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■番外編/『相性がいいみたいなのですっ』

おまけ的後日談3

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「もう一杯お作りしましょうか? 今度は炭酸水で割るとかして」

 立ち上がって冷蔵庫に向かった僕は、中からよく冷えた炭酸水を取り出して、背後の日織ひおりさんにそうお伺いする。


 と、しばしして。

「あれれ? しゅーたろぉしゃん、うしましょぉ。お部屋がぐるぐる回り始めました」

 とした声がした。


 その声に、僕は「え?」と思って慌てて振り返る。

「日、織……さん?」


 気が付けば、確かについ今しがたまで僕の方を見て微笑んでいらしたはずの日織さんが、タンブラーに手を添えたままテーブルの上に突っ伏していらして。

 僕の呼びかけにも「ふぁ、ーい……、起きてまーしゅ」と力なく手を上げられるばかり。

 ああ、これ。

 僕がイメージする、お酒を飲まれた際の日織さんのお姿だ。

「しゅ、たろ、しゃん。わらちやっぱり日本酒……以、外と……め、みたいしゅ」


「――そのようですね」


 僕はふにゃ~ん、と蕩けたようになった日織ひおりさんを抱き上げると、寝室までお連れした。



「ねぇ、。今日は僕の勝ち、でいいですよね?」

 ベッドの宮棚に眼鏡を置いて、日織さんのパジャマのボタンをひとつ緩める。

 ついでのように2つ目も外しながらそう問いかけたら、「じゅるいのす。こうなるの、分かってらしたくしぇに」と、潤んだ瞳をした日織さんが、僕の頬に力なく触れていらして。

 僕はその手をそっと包み込みながら、にっこり微笑んだ。

「バレていましたか」


 ねぇ日織さん。
 どうやら今日も獺祭だっさいはお預けのようですね?

 思いながら、僕は日織さんの甘さを纏った唇にそっと口付けた。


      END(2021/01/03)
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