【完結】【R18】結婚相手を間違えました

鷹槻れん

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2.みしょう動物病院

ロゴと、片思いの端っこ

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「はい」

 いつもならスカートスタイルを好む結葉ゆいはだけれど、今日は動きやすいようにインディゴブルーの、デニム地のワイドパンツを履いている。
 トップスも、凝ったデザインではなくシンプルな、白のロゴ入りTシャツを選んだ。
 Tシャツには、何故だか分からないけれど、筆記体で「Sugar!」と感嘆符付きで書かれている。

 前に、結葉ゆいはそうから「意味の分からん英語の書かれたTシャツは着るなよ?」と釘を刺されたことがある。
 妹のせりが持っていたTシャツがエッチな内容のロゴTだったらしく、大学でアメリカ人准教授から、「つもりがないなら着ない方がいいよ。襲われてしまう」と教えられて、真っ赤な顔をして帰って来たことがあるらしい。
 そう結葉ゆいはにどんなことが書かれていたのかは教えてくれなかったけれど、口にするのもはばかられるような内容であることは確かだったみたいだ。

 結局そのTシャツは現場でウエスとして使ったのち、廃棄処分したらしい。

 ネイティブではないからスラングみたいなものだとパッと見には意味が分からないし、以来結葉ゆいはもTシャツのみならず、色々なものの外国語ロゴには気をつけるようになった。

 そんなわけで、今日は「砂糖!」とある意味分かりやすく胸に描かれたTシャツを着て外出の結葉ゆいはだ。

 そうがいたら「何で砂糖?」と言われてしまいそうな気はしたけれど、今日はどうやら彼はいないみたいで。

 結葉ゆいはが無意識にそうを探してキョロキョロと辺りを見回していたのがバレたんだろう。

「ああ、そうなら今日はもう現場だよ」
 と言われてしまった。

 何だかそうの父親に、彼の息子への恋心の端っこを掴まれたみたいで無性に恥ずかしくなった結葉ゆいはは、すぐには何も言えなくて。
 そもそも眼前の公宣きみのぶだって、そうに彼女がいることは知っているはずだし、結葉ゆいはそうへの報われない片思いを可哀想だとあわれまれてしまうかも?と考えたら何だか嫌だった。


「またそうがいる時に遊びにおいでね」

 公宣きみのぶの、どう言うつもりで発せられたのか分からないセリフと優しげな笑顔に、結葉ゆいはは居た堪れなくなって、「……い、行ってきます」と少しズレたことを答えて、逃げるようにその場を去った。


 バス停が、曲がり角の先でよかった、と思いながら。
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