214 / 233
■番外編/『相性がいいみたいなのですっ』
おまけ的後日談3
しおりを挟む
「もう一杯お作りしましょうか? 今度は炭酸水で割るとかして」
立ち上がって冷蔵庫に向かった僕は、中からよく冷えた炭酸水を取り出して、背後の日織さんにそうお伺いする。
と、しばしして。
「あれれ? しゅーたろぉしゃん、ろうしましょぉ。お部屋がぐるぐる回り始めました」
とろんとした声がした。
その声に、僕は「え?」と思って慌てて振り返る。
「日、織……さん?」
気が付けば、確かについ今しがたまで僕の方を見て微笑んでいらしたはずの日織さんが、タンブラーに手を添えたままテーブルの上に突っ伏していらして。
僕の呼びかけにも「ふぁ、ーい……、起きてまーしゅ」と力なく手を上げられるばかり。
ああ、これ。
僕がイメージする、お酒を飲まれた際の日織さんのお姿だ。
「しゅ、たろ、しゃん。私やっぱり日本酒……以、外らと……らめ、みたいれしゅ」
「――そのようですね」
僕はふにゃ~ん、と蕩けたようになった日織さんを抱き上げると、寝室までお連れした。
「ねぇ、日織。今日は僕の勝ち、でいいですよね?」
ベッドの宮棚に眼鏡を置いて、日織さんのパジャマのボタンをひとつ緩める。
ついでのように2つ目も外しながらそう問いかけたら、「ずるいのれす。こうなるの、分かってらした癖に」と、潤んだ瞳をした日織さんが、僕の頬に力なく触れていらして。
僕はその手をそっと包み込みながら、にっこり微笑んだ。
「バレていましたか」
ねぇ日織さん。
どうやら今日も獺祭はお預けのようですね?
思いながら、僕は日織さんの甘さを纏った唇にそっと口付けた。
END(2021/01/03)
立ち上がって冷蔵庫に向かった僕は、中からよく冷えた炭酸水を取り出して、背後の日織さんにそうお伺いする。
と、しばしして。
「あれれ? しゅーたろぉしゃん、ろうしましょぉ。お部屋がぐるぐる回り始めました」
とろんとした声がした。
その声に、僕は「え?」と思って慌てて振り返る。
「日、織……さん?」
気が付けば、確かについ今しがたまで僕の方を見て微笑んでいらしたはずの日織さんが、タンブラーに手を添えたままテーブルの上に突っ伏していらして。
僕の呼びかけにも「ふぁ、ーい……、起きてまーしゅ」と力なく手を上げられるばかり。
ああ、これ。
僕がイメージする、お酒を飲まれた際の日織さんのお姿だ。
「しゅ、たろ、しゃん。私やっぱり日本酒……以、外らと……らめ、みたいれしゅ」
「――そのようですね」
僕はふにゃ~ん、と蕩けたようになった日織さんを抱き上げると、寝室までお連れした。
「ねぇ、日織。今日は僕の勝ち、でいいですよね?」
ベッドの宮棚に眼鏡を置いて、日織さんのパジャマのボタンをひとつ緩める。
ついでのように2つ目も外しながらそう問いかけたら、「ずるいのれす。こうなるの、分かってらした癖に」と、潤んだ瞳をした日織さんが、僕の頬に力なく触れていらして。
僕はその手をそっと包み込みながら、にっこり微笑んだ。
「バレていましたか」
ねぇ日織さん。
どうやら今日も獺祭はお預けのようですね?
思いながら、僕は日織さんの甘さを纏った唇にそっと口付けた。
END(2021/01/03)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
131
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる