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294話 聖都 ケラリス
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初々しい変化に胸を打たれたソーカは、愛願するような目でユキムラを見つめている。
流石に超が付くほどの鈍感なユキムラでも、その心情は察している。
宴は未だ酒と魚と音と舞に包まれているが、そっと二人は座を開ける。
流石に大人の集いなので、無粋なことをするものはいない。
近くの水辺に下りて満天の星空の元で二人の影は一つになる。
「なんか、久しぶりですねこうやってゆっくり出来るの……」
「そうだね、明日からは聖都に入って……忙しいんだろうなぁ……」
「大変ですねユキムラさんは」
「皆のほうが大変でしょ? いっつも振り回してごめんね」
「好きで付いてきてるんですから、そんなこと言わないでください」
手頃な岩に腰掛け、体を寄せ、肩に頭を乗せた状態で話しているので、耳元で囁くような声がユキムラを刺激する。
「ソーカ……」
ユキムラがソーカの瞳を見つめると、ソーカはスッと目をとじる。
先程の若い二人に当てられた二人は、情熱的な夜を過ごすのでありました。
前日の大騒ぎの影響もなく朝になると鍛練を行い、今日の道程対策を講じていく。
すでにケラリスまでは草原の道を進むだけでも、万全の対策を取る。
聖騎士と大司教が同乗しているので万が一にも何か起こすわけに行かない。
もちろん、大抵の問題は何の障害にもならない。
二人が少し酒臭いのが一番の問題であろう。二人だけじゃないが……
青々とした草原に砂利打ちの道がなだらかなカーブを描きながら、神山ラグナの麓に広がる聖都ケラリスに向かって伸びていく。
チラホラと人影が道に見えるために、馬の引かない馬車という異形な姿の車はゆったりとした速度で走行している。
聖都巡礼をする信者や、商いのために訪れるもの、冒険者として聖都にあるダンジョンを目指すもの、沢山の人が聖都を中心に旅をする。
ケラリスは総人口で言うと他の魔国を抜いた4国に比べると圧倒的に多い。
各国の信者が訪れるという点も大きいが、人の動きが多いと出会いも増え、穏やかな天候、広大で緩やかな土地、過ごしやすいこの国を気に入る人間も多くなる。
人が多くなれば、当然生活に関わる活動は活発化する。
物や人の流通、経済、教育、様々な物が豊かになっていく。
「大きい町ですね……」
距離と見えている街の規模から、ケラリスが今まで見たどの首都よりも遥かに巨大な規模であることを物語っている。
「人と物の流れが全てここに集まっていますからね、山腹に造られた関係で城壁も作られず、少しづつ拡張していったと伝えられています。
一応今は内街を囲うように城壁が作られており、更にその外側にも町が形成されています」
「スラム化とかはしないのですか?」
「それは大丈夫です。基本的にケラリスでは我らアルテス教徒が炊き出しを始め様々な活動を通して就学、就職の手伝いを行っています。
アルテス教徒になれば掃除や洗濯などの作業を手伝っていただければ衣食住は提供いたします」
「それは素晴らしいですね」
「基本的には皆様非常に真面目で勤勉な方が多いので、すぐに仕事を見つけて独り立ちされていきます。
仕事も多いですからねこの都は」
現在においても街は拡張を続けているそうで、むしろ慢性的な人手不足だそうだ。
歴史のある街では有るが、まだまだサナダ商会が入り込む余地はいくらでもあるな。
レンは二人の話を聞きながらそろばんを弾いている。
立地的にも聖都に中心を据えて6大都市に手をのばすのが効率がいい。
修行のための行脚という一面と、物流のための整備された交通網のバランスをどう取るのか、レンはいろいろと頭のなかですでに計画を練っている。
一番簡単なのは新たなルートの開拓だ。
普通なら何を馬鹿な話をと一笑に付される案だが、現状の白狼隊には労働力としてのGUという武器も有る。
昼夜を問わず道路の敷設作業を続けるGUを動員すれば、驚くような早さで整備された道が開通するだろう。
全てをGUにやらせると人々の仕事を創出できなくなるので、そのあたりもバランス取りを考えないといけない。
様々な課題は出るだろうが、腕の振るい甲斐がある案件だとレンは内心燃えていた。
「そろそろ旗を出しましょう」
聖都に入る列が見え始めると、キーミッツの指示で車の上にアルテス教の旗が掲げられる。
アルテス教団であるという証、さらに大司教しか使用できない旗だ。
この旗を上げることで都に入る列に並ぶ事無くVIP待遇を受けることが出来る。
今のところの外部との壁である防壁部分に備えられた、一般の方が通る門とは別の門に誘導される。
「キーミッツ様、遠路はるばるよくお越しくださいました。
そちらが……」
キーミッツを迎えたのは聖騎士の一団だった。
これだけの規模の聖騎士が一同に介していることは非常に珍しいことだ。
ユキムラはこの時に気がつくべきだったのだ。
ユキムラ達の馬車が城壁を超えると、大通りの歩道にはびっしりと並ぶ住民、鳴り響く音楽。
沢山の屋台と出店が所狭しと建ち並んでいる。
空には花火が鳴り響き、街の各所には横断幕やまるで祭りのような装飾が行われている。
「こ、これは今は祭りの季節か何かなんですか?」
聖騎士隊に先導されながら街の様子にユキムラは驚いてしまう。
妙に白狼隊の他のメンバーがよそよそしい。
その理由はすぐに分かる。
横断幕に『真の女神の使徒ユキムラ様現る』の文字を見つけたからだ。
流石に超が付くほどの鈍感なユキムラでも、その心情は察している。
宴は未だ酒と魚と音と舞に包まれているが、そっと二人は座を開ける。
流石に大人の集いなので、無粋なことをするものはいない。
近くの水辺に下りて満天の星空の元で二人の影は一つになる。
「なんか、久しぶりですねこうやってゆっくり出来るの……」
「そうだね、明日からは聖都に入って……忙しいんだろうなぁ……」
「大変ですねユキムラさんは」
「皆のほうが大変でしょ? いっつも振り回してごめんね」
「好きで付いてきてるんですから、そんなこと言わないでください」
手頃な岩に腰掛け、体を寄せ、肩に頭を乗せた状態で話しているので、耳元で囁くような声がユキムラを刺激する。
「ソーカ……」
ユキムラがソーカの瞳を見つめると、ソーカはスッと目をとじる。
先程の若い二人に当てられた二人は、情熱的な夜を過ごすのでありました。
前日の大騒ぎの影響もなく朝になると鍛練を行い、今日の道程対策を講じていく。
すでにケラリスまでは草原の道を進むだけでも、万全の対策を取る。
聖騎士と大司教が同乗しているので万が一にも何か起こすわけに行かない。
もちろん、大抵の問題は何の障害にもならない。
二人が少し酒臭いのが一番の問題であろう。二人だけじゃないが……
青々とした草原に砂利打ちの道がなだらかなカーブを描きながら、神山ラグナの麓に広がる聖都ケラリスに向かって伸びていく。
チラホラと人影が道に見えるために、馬の引かない馬車という異形な姿の車はゆったりとした速度で走行している。
聖都巡礼をする信者や、商いのために訪れるもの、冒険者として聖都にあるダンジョンを目指すもの、沢山の人が聖都を中心に旅をする。
ケラリスは総人口で言うと他の魔国を抜いた4国に比べると圧倒的に多い。
各国の信者が訪れるという点も大きいが、人の動きが多いと出会いも増え、穏やかな天候、広大で緩やかな土地、過ごしやすいこの国を気に入る人間も多くなる。
人が多くなれば、当然生活に関わる活動は活発化する。
物や人の流通、経済、教育、様々な物が豊かになっていく。
「大きい町ですね……」
距離と見えている街の規模から、ケラリスが今まで見たどの首都よりも遥かに巨大な規模であることを物語っている。
「人と物の流れが全てここに集まっていますからね、山腹に造られた関係で城壁も作られず、少しづつ拡張していったと伝えられています。
一応今は内街を囲うように城壁が作られており、更にその外側にも町が形成されています」
「スラム化とかはしないのですか?」
「それは大丈夫です。基本的にケラリスでは我らアルテス教徒が炊き出しを始め様々な活動を通して就学、就職の手伝いを行っています。
アルテス教徒になれば掃除や洗濯などの作業を手伝っていただければ衣食住は提供いたします」
「それは素晴らしいですね」
「基本的には皆様非常に真面目で勤勉な方が多いので、すぐに仕事を見つけて独り立ちされていきます。
仕事も多いですからねこの都は」
現在においても街は拡張を続けているそうで、むしろ慢性的な人手不足だそうだ。
歴史のある街では有るが、まだまだサナダ商会が入り込む余地はいくらでもあるな。
レンは二人の話を聞きながらそろばんを弾いている。
立地的にも聖都に中心を据えて6大都市に手をのばすのが効率がいい。
修行のための行脚という一面と、物流のための整備された交通網のバランスをどう取るのか、レンはいろいろと頭のなかですでに計画を練っている。
一番簡単なのは新たなルートの開拓だ。
普通なら何を馬鹿な話をと一笑に付される案だが、現状の白狼隊には労働力としてのGUという武器も有る。
昼夜を問わず道路の敷設作業を続けるGUを動員すれば、驚くような早さで整備された道が開通するだろう。
全てをGUにやらせると人々の仕事を創出できなくなるので、そのあたりもバランス取りを考えないといけない。
様々な課題は出るだろうが、腕の振るい甲斐がある案件だとレンは内心燃えていた。
「そろそろ旗を出しましょう」
聖都に入る列が見え始めると、キーミッツの指示で車の上にアルテス教の旗が掲げられる。
アルテス教団であるという証、さらに大司教しか使用できない旗だ。
この旗を上げることで都に入る列に並ぶ事無くVIP待遇を受けることが出来る。
今のところの外部との壁である防壁部分に備えられた、一般の方が通る門とは別の門に誘導される。
「キーミッツ様、遠路はるばるよくお越しくださいました。
そちらが……」
キーミッツを迎えたのは聖騎士の一団だった。
これだけの規模の聖騎士が一同に介していることは非常に珍しいことだ。
ユキムラはこの時に気がつくべきだったのだ。
ユキムラ達の馬車が城壁を超えると、大通りの歩道にはびっしりと並ぶ住民、鳴り響く音楽。
沢山の屋台と出店が所狭しと建ち並んでいる。
空には花火が鳴り響き、街の各所には横断幕やまるで祭りのような装飾が行われている。
「こ、これは今は祭りの季節か何かなんですか?」
聖騎士隊に先導されながら街の様子にユキムラは驚いてしまう。
妙に白狼隊の他のメンバーがよそよそしい。
その理由はすぐに分かる。
横断幕に『真の女神の使徒ユキムラ様現る』の文字を見つけたからだ。
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