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■特典②『花々里の瓶詰め』
幽現屋2
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くらりとしてフラついたところを、そっと肩を抱かれるようにして久遠さんに支えられる。
大丈夫?と優しく問いかけられてうなずくと、
「花々里さん、百花蜜ってご存知?」
さらに重ねるように久遠さんから問いかけられて、百花というくらいだから色んな花の蜜のことかな?って思った。
「……蜂蜜か何かですか?」
言ったら、「そう、蜂蜜。レンゲの蜂蜜みたいに蜂たちが採取してきた花の種類を一種に限定できない蜜をそう呼ぶの」
春に野に咲き乱れる花々の蜜から出来た蜂蜜らしい。
「その百花蜜をね、特別な製法で発酵させたのがそれ」
言って、私の手のなかのグラスを指さして、久遠さんが嫣然と微笑む。
そんな彼女に気圧されて、私は思わず生唾を呑みこんだ。
特別な製法って何だろう?
企業秘密か何かかな?
だとしたら今を逃したら2度と出会えない味かもしれない……。
すっごく飲んでみたいっ。
まるでそう願った私の心を見透かしたみたいに、久遠さんが言う。
「それね、すごく美味しいから是非花々里さんに飲んでみて欲しいの。それが小瓶の望みでもあるし。……ただし――」
美味しい、と言う言葉で私の心は決まったも同然。
「いただきます」
言うが早いか、一思いにクイッと煽った。
途端、プチプチと口の中で小さく泡が弾けたのが分かった。
そのお陰かな。味自体は物凄く甘ったるかったはずなのに、全然それを感じなかったの。
「美味しい」
ほぅっと溜め息をついたのと、
「ちょっとずつ飲まないと困ったことになっちゃうの」
久遠さんがそう言ったのとがほぼ同時だった。
大丈夫?と優しく問いかけられてうなずくと、
「花々里さん、百花蜜ってご存知?」
さらに重ねるように久遠さんから問いかけられて、百花というくらいだから色んな花の蜜のことかな?って思った。
「……蜂蜜か何かですか?」
言ったら、「そう、蜂蜜。レンゲの蜂蜜みたいに蜂たちが採取してきた花の種類を一種に限定できない蜜をそう呼ぶの」
春に野に咲き乱れる花々の蜜から出来た蜂蜜らしい。
「その百花蜜をね、特別な製法で発酵させたのがそれ」
言って、私の手のなかのグラスを指さして、久遠さんが嫣然と微笑む。
そんな彼女に気圧されて、私は思わず生唾を呑みこんだ。
特別な製法って何だろう?
企業秘密か何かかな?
だとしたら今を逃したら2度と出会えない味かもしれない……。
すっごく飲んでみたいっ。
まるでそう願った私の心を見透かしたみたいに、久遠さんが言う。
「それね、すごく美味しいから是非花々里さんに飲んでみて欲しいの。それが小瓶の望みでもあるし。……ただし――」
美味しい、と言う言葉で私の心は決まったも同然。
「いただきます」
言うが早いか、一思いにクイッと煽った。
途端、プチプチと口の中で小さく泡が弾けたのが分かった。
そのお陰かな。味自体は物凄く甘ったるかったはずなのに、全然それを感じなかったの。
「美味しい」
ほぅっと溜め息をついたのと、
「ちょっとずつ飲まないと困ったことになっちゃうの」
久遠さんがそう言ったのとがほぼ同時だった。
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