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287話 武具だより
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ユキムラ達が街道脇で優雅に野営を行っていると、ウーノの街から衛兵の小隊が焦った様子で駆けつけて、優雅に食事をしているユキムラ達を発見して驚いていた。
レンには連絡を入れたのだが、森に大木が発生したという報告から、隊長達に何かあったのでは!? ということで小隊がすでに出立してしまっていた。
「ご無事で何よりですデリカ隊長!」
「ユキムラ殿のお陰でこうして無事に立っている。
あとで報告書は出すが、にわかには信じられない内容になる」
「あ、皆さんも食事いかがですかー?」
のんきなユキムラである。
流石に衛兵たちはデリカとキーミッツの無事を確認すると街へと戻っていく。
ユキムラが貸与した魔道具を使うとまるで昼間のように周囲を照らしだし、夕暮れ時に行軍してきた行きよりも快適な帰り道に衛兵隊は驚愕する。
ついでのように魔物避け機能もついているので安心して帰路につくことが出来た。
「師匠、手続き終わったので来ちゃいました」
衛兵たちが帰ってしばらくするとホバーボードに乗ってレンが合流する。
ナオ達はすでにレンが賃貸契約を行った、拠点となる借家の清掃などを受け持ってくれたそうだ。
「待っていても良かったんですが、何かにつけて褒めて持ち上げられて、気恥ずかしくて……」
コウとナオは自分と同じ年ぐらいのレンがユキムラ達白狼隊の中心メンバーであることを非常に尊敬している。
一挙一投足を褒めまくられて、居心地がよろしくなくて、衛兵たちの出兵を口実に逃げてきたというのが真実だった。
「ふふん、レンも俺の気持ちが少しわかってもらえたかな?」
「は、はい……なかなかに、くすぐったいものですね師匠……」
今まで散々、堂々としていてくださいと言っていたレンだが、いざ自分がその標的になってその辛さを理解したようだった。
ゲストの二人を交えて夜の森にいることを忘れてしまうような優雅な時間を白狼隊揃って過ごす。
「たまには外でこういう時間もいいものですな……普通は魔物や野生の動物の影に怯えながらの野営になるところですが、いやはや、受け入れるしかありませんが、物凄いことですね」
デリカとキーミッツは燻製を肴にヴァリィと飲み比べに興じて上機嫌だ。
酒も問題ない、遊ぶときは遊ぶ、締めるところは締める、それは聖騎士や大司教でも同じだそうだ。
冒険や野生の動物、魔獣に魔物、厳しい環境を生き抜く人間はおおらかに人生を楽しまないと損。
という心情だそうだ。
もちろん自らを律し、努力し苦労してきたからこそこの二人はこの立場に有る。
そして、この立場になったからこそこういった時間を思いっきり楽しむ大切さを知っている。
大人の渋みというやつなのかもしれない。
「しかし、この腕輪一つお借りするだけでまるで若かりし頃に戻ったがごとく力が湧いてくる。
皆さんの武具も輝きを抑えてはいますが、とんでもない代物であることは戦いで嫌というほど知りました……」
「聖都でも今の皆さんの武具程のものは見たことがありません。
あなた方の本気の武具はどれほどか、想像するのも怖いですね……」
デリカとキーミッツは冒険者時代から今の立場になって、たくさんの武具を見てきているが、底が知れない白狼隊の装備に興味津々だった。
「デリカさんちょっと使ってみますか!?」
少しお酒がはいったユキムラは自分たちの装備を褒められることに弱い。
自身が持つ大剣から一本の刀を取り出す。
覚醒 真 デュランダル 改拾参式。
ユキムラのネーミングセンスがあまりないのは仕方がないが、依然VOでの名前付けの癖が抜けていない。
いっその事名前を変えないで強化していけば良いのかもしれない。
レンが打つと デュランダル +15 というシンプルな名前になる。
「こ、これは……」
無造作に渡された神話級の武器を手に取り、その凄まじさに身を震わせるデリカ。
「ゆ、ユキムラ殿……もしよければ俺にも何か見せてくださらないか?」
昔の血がキーミッツの一人称を変えてしまう。
ユキムラは無手の手甲の中でもキーミッツが得意とするであろう投げや極めに有利な物を取り出す。
もし、キーミッツにユキムラが武器を作るなら、さらに魔法仕様時の特性を強化するだろう。
神爪 天掴地投の手甲 +14。レンがユキムラに作ったもので、ユキムラは打撃中心なので打撃スタイルのときのサブ武器として使っている。
もちろん当人たちのいままでの絶え間ない鍛錬が有るからなのは間違いないが、いままで触れたこともないような強大な力の秘められた武具をつけることで、自分たちの今までの世界が、まるで低次元な出来事のように感じられる。
遥かな高次元に放り込まれたような錯覚を受けた。
身体が、突然自分のものではないように動くようになってしまう。
剣は羽のように軽く、風のように疾く振るうことが出来る。
腕や身体が時間の流れが変わったかのように掴み、力強く投げることが出来る。
二人にとって、まさに神の奇跡に触れたような思いだった。
「これは……あまりにも刺激的で……誘惑的ですね……」
「そうじゃな……武具でこれほどまでに変化を体感してしまうと……
今までの時間は何だったんだ。と思わないといったら嘘になる……」
「なーに言ってるのよ~二人共~~!
仕方ないわねぇ~ユキムラちゃん、いい?」
「ああ、もちろん」
「デリカちゃん。この剣、借りていいかしら?」
「ヴァリィ殿? もちろん構わないが……何を……?」
「デリカちゃん、そっちのユキムラちゃんの剣を持ちなさい。
一手、あなた達の悩みをぶちのめしてあげるわ~」
口調とは裏腹に、ヴァリィの目は戦士の輝きでデリカを見つめている。
デリカも自身の疑念を認めたくなかった。
その熱い視線に答えるようにユキムラのデュランダルを掴み立ち上がる。
「よろしくお願いします!」
白狼隊、そしてキーミッツも真剣に見つめる中、ヴァリィとデリカの一戦が開始される。
レンには連絡を入れたのだが、森に大木が発生したという報告から、隊長達に何かあったのでは!? ということで小隊がすでに出立してしまっていた。
「ご無事で何よりですデリカ隊長!」
「ユキムラ殿のお陰でこうして無事に立っている。
あとで報告書は出すが、にわかには信じられない内容になる」
「あ、皆さんも食事いかがですかー?」
のんきなユキムラである。
流石に衛兵たちはデリカとキーミッツの無事を確認すると街へと戻っていく。
ユキムラが貸与した魔道具を使うとまるで昼間のように周囲を照らしだし、夕暮れ時に行軍してきた行きよりも快適な帰り道に衛兵隊は驚愕する。
ついでのように魔物避け機能もついているので安心して帰路につくことが出来た。
「師匠、手続き終わったので来ちゃいました」
衛兵たちが帰ってしばらくするとホバーボードに乗ってレンが合流する。
ナオ達はすでにレンが賃貸契約を行った、拠点となる借家の清掃などを受け持ってくれたそうだ。
「待っていても良かったんですが、何かにつけて褒めて持ち上げられて、気恥ずかしくて……」
コウとナオは自分と同じ年ぐらいのレンがユキムラ達白狼隊の中心メンバーであることを非常に尊敬している。
一挙一投足を褒めまくられて、居心地がよろしくなくて、衛兵たちの出兵を口実に逃げてきたというのが真実だった。
「ふふん、レンも俺の気持ちが少しわかってもらえたかな?」
「は、はい……なかなかに、くすぐったいものですね師匠……」
今まで散々、堂々としていてくださいと言っていたレンだが、いざ自分がその標的になってその辛さを理解したようだった。
ゲストの二人を交えて夜の森にいることを忘れてしまうような優雅な時間を白狼隊揃って過ごす。
「たまには外でこういう時間もいいものですな……普通は魔物や野生の動物の影に怯えながらの野営になるところですが、いやはや、受け入れるしかありませんが、物凄いことですね」
デリカとキーミッツは燻製を肴にヴァリィと飲み比べに興じて上機嫌だ。
酒も問題ない、遊ぶときは遊ぶ、締めるところは締める、それは聖騎士や大司教でも同じだそうだ。
冒険や野生の動物、魔獣に魔物、厳しい環境を生き抜く人間はおおらかに人生を楽しまないと損。
という心情だそうだ。
もちろん自らを律し、努力し苦労してきたからこそこの二人はこの立場に有る。
そして、この立場になったからこそこういった時間を思いっきり楽しむ大切さを知っている。
大人の渋みというやつなのかもしれない。
「しかし、この腕輪一つお借りするだけでまるで若かりし頃に戻ったがごとく力が湧いてくる。
皆さんの武具も輝きを抑えてはいますが、とんでもない代物であることは戦いで嫌というほど知りました……」
「聖都でも今の皆さんの武具程のものは見たことがありません。
あなた方の本気の武具はどれほどか、想像するのも怖いですね……」
デリカとキーミッツは冒険者時代から今の立場になって、たくさんの武具を見てきているが、底が知れない白狼隊の装備に興味津々だった。
「デリカさんちょっと使ってみますか!?」
少しお酒がはいったユキムラは自分たちの装備を褒められることに弱い。
自身が持つ大剣から一本の刀を取り出す。
覚醒 真 デュランダル 改拾参式。
ユキムラのネーミングセンスがあまりないのは仕方がないが、依然VOでの名前付けの癖が抜けていない。
いっその事名前を変えないで強化していけば良いのかもしれない。
レンが打つと デュランダル +15 というシンプルな名前になる。
「こ、これは……」
無造作に渡された神話級の武器を手に取り、その凄まじさに身を震わせるデリカ。
「ゆ、ユキムラ殿……もしよければ俺にも何か見せてくださらないか?」
昔の血がキーミッツの一人称を変えてしまう。
ユキムラは無手の手甲の中でもキーミッツが得意とするであろう投げや極めに有利な物を取り出す。
もし、キーミッツにユキムラが武器を作るなら、さらに魔法仕様時の特性を強化するだろう。
神爪 天掴地投の手甲 +14。レンがユキムラに作ったもので、ユキムラは打撃中心なので打撃スタイルのときのサブ武器として使っている。
もちろん当人たちのいままでの絶え間ない鍛錬が有るからなのは間違いないが、いままで触れたこともないような強大な力の秘められた武具をつけることで、自分たちの今までの世界が、まるで低次元な出来事のように感じられる。
遥かな高次元に放り込まれたような錯覚を受けた。
身体が、突然自分のものではないように動くようになってしまう。
剣は羽のように軽く、風のように疾く振るうことが出来る。
腕や身体が時間の流れが変わったかのように掴み、力強く投げることが出来る。
二人にとって、まさに神の奇跡に触れたような思いだった。
「これは……あまりにも刺激的で……誘惑的ですね……」
「そうじゃな……武具でこれほどまでに変化を体感してしまうと……
今までの時間は何だったんだ。と思わないといったら嘘になる……」
「なーに言ってるのよ~二人共~~!
仕方ないわねぇ~ユキムラちゃん、いい?」
「ああ、もちろん」
「デリカちゃん。この剣、借りていいかしら?」
「ヴァリィ殿? もちろん構わないが……何を……?」
「デリカちゃん、そっちのユキムラちゃんの剣を持ちなさい。
一手、あなた達の悩みをぶちのめしてあげるわ~」
口調とは裏腹に、ヴァリィの目は戦士の輝きでデリカを見つめている。
デリカも自身の疑念を認めたくなかった。
その熱い視線に答えるようにユキムラのデュランダルを掴み立ち上がる。
「よろしくお願いします!」
白狼隊、そしてキーミッツも真剣に見つめる中、ヴァリィとデリカの一戦が開始される。
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