければならない。
数が多いとヴァリィへの負担が大きくなるのでファイアーウォール、アイスウォールなどに代表される行動阻害魔法を駆使して一度に当たる敵の数を調整する。
レンは新しく憶えた札術や陰陽術を積極的に取り入れて戦術にさらに多様性を持たせていた。
以前にもまして選択肢が増えたことで非常に余裕を持って敵をコントロールしている。
ソーカも一段と刃を研ぎ澄ましている。
カウンターその一点において、VOのシステムに頼らずにユキムラと同等、場合によってはユキムラ以上の輝きを魅せる。
敵の攻撃を躱しての一撃だけではない、敵の攻撃を誘導してその出鼻へのカウンター、ユキムラもよく利用するが、後の先、先の先と呼ばれる攻撃を入り交えてまるで呼吸をするように自然と戦闘を行える、そういうレベルに達している。
これはユキムラが40年という年月で積み重ねてきた様々な戦闘技術の大変大きな一角に至っているということだった。
「レンもソーカさんも凄いな……、いや、白狼隊は凄いな……」
鬼王も感心するしか無い。
こういった闘い方をする人間を見たことがない。
八鬼衆は馬鹿だし。自分もどちらかというと戦闘を楽しんで理論だてるよりも博打を楽しんでしまう。
白狼隊に混じって戦闘を行うことで、理論建てた戦略がハマった時の楽しさを知っていく。
「レンもホントにやれるようになったよね、もう教えることないかなぁ。
札術も陰陽術も俺より使いこなしてるし、レン師匠に習おうかなぁ……」
「や、やめてくださいよぉ師匠! 師匠だなんて……僕なんてまだまだですよ!」
満面の笑みで照れまくっている。
「ソーカも凄いよね! 短時間のDPS(damege per second)なら俺より上だよね。
なにより闘い方が華があって綺麗だ。見とれちゃいそうで困るよ」
「そ、そんな……キレイだなんて……」
「タロ、これが天然のたらしよ、憶えておきなさい」
「わおん!」
「それにしても、ラオがいい意味で予想外で馴染んでくれて、しかも大群の指揮も任せられる。
素晴らしい将がいることをしれたのは僥倖だね!」
「まぁ、大群の指揮と言ってもそんな機会は無いだろうがなぁ!」
「うーん、たぶん、力を借りる時は来ると思うよ。今は詳しく話せないけど……」
「ほぅ……ま、詳しくは聞かねーよ。俺は闘いがあれば精一杯楽しむだけだ!」
「その時は、頼りにしてるよ!」
強力な仲間とともに白狼隊は悪魔系の敵で統一されているダンジョンを快進撃を続ける。
そして、最深部の最後の部屋に続く扉前にて、最後の戦いを迎える。
「悪魔・天使か、かなりきついから頑張ろう」
堕天使ルシフェルと対面する。
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