270 / 342
270話 シリュウ
しおりを挟む
「ユキムラ!! シリュウが目を覚ましたぞ!」
ちょうどオトハのところにオニギリとお味噌汁を持っていこうとしていたユキムラのところにオトハが飛び込んできた。
ぐーーーーぎゅるぎゅるぎゅるーーーーー
そしてその美味しそうなお味噌汁の香りにオトハの腹が盛大な音を上げた。
「そ、それはシリュウのところで食べるのじゃ……今は我慢するのじゃ……」
ユキムラは素早くもう一つそのセットを作りオトハと一緒にシリュウのところへと向かう。
「おお、ユキムラ殿お持ち致します」
途中でケイジと合流する。ユキムラの持つ盆を受け取って運んでくれる。
「いやー、それにしてもいい香りですな。先程食事を取りましたが握り飯というやつはどんなときでも食べたくなるもので……」
「ケイジ、それ食べたら貴様とは二度と口を聞かんからな」
「オトハ様、そんなことしませんよ子供じゃあるまいし……」
「ワシから見ればお主らは皆、子供みたいなものじゃ!」
「はっはっはーオトハ様には敵いませんな!」
談笑しながらシリュウが治療を受けていた部屋へと入ると、ベッドの上で上半身を持ち上げて座る龍人の姿がある。ただそこに座っているだけで周囲の空気が凛とした緊張感を漂わせる。
「世話になったようですね。はじめましてシリュウと申します。
このような体勢で失礼致します。少し足の感覚が鈍く上手く動かせないもので……」
不思議と通る声に、いつの間にか談笑していた全員が聞き惚れていた。
「あ……えっと、その、すみませんでした。淵って奴を倒すために貴方の身体を痛めつけてしまって……」
「いや! ユキムラたちは悪くないのじゃよシリュウ!
仲間を守りながら必死に戦ったのじゃ!」
「ええ、先程も言いましたが、この件に関しては感謝はすれど恨むなんてことはありません。
まさかまたこのように話せる日が来るとは思っても見なかったのですから。
本当に皆様、ありがとうございました」
輝く白髪に真っ白な肌のせいか、酷く儚げに映ってしまうシリュウ。
しかし、一切のムダのない龍人としての鍛え抜かれた肉体が一本筋を通して凛とした魅力に変えている。竜人とわかるのは腕のあたりに少し鱗があるぐらいなのと、金色の美しい目が不思議な形態をしているぐらいで、スラリとしたモデルのような体型の女性と言ってもわからないくらいだ。
「シリュウさん、起きたばかりですみませんが、何があったのか教えていただけませんか?」
「ええ……ただ、その前に我が友に食事を食べさせてもらってもいいかな?
もし……その、よろしければ私も……その、いい匂いでお腹がなりそうで……」
恥ずかしそうに顔を真赤にして照れるシリュウ、なんというか、艶っぽい……
「……惚れた……」
「……ん? 何か言ったか? ケイジ……?
それよりもシリュウの言うとおりじゃ! ユキムラ! はよ、はよ!」
それからユキムラはやることがあるからゆっくり食事して欲しいと中座して3人で食事を楽しむ。
ケイジの分もユキムラがストックしていた食事から用意した。
皆の食事も終えてお腹の暴れん坊が収まった頃にユキムラが戻ってくる。
「こんなの作ってみたから、シリュウさん使ってください。
あと、何が起きたかは皆で聞いたほうがいいと思うから会議室で話しましょう」
ユキムラは魔導式車椅子を作ってきていた。
電動式の車椅子の動力を魔道具で代用している。
手元のレバーで簡単に操作ができる。安全対策も抜群だ!
「おお、ユキムラ殿は今の時間にこのような物を作ったのですか!?」
動きを試しながらシリュウは驚きを隠せない。
オトハはその楽しそうなおもちゃに乗りたくてウズウズしているがぐっと我慢している。
「多分時間をかけて治療すれば足も動くようになると思いますよ」
レンが扉を開けてくれているのでそのままゆっくりと廊下へと出る。
先程レンにも相談してシリュウの診断をしてもらっている。
ユキムラが診みても良かったけど、女性の診察なのでまだレンの方が子供的にセーフと判断した。
医療的な知識はこの世界でレンが勉強しているので、ユキムラの回復魔法でポンという治療よりも繊細な治療が可能になっている。
VOとは違ってどんな怪我でも魔法をかければHPを回復で解決! とはいかないのがこの世界の理のようだった。と、いっても上位の回復魔法はほとんど万能と言っていい。
今回のケースみたいに神経系の問題が絡むと治癒反応がゆっくりになったりすることもある。
それでも適切な治癒を続けていけば時間経過で回復してくれることがわかっている。
「それでは皆さん、改めて私を救ってくださりありがとうございます」
「ワシからも礼をゆうのじゃ、皆の協力のおかげなのじゃ……」
「それなら我らも命を救ってもらった。本当に感謝する」
シリュウ、オトハ、ケイジが頭を下げてくる。
「ちょ、ちょっともう、それはいいですから。助けられて本当にほっとしてますよ」
ユキムラは基本的にこういうのに弱い。
「そ、それよりもシリュウさん。ここで何が起きたのかを教えていただきたいのです」
「そうなのじゃ! シリュウはアイツに乗っ取られておったのか?」
「そうですね、皆様との戦いもきちんと認識してはいたのですが、身体の主導権を完全に握られている状態、本当に地獄でした……
順を追って説明するべきですね……」
シリュウの口から過去の出来事が語られていく……
ちょうどオトハのところにオニギリとお味噌汁を持っていこうとしていたユキムラのところにオトハが飛び込んできた。
ぐーーーーぎゅるぎゅるぎゅるーーーーー
そしてその美味しそうなお味噌汁の香りにオトハの腹が盛大な音を上げた。
「そ、それはシリュウのところで食べるのじゃ……今は我慢するのじゃ……」
ユキムラは素早くもう一つそのセットを作りオトハと一緒にシリュウのところへと向かう。
「おお、ユキムラ殿お持ち致します」
途中でケイジと合流する。ユキムラの持つ盆を受け取って運んでくれる。
「いやー、それにしてもいい香りですな。先程食事を取りましたが握り飯というやつはどんなときでも食べたくなるもので……」
「ケイジ、それ食べたら貴様とは二度と口を聞かんからな」
「オトハ様、そんなことしませんよ子供じゃあるまいし……」
「ワシから見ればお主らは皆、子供みたいなものじゃ!」
「はっはっはーオトハ様には敵いませんな!」
談笑しながらシリュウが治療を受けていた部屋へと入ると、ベッドの上で上半身を持ち上げて座る龍人の姿がある。ただそこに座っているだけで周囲の空気が凛とした緊張感を漂わせる。
「世話になったようですね。はじめましてシリュウと申します。
このような体勢で失礼致します。少し足の感覚が鈍く上手く動かせないもので……」
不思議と通る声に、いつの間にか談笑していた全員が聞き惚れていた。
「あ……えっと、その、すみませんでした。淵って奴を倒すために貴方の身体を痛めつけてしまって……」
「いや! ユキムラたちは悪くないのじゃよシリュウ!
仲間を守りながら必死に戦ったのじゃ!」
「ええ、先程も言いましたが、この件に関しては感謝はすれど恨むなんてことはありません。
まさかまたこのように話せる日が来るとは思っても見なかったのですから。
本当に皆様、ありがとうございました」
輝く白髪に真っ白な肌のせいか、酷く儚げに映ってしまうシリュウ。
しかし、一切のムダのない龍人としての鍛え抜かれた肉体が一本筋を通して凛とした魅力に変えている。竜人とわかるのは腕のあたりに少し鱗があるぐらいなのと、金色の美しい目が不思議な形態をしているぐらいで、スラリとしたモデルのような体型の女性と言ってもわからないくらいだ。
「シリュウさん、起きたばかりですみませんが、何があったのか教えていただけませんか?」
「ええ……ただ、その前に我が友に食事を食べさせてもらってもいいかな?
もし……その、よろしければ私も……その、いい匂いでお腹がなりそうで……」
恥ずかしそうに顔を真赤にして照れるシリュウ、なんというか、艶っぽい……
「……惚れた……」
「……ん? 何か言ったか? ケイジ……?
それよりもシリュウの言うとおりじゃ! ユキムラ! はよ、はよ!」
それからユキムラはやることがあるからゆっくり食事して欲しいと中座して3人で食事を楽しむ。
ケイジの分もユキムラがストックしていた食事から用意した。
皆の食事も終えてお腹の暴れん坊が収まった頃にユキムラが戻ってくる。
「こんなの作ってみたから、シリュウさん使ってください。
あと、何が起きたかは皆で聞いたほうがいいと思うから会議室で話しましょう」
ユキムラは魔導式車椅子を作ってきていた。
電動式の車椅子の動力を魔道具で代用している。
手元のレバーで簡単に操作ができる。安全対策も抜群だ!
「おお、ユキムラ殿は今の時間にこのような物を作ったのですか!?」
動きを試しながらシリュウは驚きを隠せない。
オトハはその楽しそうなおもちゃに乗りたくてウズウズしているがぐっと我慢している。
「多分時間をかけて治療すれば足も動くようになると思いますよ」
レンが扉を開けてくれているのでそのままゆっくりと廊下へと出る。
先程レンにも相談してシリュウの診断をしてもらっている。
ユキムラが診みても良かったけど、女性の診察なのでまだレンの方が子供的にセーフと判断した。
医療的な知識はこの世界でレンが勉強しているので、ユキムラの回復魔法でポンという治療よりも繊細な治療が可能になっている。
VOとは違ってどんな怪我でも魔法をかければHPを回復で解決! とはいかないのがこの世界の理のようだった。と、いっても上位の回復魔法はほとんど万能と言っていい。
今回のケースみたいに神経系の問題が絡むと治癒反応がゆっくりになったりすることもある。
それでも適切な治癒を続けていけば時間経過で回復してくれることがわかっている。
「それでは皆さん、改めて私を救ってくださりありがとうございます」
「ワシからも礼をゆうのじゃ、皆の協力のおかげなのじゃ……」
「それなら我らも命を救ってもらった。本当に感謝する」
シリュウ、オトハ、ケイジが頭を下げてくる。
「ちょ、ちょっともう、それはいいですから。助けられて本当にほっとしてますよ」
ユキムラは基本的にこういうのに弱い。
「そ、それよりもシリュウさん。ここで何が起きたのかを教えていただきたいのです」
「そうなのじゃ! シリュウはアイツに乗っ取られておったのか?」
「そうですね、皆様との戦いもきちんと認識してはいたのですが、身体の主導権を完全に握られている状態、本当に地獄でした……
順を追って説明するべきですね……」
シリュウの口から過去の出来事が語られていく……
0
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる