老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

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256話 家を建てる

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 ハウスビルド。

 VO内でも最後まで人気の高い要素の一つ。

 自分のホームを好きなように建築。

 壁紙、床材、屋根、設備、家具、魔道具様々な要素を自由に組み合わせ可能。

 無限大のこだわりを実現できる自己表現のキャンバスだ。



「いい広さだなぁ。まずは更地にしよう!」



 ユキムラはレンが購入してくれた建物に残る幾つかの瓦礫や建物を、そのまま収納していく。

 そしてその場で各素材に還元していく。

 ユキムラが目指す今回の建物は、現代風和風建築。

 周囲がゴテゴテとした中華風なので浮いてしまいそうだが、そこは外周を囲う壁は中華風、内部には庭園を利用して見えにくくすることで周囲との調和を取る。

 

「さーて、まずは外壁をササッと作るかぁ!

 センサーつけて、こっちと連動させて、GUを置いてー……門の部分はやっぱり龍だよな!

 夜になると光るとか……いや、あんまりゴテゴテは皆に評判悪いし、間接照明で控えめに……」



 作業に没頭し始めるとブツブツと話してしまうのがユキムラの癖だ。

 見ている人がいたら腰を抜かすほどの速度であっという間に外壁がそこに現れていく。

 ただの土壁に見えて実際は恐ろしい素材と魔道具を贅沢に使用したハイテク仕様。

 自宅を守るGUも特別仕様……様々な素材を手に入れて禍々しい笑顔で楽しそうにユキムラが改造を施していた。



「外壁はこれでオッケー! 周りの建物とも違和感ないね。

 あとは庭園に植物を配置して、あ、池も必須だし、先に外に作るアレも作っていくか……」



 地面が盛り上がり、掘り下げられグニャグニャと変化し、様々な植物が現れては消え、また現れては消え。

 周囲の住人が突然出来た壁からチラチラと映るその光景は、その一体の失火と関連付けられ魔物付きとして恐れられたとかなんとか……



 こんな調子でユキムラは久々のハウスビルドに没頭していった。

 その他のメンバーもそれぞれの仕事をしっかりとこなしている。

 ソーカとヴァリィはテンゲンから龍の巣への街道を整備している。

 

「流石に帝都の近くはきちんと舗装された道ができてるわねぇ」



「でも、あの辺りからは土ざらしですね。

 じゃんじゃんやっていきましょう!」



 上空からの映像を見ながらルート取りを決めていく。

 この都のそばは開けた草原になっており、魔物などの発生も少ないが、少し離れると森林地帯や山岳地帯になっており、多くの魔物が存在する。

 本土からの船が到着する港への道、以外の道は帝都からある程度離れると土がむき出しの荒れた道となっていた。

 ソーカとバリィは手の開いている隊員たちを連れて魔物討伐、道の整備を急ピッチで進めていく。



「なるほど、これだとなかなか整備ができないのもうなずけますね」



 森から飛び出してきたテトラスネークの群れを一蹴してソーカは感想を述べた。

 帝都からある距離を離れると、かなりの頻度で魔物が積極的に襲ってくる。



「帝都の周囲は帝の加護と言われる結界で魔物の侵入を防いでいるそうです」



 隊員の一人が教えてくれた。

 これだけ魔物が襲ってくるとなると街道だけを整備しても移動に手間がかかる。

 

「ある程度は魔物避け設備まで作っちゃいましょうよ。こんな雑魚相手にするだけむだよ~」



 フィールドにいる魔物にしてはまぁまぁ強いが、白狼隊からすればカスのような経験値しか得られない。相手をするだけ無駄だ。



「そうですね、ユキムラさんに一度確認してダンジョンまでの道は結界で囲っちゃいますか」



 通信で聞いた答えはもちろんGOサイン。

 安全に素早い移動経路を確保するようにというお達しだった。



「オーソドックスな街灯型でやりましょう」



 街道の左右に街灯を設置し、それらを結界化させて街道を守る方法。

 同時に照明も設置できるし一石二鳥だ。

 すでに手順として確立されているので街灯型魔道具を設置していくだけだ。

 街道自体の敷設と同時に照明兼結界発生装置の敷設もグングンと進んでいく。

 魔物たちも最初は馬鹿なのか? と思わせるぐらい襲い掛かってきたが、その数は龍の巣に近づくほどに少なくなっていく。



「ああ、アレが原因っぽいわねぇ……」



 ヴァリぃは空を見上げてつぶやく。

 上空を巨大な龍が旋回しているのが見える。

 すでにここは龍の領域に入っているようだった。



【ギャロロロロロロロロ!】



 警戒音とも取れる鳴き声を上げながらヴァリィ達の様子を伺っている。

 龍の巣がある山脈地帯は目と鼻の先、周囲もゴツゴツとした岩場が目立つようになってきた。

 

「何もしてこないですが、なんか嫌な感じですね」



「変に手を出して敵認定されてもねぇ……」



「ちょっと威圧しておきますか? 手を出したらこうなるぞ的な、どうやら知性も高そうですし」



「あんまりやりすぎないでねー」



 ソーカは少し離れた岩場の前に歩いて行く。

 上空にいる龍は人の群れから離れていく者を襲うでもなく、別段注意もなく有り体に言えば無視している。

 そこにソーカから強力な威圧を受ける。明確な龍に向けた殺意だ。



【グロロロロ……!!】



 怒気の混じる低い唸り声をソーカに向かって放つ。

 龍からすれば弱者から無礼な殺気をぶつけられて不愉快なのだ。



「せぇい!!」



 ソーカが気合とともに手に持つ刀で目の前の巨石に斬りつける。

 斬る瞬間に『貴様もこうしてやるぞ?』という威圧にも似た気合を乗せて。

 巨石がバターのようにスライスされる。

 上空から見ている龍には更に恐ろしい映像がその瞳に写っている。

 石の反対側の大地が激しく抉られ切り裂かれている。

 この者たちに喧嘩を売った場合の自分の未来をそこに見た龍は、【グルルル……】と悔しそうに啼き山へと帰っていくのだった……



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