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16.それぞれの屋敷で
再会の立役者
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侍女頭のマルセラが涙をにじませた瞳でリリアンナを見つめ、母親の名前を出されたリリアンナもまた、胸の奥を熱くして、とうとうこらえきれずに涙を落とした。
「ランディ、ありが、とう……。私……、こんな、ふうにみ、んな……と再会、で、きると思ってな、くて……っ。すご、く……す、ごく、嬉、しい」
すぐ背後で何も言わずにそんなリリアンナたちを見守ってくれていたランディリックに、これはきっと彼からの心遣いに違いないと思ったリリアンナは、グスグスと鼻をすすりながら謝辞を述べた。
ナディエルが、そんなリリアンナにそっとハンカチを差し出してくれる。
「うん、確かに僕が頼んだことだけど……手を尽くしてくれたのはウィルなんだ。――彼にも礼を言ってもらえると、きっと喜ぶ」
ランディリックの言葉に、リリアンナは馬車の中からこちらをニコニコと見下ろしているウィリアムに駆け寄った。
数度深呼吸をして気持ちを落ち着けると、涙をハンカチで拭って車室のウィリアムを見上げる。
「……ウィリアム様、今、ランディから聞きました。みんなを集めるのにお手間をかけて頂いたこと、私、絶対に忘れません。本当にありがとうございました!」
ウィリアムはそんなリリアンナに「リリアンナ嬢に喜んで頂けたなら、俺も頑張った甲斐がありました」とサムズアップをして見せる。
「では、俺はそろそろセレン様とペイン邸へ移動しますね。落ち着いたら遊びに来て下さい。うちの家令たちも喜びます」
言うと同時、ランディリックから「ウィル、忘れたの? キミのところには今、〝あの女〟がいるんだろう? そんなところに僕がリリーを行かせると思う? 用があるならそっちから来い」と睨まれて、ハッとしたように口を噤んだ。
「ランディ!」
リリアンナは思わず声を上げたが、ウィリアムは苦笑を浮かべ「そうするよ」と承諾してしまう。
その笑みには、どこか〝仕方ないな〟とでも言いたげな陰があった。
きっと〝あの女〟とやらが理由なんだろうけれど、ペイン邸でまさか従妹のダフネが使用人として働いているだなんて思っていないリリアンナには、いくら考えても二人の会話の意味は分からなかった。
***
ウィリアムやセレンを乗せた馬車が立ち去ると、ラウが控えめに申し出た。
「お部屋を整えてございます。お疲れでしょうし……少しお休みになられますか?」
ラウの申し出に、何となくランディリックを見遣ったリリアンナである。ナディエルは侍女らしく、数歩下がった位置からリリアンナを静かに見守っていた。
「疲れたならそうさせてもらうといいよ」
その視線にランディリックが言って、「ここの主人はキミだからね。誰にも遠慮することはない」と付け加える。
「えっ?」
なんとなく……生家であるここも、ランディリックが取り仕切っている館、という印象を勝手に抱いていたリリアンナは、その言葉に思わず声を漏らした。
「だってここはウールウォード邸だろう?」
頭をふわりと撫でられて、優しい眼差しを向けられたリリアンナは、ドギマギしてしまう。
「で、でも、私……」
ウールウォード家のために、何ひとつ貢献できていない。
きっと現在、ウールウォード家の領地経営を中心になってみてくれているのはランディリックだ。そうしてその手足となって働いてくれているのはきっと、今目の前にいるラウたちなのだ。
「ランディ、ありが、とう……。私……、こんな、ふうにみ、んな……と再会、で、きると思ってな、くて……っ。すご、く……す、ごく、嬉、しい」
すぐ背後で何も言わずにそんなリリアンナたちを見守ってくれていたランディリックに、これはきっと彼からの心遣いに違いないと思ったリリアンナは、グスグスと鼻をすすりながら謝辞を述べた。
ナディエルが、そんなリリアンナにそっとハンカチを差し出してくれる。
「うん、確かに僕が頼んだことだけど……手を尽くしてくれたのはウィルなんだ。――彼にも礼を言ってもらえると、きっと喜ぶ」
ランディリックの言葉に、リリアンナは馬車の中からこちらをニコニコと見下ろしているウィリアムに駆け寄った。
数度深呼吸をして気持ちを落ち着けると、涙をハンカチで拭って車室のウィリアムを見上げる。
「……ウィリアム様、今、ランディから聞きました。みんなを集めるのにお手間をかけて頂いたこと、私、絶対に忘れません。本当にありがとうございました!」
ウィリアムはそんなリリアンナに「リリアンナ嬢に喜んで頂けたなら、俺も頑張った甲斐がありました」とサムズアップをして見せる。
「では、俺はそろそろセレン様とペイン邸へ移動しますね。落ち着いたら遊びに来て下さい。うちの家令たちも喜びます」
言うと同時、ランディリックから「ウィル、忘れたの? キミのところには今、〝あの女〟がいるんだろう? そんなところに僕がリリーを行かせると思う? 用があるならそっちから来い」と睨まれて、ハッとしたように口を噤んだ。
「ランディ!」
リリアンナは思わず声を上げたが、ウィリアムは苦笑を浮かべ「そうするよ」と承諾してしまう。
その笑みには、どこか〝仕方ないな〟とでも言いたげな陰があった。
きっと〝あの女〟とやらが理由なんだろうけれど、ペイン邸でまさか従妹のダフネが使用人として働いているだなんて思っていないリリアンナには、いくら考えても二人の会話の意味は分からなかった。
***
ウィリアムやセレンを乗せた馬車が立ち去ると、ラウが控えめに申し出た。
「お部屋を整えてございます。お疲れでしょうし……少しお休みになられますか?」
ラウの申し出に、何となくランディリックを見遣ったリリアンナである。ナディエルは侍女らしく、数歩下がった位置からリリアンナを静かに見守っていた。
「疲れたならそうさせてもらうといいよ」
その視線にランディリックが言って、「ここの主人はキミだからね。誰にも遠慮することはない」と付け加える。
「えっ?」
なんとなく……生家であるここも、ランディリックが取り仕切っている館、という印象を勝手に抱いていたリリアンナは、その言葉に思わず声を漏らした。
「だってここはウールウォード邸だろう?」
頭をふわりと撫でられて、優しい眼差しを向けられたリリアンナは、ドギマギしてしまう。
「で、でも、私……」
ウールウォード家のために、何ひとつ貢献できていない。
きっと現在、ウールウォード家の領地経営を中心になってみてくれているのはランディリックだ。そうしてその手足となって働いてくれているのはきっと、今目の前にいるラウたちなのだ。
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