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282話 ウーノの街
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取り敢えず一番近い休憩所エリアで今晩は野営することにする。
他の巡礼者がいなかったので、いても自重はしないのだが、自重せずコテージを展開する。
事前に説明していたが、たぶん思っていたのの数倍の規模の、建築物が現れてダッゾ達は唖然とするしか無かった。
そして内部の設備なども、自分たちが遠目に見たことの有る超高級ホテル並の、いや見たこともないような設備でさらに感嘆するしかない。
コウやナオは素直にフカフカのベッドに喜びぐっすりとその感触を楽しんだ。
翌朝、白狼隊は軍師レンの指示でふた手に別れる。
今回の件の原因と考えられる謎の枯れ木地帯の調査と可能なら封じ込め部隊。
ソーカとヴァリィそしてタロだ。
もう片方がコウとナオの白狼隊への同行に向けての手続き、サナダ商会の足場づくりのためにウーノの街へ行く部隊。
ユキムラ、レン、コウ、ナオの4名とダッゾさん達のパーティだ。
もう、出し惜しみせずにテンゲンで使っていた移動特化の車で一気に街まで向かう。
初めて見る車、さらに走行している間、ダッゾ達はまたも驚愕していたが、来訪者ということで許してもらう。驚きというより半ばあきれている。
まさに疾走と言う表現がピッタリの速度で車が道を走り抜けていく。
「うっわ! もうウーノの街があんなに近くに……森を抜けてから2日くらいかかるのに……」
「さーて、あそこの岩陰で降りて後は徒歩で行きましょう!」
岩陰に車を停めて全員が下車した後にアイテムボックスへと収納する。
その光景を目の当たりにしても、もう驚くのもバカバカしくなってくる。
「あの巨大な物を収納……はぁ……もう、ため息しか出ない……」
「さっきの馬がない馬車も見たこともない早さで……」
「あんな速度で、全く揺れない……」
皆さんそれぞれ感想というか愚痴にも似たつぶやきをなさっているが、気にせずウーノの街へと歩いていく。
街へと近づくと大きな城壁と巡礼者の列が続いている。
ユキムラたちもその列へと並ぶ。
巡礼者の訪れを迎える仕組みづくりは街として円熟しているようで、長蛇の列ではあるものの、サクサクと行政手続が行われているように見える。
街の衛兵がユキムラ達の集団に近づいてくる。
目的によって事前に振り分けを行うようだ。
ダッゾ達は自分たちに起きたことを説明して街に対する注意喚起を呼びかけてくれる。
「そちらが従順な信徒を救ってくれた、来訪者……ということでよろしいですか?」
中年の知的な印象の衛兵がユキムラに訪ねかける。
「はい。一応これが私の身分を証明してくれると思います」
ユキムラはそっと女神の腕輪を見せる。
一瞬首をかしげた衛兵だったが、すぐにそれに思い当たったようだ。
「ちょ、ちょっと待っててくれ! 確認のための人を呼んでくる!」
大急ぎで踵を返して噸所へと走っていく。
途中蹴躓けつまずいて倒れそうになるほどの慌てっぷりだ。
列からズレて待っていてもどんどんと列は捌かれていくので、この人達はなんだろう? という周囲の目線が少し痛い。
しばらく待っていると衛兵の一団が近づいてきて、周囲がざわめき始める。
その理由はその一団の先頭に居るのが白銀の鎧と真紅のマント。
聖騎士しかつけることを許されないその装いの人物だからだ。
「騒がせてすまない。ウーノの街衛兵隊隊長、デリカです」
30代後半ぐらいの精悍な顔つきをした男性が挨拶をしながら握手を求めてくる。
ユキムラも失礼がないように自己紹介をしながらその手をにぎる。
「はじめまして。白狼隊のリーダーをしているユキムラと言います」
そして二人が手をつなぐと、白銀の鎧とユキムラの腕輪がほのかに光を放つ……
「おおおおお!!」
周囲から歓声がわく。
同時に握手をしていたデリカがまるで臣下の様に片膝を付き腰につけた剣を捧げる。
「聖騎士の中の聖騎士にお目にかかれるとは光栄の至り。
聖騎士デリカ、ユキムラ様の来訪を心より歓迎いたします」
感極まって、少し声が震えている。
この国においてこの腕輪とはこういう物なのだ。
「ありがとうございますデリカさん。ただ、少し恥ずかしいのでこれくらいで……」
「私のことはどうかデリカとお呼びください。
すぐに大聖堂へ来ていただけますか?
大司教も真に選ばれし聖騎士様が来たと知れば感慨の極みでしょう」
ただでさえこの国では憧れの象徴のような聖騎士が跪いただけでも周囲が騒然としているのに、さらに大名行列のように聖騎士の白馬に乗せられてまるで臣下のように聖騎士を侍らせている。
ユキムラは笑顔がひきつっていた。
しかし、なるべくスムーズに話を持っていくためにここは耐えるのでありました。
「師匠。かっこいいです……」
レンは違うところに感心していた。
ウーノの街は外壁を抜けて街の内部に入ると上から見下ろした町並みが眼前に迫ってくる。
白壁に赤い屋根。
統一されたデザインの建物が綺麗に並んでいる。
中央大通り沿いにはたくさんの店が立ち並び、店先は様々な商品が所狭しと並べられ、巡礼地のメッカだけあって非常に賑わっていた。
「いい街ですね」
ユキムラは思わず感想が口からぽろりと出ていた。
「ありがとうございます。この町を代表して御礼申し上げます」
「あ、あのデリカさん。私のほうが年下なのでもう少し砕けた感じで話していただけたほうが嬉しいのですが……」
「ユキムラ様がそうお望みなら誠心誠意努力させていただきます」
「そ、そしたらよろしくお願いいたします」
深々と礼をするデリカ。ほんの少しだけお殿様扱いが和らぐことになる。
まだまだ、女神の腕輪の後光が輝きだした入り口に過ぎないが、すでにユキムラの精神力はゴリゴリと削られているのでありました。
他の巡礼者がいなかったので、いても自重はしないのだが、自重せずコテージを展開する。
事前に説明していたが、たぶん思っていたのの数倍の規模の、建築物が現れてダッゾ達は唖然とするしか無かった。
そして内部の設備なども、自分たちが遠目に見たことの有る超高級ホテル並の、いや見たこともないような設備でさらに感嘆するしかない。
コウやナオは素直にフカフカのベッドに喜びぐっすりとその感触を楽しんだ。
翌朝、白狼隊は軍師レンの指示でふた手に別れる。
今回の件の原因と考えられる謎の枯れ木地帯の調査と可能なら封じ込め部隊。
ソーカとヴァリィそしてタロだ。
もう片方がコウとナオの白狼隊への同行に向けての手続き、サナダ商会の足場づくりのためにウーノの街へ行く部隊。
ユキムラ、レン、コウ、ナオの4名とダッゾさん達のパーティだ。
もう、出し惜しみせずにテンゲンで使っていた移動特化の車で一気に街まで向かう。
初めて見る車、さらに走行している間、ダッゾ達はまたも驚愕していたが、来訪者ということで許してもらう。驚きというより半ばあきれている。
まさに疾走と言う表現がピッタリの速度で車が道を走り抜けていく。
「うっわ! もうウーノの街があんなに近くに……森を抜けてから2日くらいかかるのに……」
「さーて、あそこの岩陰で降りて後は徒歩で行きましょう!」
岩陰に車を停めて全員が下車した後にアイテムボックスへと収納する。
その光景を目の当たりにしても、もう驚くのもバカバカしくなってくる。
「あの巨大な物を収納……はぁ……もう、ため息しか出ない……」
「さっきの馬がない馬車も見たこともない早さで……」
「あんな速度で、全く揺れない……」
皆さんそれぞれ感想というか愚痴にも似たつぶやきをなさっているが、気にせずウーノの街へと歩いていく。
街へと近づくと大きな城壁と巡礼者の列が続いている。
ユキムラたちもその列へと並ぶ。
巡礼者の訪れを迎える仕組みづくりは街として円熟しているようで、長蛇の列ではあるものの、サクサクと行政手続が行われているように見える。
街の衛兵がユキムラ達の集団に近づいてくる。
目的によって事前に振り分けを行うようだ。
ダッゾ達は自分たちに起きたことを説明して街に対する注意喚起を呼びかけてくれる。
「そちらが従順な信徒を救ってくれた、来訪者……ということでよろしいですか?」
中年の知的な印象の衛兵がユキムラに訪ねかける。
「はい。一応これが私の身分を証明してくれると思います」
ユキムラはそっと女神の腕輪を見せる。
一瞬首をかしげた衛兵だったが、すぐにそれに思い当たったようだ。
「ちょ、ちょっと待っててくれ! 確認のための人を呼んでくる!」
大急ぎで踵を返して噸所へと走っていく。
途中蹴躓けつまずいて倒れそうになるほどの慌てっぷりだ。
列からズレて待っていてもどんどんと列は捌かれていくので、この人達はなんだろう? という周囲の目線が少し痛い。
しばらく待っていると衛兵の一団が近づいてきて、周囲がざわめき始める。
その理由はその一団の先頭に居るのが白銀の鎧と真紅のマント。
聖騎士しかつけることを許されないその装いの人物だからだ。
「騒がせてすまない。ウーノの街衛兵隊隊長、デリカです」
30代後半ぐらいの精悍な顔つきをした男性が挨拶をしながら握手を求めてくる。
ユキムラも失礼がないように自己紹介をしながらその手をにぎる。
「はじめまして。白狼隊のリーダーをしているユキムラと言います」
そして二人が手をつなぐと、白銀の鎧とユキムラの腕輪がほのかに光を放つ……
「おおおおお!!」
周囲から歓声がわく。
同時に握手をしていたデリカがまるで臣下の様に片膝を付き腰につけた剣を捧げる。
「聖騎士の中の聖騎士にお目にかかれるとは光栄の至り。
聖騎士デリカ、ユキムラ様の来訪を心より歓迎いたします」
感極まって、少し声が震えている。
この国においてこの腕輪とはこういう物なのだ。
「ありがとうございますデリカさん。ただ、少し恥ずかしいのでこれくらいで……」
「私のことはどうかデリカとお呼びください。
すぐに大聖堂へ来ていただけますか?
大司教も真に選ばれし聖騎士様が来たと知れば感慨の極みでしょう」
ただでさえこの国では憧れの象徴のような聖騎士が跪いただけでも周囲が騒然としているのに、さらに大名行列のように聖騎士の白馬に乗せられてまるで臣下のように聖騎士を侍らせている。
ユキムラは笑顔がひきつっていた。
しかし、なるべくスムーズに話を持っていくためにここは耐えるのでありました。
「師匠。かっこいいです……」
レンは違うところに感心していた。
ウーノの街は外壁を抜けて街の内部に入ると上から見下ろした町並みが眼前に迫ってくる。
白壁に赤い屋根。
統一されたデザインの建物が綺麗に並んでいる。
中央大通り沿いにはたくさんの店が立ち並び、店先は様々な商品が所狭しと並べられ、巡礼地のメッカだけあって非常に賑わっていた。
「いい街ですね」
ユキムラは思わず感想が口からぽろりと出ていた。
「ありがとうございます。この町を代表して御礼申し上げます」
「あ、あのデリカさん。私のほうが年下なのでもう少し砕けた感じで話していただけたほうが嬉しいのですが……」
「ユキムラ様がそうお望みなら誠心誠意努力させていただきます」
「そ、そしたらよろしくお願いいたします」
深々と礼をするデリカ。ほんの少しだけお殿様扱いが和らぐことになる。
まだまだ、女神の腕輪の後光が輝きだした入り口に過ぎないが、すでにユキムラの精神力はゴリゴリと削られているのでありました。
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