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ひどい男に徹する覚悟
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風呂に二人きり、というシチュエーションはさすがに結構くるものがあるな。
ソワソワとした音芽の様子もその思いに拍車をかける。
俺は努めて淡々と……そう、ある意味事務的に音芽に接することに徹しようと決めた。
とりあえず浴槽の縁に腰掛けさせると、傷が見えるようにスカートを膝上まで上げるように指示を出す。
「あっ、あのっ、でも……ほら、それやっちゃうと……あれよ……その……」
俺がなるべく意識しないように気を遣ってやってるというのに、音芽が照れたりするもんだから本当、やりづらい。
しどろもどろで下着が見えるかもしれないじゃん?と訴えてくる音芽に、俺は内心ドギマギしながら
「パンダのパンツならとっくに見てる」
と無愛想に返した。頼むからこれ以上言い募ってくれるな。
なのに――。
「み、見られたからって……はいそうですかってまた見せるわけにはいかないんですけどっ! その、わたっ、私もっ、一応うら若き……おと……女性です……のでっ」
って、そんなのお前より俺の方が分かってる。
意識しすぎなんだよ、お前。
「遠慮なくうら若き乙女って言えばいいのに」
思わず本音が漏れて、俺は意地悪く笑ってそれを誤魔化すと、「また俺にからかわれると思った? 自意識過剰」とか……さすがに感じ悪すぎたか。
内心反省しつつも、それを言葉にできない俺は音芽にとって相当イヤな男だろうな。
「ほら、どうでもいいけどさっさとスカート上げろよ。濡れるぞ?」
考えたら落ち込みそうだったので、シャワーヘッドを音芽の足に向けながら、つっけんどんに言い放った。
音芽が俺を見る視線が痛かったが、気づかないふりを決め込む。
「こ、これで満足ですか?」
そんな俺の態度に、諦めたようにそう言って俺を睨みつける音芽。溜め息が出そうになった。
俺はそれには答えずに、「――水、かけるぞ」と用件だけ告げた。
***
「痛ぁーーーーいっ!!」
風呂場に、音芽の悲鳴が響き渡る。
分かってる。傷口をゴシゴシこすられるとか、普通に考えて痛くないはずがない。
「ほら、じっとしてろ、動くなっ」
それでも俺は、この傷口に砂の一粒だって残す気はないんだ。
ギュッと音芽の脛を押さえつけて動きを封じると、シャワーの水を、傷口に結構な勢いで当てる。
冷水を使っているのは、その方が少しばかり感覚が麻痺して痛みが和らぐから。けど、さすがに現状だとそんなの焼け石に水だよな。
許せ、音芽。
俺は心の中でつぶやきながら、淡々と作業を続けた。
ソワソワとした音芽の様子もその思いに拍車をかける。
俺は努めて淡々と……そう、ある意味事務的に音芽に接することに徹しようと決めた。
とりあえず浴槽の縁に腰掛けさせると、傷が見えるようにスカートを膝上まで上げるように指示を出す。
「あっ、あのっ、でも……ほら、それやっちゃうと……あれよ……その……」
俺がなるべく意識しないように気を遣ってやってるというのに、音芽が照れたりするもんだから本当、やりづらい。
しどろもどろで下着が見えるかもしれないじゃん?と訴えてくる音芽に、俺は内心ドギマギしながら
「パンダのパンツならとっくに見てる」
と無愛想に返した。頼むからこれ以上言い募ってくれるな。
なのに――。
「み、見られたからって……はいそうですかってまた見せるわけにはいかないんですけどっ! その、わたっ、私もっ、一応うら若き……おと……女性です……のでっ」
って、そんなのお前より俺の方が分かってる。
意識しすぎなんだよ、お前。
「遠慮なくうら若き乙女って言えばいいのに」
思わず本音が漏れて、俺は意地悪く笑ってそれを誤魔化すと、「また俺にからかわれると思った? 自意識過剰」とか……さすがに感じ悪すぎたか。
内心反省しつつも、それを言葉にできない俺は音芽にとって相当イヤな男だろうな。
「ほら、どうでもいいけどさっさとスカート上げろよ。濡れるぞ?」
考えたら落ち込みそうだったので、シャワーヘッドを音芽の足に向けながら、つっけんどんに言い放った。
音芽が俺を見る視線が痛かったが、気づかないふりを決め込む。
「こ、これで満足ですか?」
そんな俺の態度に、諦めたようにそう言って俺を睨みつける音芽。溜め息が出そうになった。
俺はそれには答えずに、「――水、かけるぞ」と用件だけ告げた。
***
「痛ぁーーーーいっ!!」
風呂場に、音芽の悲鳴が響き渡る。
分かってる。傷口をゴシゴシこすられるとか、普通に考えて痛くないはずがない。
「ほら、じっとしてろ、動くなっ」
それでも俺は、この傷口に砂の一粒だって残す気はないんだ。
ギュッと音芽の脛を押さえつけて動きを封じると、シャワーの水を、傷口に結構な勢いで当てる。
冷水を使っているのは、その方が少しばかり感覚が麻痺して痛みが和らぐから。けど、さすがに現状だとそんなの焼け石に水だよな。
許せ、音芽。
俺は心の中でつぶやきながら、淡々と作業を続けた。
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