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これってデートっていうのかな?
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しおりを挟む「うーん。肉を、って話だったからなぁ。あ、でも魚でもいいわけだよね」
のぶちゃんがひとりで思案してくれて「寿司とかどう?」って聞いてくれた。
お寿司……。
そういえば長いこと食べてない。
そもそもお寿司自体、高いイメージがあるんだもん。
「……いいの?」
思わずそんな風に聞いてしまってから、「しまった」って思った。
のぶちゃんはお寿司を食べに行かないか?って聞いてくれたんだから、答えは行くか行かないか、にするべきだったのに。
私、本当にダメな子だ。
しかも「いいの?」って考えてみたらすごく失礼な返しだなって今更気がついた。
だってのぶちゃんが、「僕だって社会人3年目だよ? 心配しなくても凛ちゃんに奢るぐらいの稼ぎはあるって」って言ったから。
私はのぶちゃんがどのくらいのお給料を頂いているのか知らない。
でも、男性にこういうことを言わせるのって、ダメな女の子だと思う。
男の人の自尊心を傷つけるとか最悪だ。
「ご、ごめんなさい……」
思わず謝ったら「謝ることないよ? ホント、凜ちゃんは真面目なんだから。――けど、僕も言い方が悪かったね。……えっと、凛ちゃんが嫌いじゃなければ……寿司、食べに行かない?」
のぶちゃんが想定しているお店はお寿司、回ってるかな。
回ってないところで……お値段が「時価」とかだったら困るな。
そう思ったけど、今の今でそんなことさすがに聞けない。
なんて答えたらいいんだろうって迷っていたら、のぶちゃんがクスッと笑う。
「大丈夫だよ、回ってるところに連れて行くから」
でないと凛ちゃん、安心して食べられないでしょ?
そう付け加えるのぶちゃんは、やっぱり小さい頃から一緒に育ってきただけあって、私のことをよく知っている。
それが心地良いと感じていたはずなのに、今日は何だか申し訳なさの方が勝ってしまう。
何でだろう?
「じゃあ、お寿司で」
私の返事を聞いて、モヤモヤした気持ちを乗せたまま車が走り出した。
目的地は、バイト先――セレストア――に程近い、全国チェーンの回転寿司屋さんだ。
距離的に言うと、歩いても行けたかも?って思った。
***
結局回転寿司店ではカウンターにのぶちゃんと横並びで座ったので、持ってきた沢山の勉強道具を広げることは出来なかった。
のぶちゃんには、リュックの中にそんなものが入っていることは話していない。
「――で、どんなこと聞きたい?」
のぶちゃんが質問してくることにポツポツと返しては、間で単位の取り方や、参考になりそうな資料などを教えてもらった。
「ところで凛ちゃんさ、恋とか……そっちの方はどうなの?」
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