【完結】【R18】つべこべ言わずに僕に惚れろよ

鷹槻れん

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■ 彼女の気持ちと僕の不安■オマケ的短編⑤

「バカ……」の裏意味1

葵咲きさき、寒いしタクシー拾おうか?」
 今日は葵咲ちゃんと待ち合わせ……ということで、僕は臨機応変に対応できるよう車をマンションに置いてきた。
 葵咲ちゃんはいつも歩いて大学に通っている。要するに、我が家と大学とは結構近いところにあるということだ。僕が日頃マイカー通勤しているのは、時折仕事で本を運んだりしなくちゃいけないからで、それがなければ、徒歩でも全然問題ない。

 二人でディナーと洒落込しゃれこんで、美味しいお酒を飲むのも悪くない。となれば、よし、今日は車、置いて行こう!となったのも必然だ。

 そこまで一人空回り気味にそう考えて、そういえば葵咲ちゃんの想い計画を聞いていなかったな、と思い至る。

「ね、葵咲、僕を連れて行きたいところって?」
 聞けば、葵咲ちゃんは「内緒」と微笑んで、僕にギュッと腕を絡めてきた。
 お互い沢山服を着込んでいても分かる、彼女の柔らかい胸の感触に、僕は思わずドキドキしてしまう。
 内緒、の中にエッチなことも含まれているといいなと考えてから、もしそれが彼女の中で想定外だとしても、無理矢理予定にねじ込んでしまおう、と決意する。
 大好きな葵咲ちゃん女の子と一緒にいて、何もしないなんて、僕には無理だ。現に今だって、気を抜くと反応してしまいそうで困ってるくらいだし。

「国道に出ればタクシー捕まるかなぁ? それとも電話して呼ぶ?」
 気持ちを切り替えようと、スマホを取り出しながら葵咲ちゃんを見つめたら、「私が電話する」ってにっこりされた。
 いや、もう、その笑顔は反則だって! 不意打ちのように見せられた魅力的な表情に、僕は思わず見惚みとれてしまう。

 タクシー会社の電話番号をあらかじめ登録しているのか、葵咲ちゃんはネット検索などをする素振りも見せず、すぐにコールし始めた。
「――?」
 葵咲ちゃんってそんなにタクシー使うっけ?
 その様子を不思議に思いながらも、僕と違って車があるわけじゃないから、必要なのかな?とぼんやり思ってしまう。
「……――大学正門前まで一台、よろしくお願いします」
 電話を切ったあと、「すぐ来てくれるって」と言う葵咲ちゃんに、「ほら急いで!」と半ば引っ張られるようにして、僕は小走りになる。
 正門までゆっくり歩くと優に五分以上はかかってしまう。すぐ来る、と言われたからか、葵咲ちゃんはソワソワと落ち着かない様子だ。
「そんな急がなくても……」
 言いながらも、たまにはこんな風に葵咲ちゃんに手を引かれるのも悪くないな、と思ってしまった。
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