6 / 228
1.幼なじみとハムスター(※結婚前、偉央と結葉が出会う前のお話)
鈍感さを呪いたい
しおりを挟む
結葉は胸の痛みを誤魔化すみたいに、
「想ちゃんも今は家、出てるんでしょ? 芹ちゃんのこと言えないじゃん」
賢明に軽口を叩いて、想に、小さくベッと舌を出して見せた。
(想ちゃんも、彼女とアレコレするには、やはり実家住まいは不便なんだろうな)
さっき芹に対して想が言った不満は、きっとふたりの両親にしてみれば、分け隔てなくどちらの子供にも当てはまる内容なはずだ。
そうして想に関して言えば、結葉もとても気になっているし、下手をすれば「想ちゃんだって異性絡みじゃん!」と感情に任せて噛み付きたくなってしまう。
(そんな権利なんて、ただの幼なじみの私にはないのに)
そう思うと、居た堪れなくなるから……結葉は極力想のこと全般、考えないようにしている。
なのに――。
実は、想がつい一週間ほど前にアパートを借りて家を出て行ってしまったという話を、結葉は、一昨日彼の父親から愚痴られたばかりなのだ。
職場が実家と被っている想は、結葉が仕事の行き帰り『山波建設』の前を通る時にはすでに仕事を始めていて、当たり前みたいにそこに居た。
だから、話を聞くまで結葉は想が家を出たことに全然気が付いていなかったのに。
デマならどんなにかいいと思った結葉だったけれど、彼の父親からの話だから、絶対に間違いなくて――。
だからこそ、余計に辛かった。
「うちの子らはさ、何故かすーぐ家を出たがるんだよ。結葉ちゃんを見習って、ちったぁー家に居ろってね」
想たちの父親が少し寂しそうな顔をして話してくれたのが、結葉にはとても印象的だった。
自分もすっごく悲しくなったから余計。
***
「何だよ、もう知ってたのか。やっぱ親経由? ホント情報筒抜けだよな、俺らって。――ま、俺は男だし。それに……あれだ。結局仕事でほぼ毎日親父と顔突き合わせてんだからさ、芹よか親孝行してると思わねぇ?」
とか。
確かにそれがあるから想が家を出ていると言うのが、イマイチ実感がわかなくて困ってしまう結葉なのだ。
もしかしたら想に彼女ができたと言うのも勘違いだったかも?と思いたかったのに。
「結葉もさ、いい加減実家出とかねぇと恋人出来たとき困んぞ?」
などと屈託なく笑われたら、「俺は彼女のために家を出たんだ」と言われているのと同じじゃないの……と、想の鈍感さを呪いたくなった。
「想ちゃんも今は家、出てるんでしょ? 芹ちゃんのこと言えないじゃん」
賢明に軽口を叩いて、想に、小さくベッと舌を出して見せた。
(想ちゃんも、彼女とアレコレするには、やはり実家住まいは不便なんだろうな)
さっき芹に対して想が言った不満は、きっとふたりの両親にしてみれば、分け隔てなくどちらの子供にも当てはまる内容なはずだ。
そうして想に関して言えば、結葉もとても気になっているし、下手をすれば「想ちゃんだって異性絡みじゃん!」と感情に任せて噛み付きたくなってしまう。
(そんな権利なんて、ただの幼なじみの私にはないのに)
そう思うと、居た堪れなくなるから……結葉は極力想のこと全般、考えないようにしている。
なのに――。
実は、想がつい一週間ほど前にアパートを借りて家を出て行ってしまったという話を、結葉は、一昨日彼の父親から愚痴られたばかりなのだ。
職場が実家と被っている想は、結葉が仕事の行き帰り『山波建設』の前を通る時にはすでに仕事を始めていて、当たり前みたいにそこに居た。
だから、話を聞くまで結葉は想が家を出たことに全然気が付いていなかったのに。
デマならどんなにかいいと思った結葉だったけれど、彼の父親からの話だから、絶対に間違いなくて――。
だからこそ、余計に辛かった。
「うちの子らはさ、何故かすーぐ家を出たがるんだよ。結葉ちゃんを見習って、ちったぁー家に居ろってね」
想たちの父親が少し寂しそうな顔をして話してくれたのが、結葉にはとても印象的だった。
自分もすっごく悲しくなったから余計。
***
「何だよ、もう知ってたのか。やっぱ親経由? ホント情報筒抜けだよな、俺らって。――ま、俺は男だし。それに……あれだ。結局仕事でほぼ毎日親父と顔突き合わせてんだからさ、芹よか親孝行してると思わねぇ?」
とか。
確かにそれがあるから想が家を出ていると言うのが、イマイチ実感がわかなくて困ってしまう結葉なのだ。
もしかしたら想に彼女ができたと言うのも勘違いだったかも?と思いたかったのに。
「結葉もさ、いい加減実家出とかねぇと恋人出来たとき困んぞ?」
などと屈託なく笑われたら、「俺は彼女のために家を出たんだ」と言われているのと同じじゃないの……と、想の鈍感さを呪いたくなった。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
【完】経理部の女王様が落ちた先には
Bu-cha
恋愛
エブリスタにて恋愛トレンドランキング4位
高級なスーツ、高級な腕時計を身に付け
ピンヒールの音を響かせ歩く
“経理部の女王様”
そんな女王様が落ちた先にいたのは
虫1匹も殺せないような男だった・・・。
ベリーズカフェ総合ランキング4位
2022年上半期ベリーズカフェ総合ランキング53位
2022年下半期ベリーズカフェ総合ランキング44位
関連物語
『ソレは、脱がさないで』
ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高4位
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高2位
『大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド』
ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高13位
『初めてのベッドの上で珈琲を』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高9位
『“こだま”の森~FUJIメゾン・ビビ』
ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高 17位
私の物語は全てがシリーズになっておりますが、どれを先に読んでも楽しめるかと思います。
伏線のようなものを回収していく物語ばかりなので、途中まではよく分からない内容となっております。
物語が進むにつれてその意味が分かっていくかと思います。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
私を抱かないと新曲ができないって本当ですか? 〜イケメン作曲家との契約の恋人生活は甘い〜
入海月子
恋愛
「君といると曲のアイディアが湧くんだ」
昔から大ファンで、好きで好きでたまらない
憧れのミュージシャン藤崎東吾。
その人が作曲するには私が必要だと言う。
「それってほんと?」
藤崎さんの新しい曲、藤崎さんの新しいアルバム。
「私がいればできるの?私を抱いたらできるの?」
絶対後悔するとわかってるのに、正気の沙汰じゃないとわかっているのに、私は頷いてしまった……。
**********************************************
仕事を頑張る希とカリスマミュージシャン藤崎の
体から始まるキュンとくるラブストーリー。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる