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285話 普通のダンジョン
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土や岩がむき出しの坂道をずんずんと進んでいくユキムラ達。
一定間隔で壁面にガシュッと照明魔道具を設置しながらどんどん進む。
自然にできたとは思いにくいきちんとした洞窟状の作りになっている。
「もともとあった洞窟が何かのきっかけで地上に開口した感じかな?」
「グルルル……」
「ユキムラさんこの先広くなっているところに……」
「そうだね、キーミッツさん、デリカさん。この先で敵と遭遇するので戦闘準備をお願いします」
「な、なんと……何の気配も感じないが。いや、分かった警戒しておく!」
「それではワシは皆に祝福でも……」
「あ、俺がやっちゃうんで、ちょっと敵の強さがわからないので自分の身体だけ守っておいてくださいね」
キーミッツもデリカもケラリス神国でも指折りの猛者だ。
ほんの少し、ほんの少しだがユキムラの物言いには引っかかるところがあったが、もちろん表には出さない。
ただ、その気持もいざ戦闘が始まって白狼隊の戦闘を見ることで、いかに自分たちが井の中の蛙であったのかを思い知らされる。
正直、戦闘内容が目で追えなかったのだ。
「……なん……と……」
二人共、呆然とするしか無かった。
敵は霊体系のレイスが数体に、腐臭を漂わせる醜悪な犬、グールウルフの集団。
少し広くなった空間でうごめいていた魔物の中へと踊りだすと、タロが駆けたように見えると突然姿を見失う。
【Gugegee……】
何の気配もなくレイスの集団が消え去っている。
タロがどこにいるのかも捉えることが出来なかった。
そして、その一瞬の攻防に目を取られると、すでにグールウルフ達が霧となって消え去っていた……
「これほど……か……」
キーミッツとデリカの中の支えていたものがボロボロと音を立てて崩れ落ちそうになる。
「そのうち皆さんとダンジョン行って、すぐにこれぐらい出来るようになりますよ」
ユキムラは無意識のうちにフォローの言葉をかけていた。
VOでも、圧倒的上級者のプレイを見て初心者が辞めてしまうことはよくある。
すぐにこれくらいは行くよー、とフォローしてあげると頑張ってくれる。
過去の経験から自然とフォローが出たのであった。
圧倒的力を持つ伝説的な人間に、このタイミングでフォローを受ければ、すがるような信仰へと変化してしまうのも仕方がない。
自ら墓穴を掘るように、ユキムラは二人にとって益々神格化されていくのであった。
「フィールドのダンジョンにしては結構手応え有るね」
「そうねぇ……それにしてもこの匂いがきついわね……」
「あ、そしたら魔道具使いますね」
「そうだね、毒とかでも困るし」
ソーカが魔道具を使用すると簡易結界が展開する。
結界内の大気が浄化されて洞窟内とは思えない清々しい空気になるのがわかるほどだ。
「やっぱり、あっちのダンジョンとリアルのダンジョンは違うねぇ」
「あれは異次元なのねやっぱり、こういう普通のダンジョンに来るとわかるわ」
「足元とか整備されていないから、神経使いますね。
でも、こういうのにもしっかり慣れないとですね」
「タロは全然関係なく自由に戦って流石だねー」
ユキムラに撫でられて尻尾をグルングルンとご機嫌だ。
敵が出てくるとこのダンジョンの敵の特性上怖いタロが出て来る。
普段優しい人が怒ると怖い、そんな感じだ。
「随分と大きなダンジョンですね……」
洞窟に侵入してから3時間ほど経過した。
普通のペースよりも遥かに早い速度でずんずんと攻略していく白狼隊。
デリカやキーミッツからすればこれだけの規模のダンジョンが何の予兆もなく出現したことに驚きを隠せない。
「そう……ですね……大きいんですよね……」
ユキムラ達は自分たちがいつも何週間も篭ってダンジョン攻略しているせいで、すっかりと感覚がズレていることをまたも思い知らされてしまった。
正直、今回のダンジョンは何週間くらいかな? ぐらいにゆるっと考えていた。
「洞窟の作りは複雑ではないですが、所々に瘴気溜まりが出来ていて、だんだんと瘴気も濃くなっている。そろそろ原因が判明しそうですね……」
キーミッツの言葉通り瘴気は濃厚になってきている。
魔道具がなければ腐臭と瘴気で体調を崩しているだろう。
敵も出て来るが、どうやら共食いや同士討ちをした痕跡みたいなものも残っており、敵の密度が異常に高くなっている原因が近いことが窺う事が出来た。
「ユキムラさん、この先みたいですね……」
さらに2時間ほど緩やかに下っていく洞窟を降りていくと、急に大きな空間が広がっているのがわかる。
そして、その場はきちんと石で打たれた地面に祭壇のような建造物、禍々しい石像などが飾られている。
「地下神殿……!? 邪教徒共の秘密神殿か!」
デリカが怒りの声を上げる。
それが合図かのように大地が震えだす……
「ガルルルルルルル……」
むせ返るような瘴気が祭壇の上部に集まりだす。
祭壇の背後にある巨大な穴から腐った肉塊や骨がその瘴気の渦へと巻き込まれていく……
「贄の穴……邪教徒どもめ、野蛮な儀式を繰り返していたな……」
邪神や魔神信仰の中には生物や、場合によっては人を生贄に捧げる様な習慣がある場合がある。
この場を使っていた邪教徒達は贄の穴と言われる場所に生贄を落として祈りを捧げていた。
そうして無残に殺された生者の怨念が死霊を呼び寄せここで魔物化してしまった。
それが、今回の騒動の元凶だった。
周囲に受肉した悪霊やアンデッドがうごめいてユキムラたちへと標的を向けてくる。
「こ、これほどの死霊にアンデッド……ユキムラ殿、一旦引いて聖騎士隊本隊に応援要請を……」
「えーっと、もうタロが突っ込んじゃったんで、このまま行きます。
エンシェントリッチが居たみたいで……タロ、リッチ系は本当に嫌いなんで……」
ユキムラは小走りに洞窟から祭壇へと飛び込んでいく。
ソーカやヴァリィも迷いは見せなかった。
二人も南無三と覚悟をしてついていく、祭壇の前に着いた二人の前には神々しく光を放つタロが雄々しく雄叫びを上げていた。
「アオーーーーーーーーン!!」
一定間隔で壁面にガシュッと照明魔道具を設置しながらどんどん進む。
自然にできたとは思いにくいきちんとした洞窟状の作りになっている。
「もともとあった洞窟が何かのきっかけで地上に開口した感じかな?」
「グルルル……」
「ユキムラさんこの先広くなっているところに……」
「そうだね、キーミッツさん、デリカさん。この先で敵と遭遇するので戦闘準備をお願いします」
「な、なんと……何の気配も感じないが。いや、分かった警戒しておく!」
「それではワシは皆に祝福でも……」
「あ、俺がやっちゃうんで、ちょっと敵の強さがわからないので自分の身体だけ守っておいてくださいね」
キーミッツもデリカもケラリス神国でも指折りの猛者だ。
ほんの少し、ほんの少しだがユキムラの物言いには引っかかるところがあったが、もちろん表には出さない。
ただ、その気持もいざ戦闘が始まって白狼隊の戦闘を見ることで、いかに自分たちが井の中の蛙であったのかを思い知らされる。
正直、戦闘内容が目で追えなかったのだ。
「……なん……と……」
二人共、呆然とするしか無かった。
敵は霊体系のレイスが数体に、腐臭を漂わせる醜悪な犬、グールウルフの集団。
少し広くなった空間でうごめいていた魔物の中へと踊りだすと、タロが駆けたように見えると突然姿を見失う。
【Gugegee……】
何の気配もなくレイスの集団が消え去っている。
タロがどこにいるのかも捉えることが出来なかった。
そして、その一瞬の攻防に目を取られると、すでにグールウルフ達が霧となって消え去っていた……
「これほど……か……」
キーミッツとデリカの中の支えていたものがボロボロと音を立てて崩れ落ちそうになる。
「そのうち皆さんとダンジョン行って、すぐにこれぐらい出来るようになりますよ」
ユキムラは無意識のうちにフォローの言葉をかけていた。
VOでも、圧倒的上級者のプレイを見て初心者が辞めてしまうことはよくある。
すぐにこれくらいは行くよー、とフォローしてあげると頑張ってくれる。
過去の経験から自然とフォローが出たのであった。
圧倒的力を持つ伝説的な人間に、このタイミングでフォローを受ければ、すがるような信仰へと変化してしまうのも仕方がない。
自ら墓穴を掘るように、ユキムラは二人にとって益々神格化されていくのであった。
「フィールドのダンジョンにしては結構手応え有るね」
「そうねぇ……それにしてもこの匂いがきついわね……」
「あ、そしたら魔道具使いますね」
「そうだね、毒とかでも困るし」
ソーカが魔道具を使用すると簡易結界が展開する。
結界内の大気が浄化されて洞窟内とは思えない清々しい空気になるのがわかるほどだ。
「やっぱり、あっちのダンジョンとリアルのダンジョンは違うねぇ」
「あれは異次元なのねやっぱり、こういう普通のダンジョンに来るとわかるわ」
「足元とか整備されていないから、神経使いますね。
でも、こういうのにもしっかり慣れないとですね」
「タロは全然関係なく自由に戦って流石だねー」
ユキムラに撫でられて尻尾をグルングルンとご機嫌だ。
敵が出てくるとこのダンジョンの敵の特性上怖いタロが出て来る。
普段優しい人が怒ると怖い、そんな感じだ。
「随分と大きなダンジョンですね……」
洞窟に侵入してから3時間ほど経過した。
普通のペースよりも遥かに早い速度でずんずんと攻略していく白狼隊。
デリカやキーミッツからすればこれだけの規模のダンジョンが何の予兆もなく出現したことに驚きを隠せない。
「そう……ですね……大きいんですよね……」
ユキムラ達は自分たちがいつも何週間も篭ってダンジョン攻略しているせいで、すっかりと感覚がズレていることをまたも思い知らされてしまった。
正直、今回のダンジョンは何週間くらいかな? ぐらいにゆるっと考えていた。
「洞窟の作りは複雑ではないですが、所々に瘴気溜まりが出来ていて、だんだんと瘴気も濃くなっている。そろそろ原因が判明しそうですね……」
キーミッツの言葉通り瘴気は濃厚になってきている。
魔道具がなければ腐臭と瘴気で体調を崩しているだろう。
敵も出て来るが、どうやら共食いや同士討ちをした痕跡みたいなものも残っており、敵の密度が異常に高くなっている原因が近いことが窺う事が出来た。
「ユキムラさん、この先みたいですね……」
さらに2時間ほど緩やかに下っていく洞窟を降りていくと、急に大きな空間が広がっているのがわかる。
そして、その場はきちんと石で打たれた地面に祭壇のような建造物、禍々しい石像などが飾られている。
「地下神殿……!? 邪教徒共の秘密神殿か!」
デリカが怒りの声を上げる。
それが合図かのように大地が震えだす……
「ガルルルルルルル……」
むせ返るような瘴気が祭壇の上部に集まりだす。
祭壇の背後にある巨大な穴から腐った肉塊や骨がその瘴気の渦へと巻き込まれていく……
「贄の穴……邪教徒どもめ、野蛮な儀式を繰り返していたな……」
邪神や魔神信仰の中には生物や、場合によっては人を生贄に捧げる様な習慣がある場合がある。
この場を使っていた邪教徒達は贄の穴と言われる場所に生贄を落として祈りを捧げていた。
そうして無残に殺された生者の怨念が死霊を呼び寄せここで魔物化してしまった。
それが、今回の騒動の元凶だった。
周囲に受肉した悪霊やアンデッドがうごめいてユキムラたちへと標的を向けてくる。
「こ、これほどの死霊にアンデッド……ユキムラ殿、一旦引いて聖騎士隊本隊に応援要請を……」
「えーっと、もうタロが突っ込んじゃったんで、このまま行きます。
エンシェントリッチが居たみたいで……タロ、リッチ系は本当に嫌いなんで……」
ユキムラは小走りに洞窟から祭壇へと飛び込んでいく。
ソーカやヴァリィも迷いは見せなかった。
二人も南無三と覚悟をしてついていく、祭壇の前に着いた二人の前には神々しく光を放つタロが雄々しく雄叫びを上げていた。
「アオーーーーーーーーン!!」
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