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3.近付くふたりのその裏で
封書の中身
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美鳥の言葉に結葉はただただ困惑して瞳を見開くばかり。
無意識に包み込むように手のひら全体でカップを握ってしまっていて、熱さにハッとして手を緩めて。
「お母さん……」
母を見つめてそう声を発してみたものの、そこから何と続けたらいいのか分からなくて口ごもった結葉に、美鳥が続けた。
「実はね、貴女がハムスターを飼いたいって言い始めた頃にね」
言って、おもむろに美鳥が立ち上がる。
リビングにあるチェストからA4サイズくらいの封書を手に戻ってくると、結葉に差し出してきた。
「……?」
――これ、何?
そんな気持ちを込めて結葉が美鳥を見つめたら、無言で開けてみるように促された。
その視線に、結葉が不思議に思いながら封書を開けてみると、中には一葉の紙片と白い二つ折りの台紙が入っていて。
恐る恐るそれらを取り出して視線を落とした結葉は息を呑んだ。
「お母さんっ、これ……」
中には先程福助を連れて会ってきたばかりの相手、御庄偉央の釣書と、彼のスーツ姿の写真が入っていた。
「ゆいちゃん、ずっと想くんばかり見てたでしょう? お母さん、ゆいちゃんには幸せになって欲しくて。でも……だからって無理矢理違う人に会ってみない?っていうのも違う気がして……。お父さんとふたり、このお話を進めるべきか否か、ずっと迷っていたの」
父茂雄の勤め先の上司が、今時珍しく見合いの世話人をするのが好きな人で、御庄家の一人っ子である偉央の見合い相手を探していたらしい。
今現在三〇歳の偉央と、二二歳の結葉の間には歳の差が八つ。
見目が麗しい上、とても優秀な人材だという話は上司から散々聞かされていたけれど、茂雄にとって偉央は娘の相手としては歳が離れすぎていて「うちの娘とかどうでしょう?」みたいな気持ちにはならなかったそうだ。
「誰かいい女性が見つかったら真っ先に部長にお声を掛けますよ」
そう言って笑った茂雄だった。
そもそも一人娘の結葉が、隣に住む幼なじみにずっと片思いしていたのは茂雄も知っていたし、娘の一途な思いを考えると、別の男を勧めてみる気にはなれなかったのだ。
だけど。
家でたまたま妻――美鳥にその話をしたら、「想くんには彼女が出来て家を出たみたい」と聞かされて。
娘の耳にそのことが入るのも、そう遠い未来ではないだろうねと夫婦で溜め息をついた。
無意識に包み込むように手のひら全体でカップを握ってしまっていて、熱さにハッとして手を緩めて。
「お母さん……」
母を見つめてそう声を発してみたものの、そこから何と続けたらいいのか分からなくて口ごもった結葉に、美鳥が続けた。
「実はね、貴女がハムスターを飼いたいって言い始めた頃にね」
言って、おもむろに美鳥が立ち上がる。
リビングにあるチェストからA4サイズくらいの封書を手に戻ってくると、結葉に差し出してきた。
「……?」
――これ、何?
そんな気持ちを込めて結葉が美鳥を見つめたら、無言で開けてみるように促された。
その視線に、結葉が不思議に思いながら封書を開けてみると、中には一葉の紙片と白い二つ折りの台紙が入っていて。
恐る恐るそれらを取り出して視線を落とした結葉は息を呑んだ。
「お母さんっ、これ……」
中には先程福助を連れて会ってきたばかりの相手、御庄偉央の釣書と、彼のスーツ姿の写真が入っていた。
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父茂雄の勤め先の上司が、今時珍しく見合いの世話人をするのが好きな人で、御庄家の一人っ子である偉央の見合い相手を探していたらしい。
今現在三〇歳の偉央と、二二歳の結葉の間には歳の差が八つ。
見目が麗しい上、とても優秀な人材だという話は上司から散々聞かされていたけれど、茂雄にとって偉央は娘の相手としては歳が離れすぎていて「うちの娘とかどうでしょう?」みたいな気持ちにはならなかったそうだ。
「誰かいい女性が見つかったら真っ先に部長にお声を掛けますよ」
そう言って笑った茂雄だった。
そもそも一人娘の結葉が、隣に住む幼なじみにずっと片思いしていたのは茂雄も知っていたし、娘の一途な思いを考えると、別の男を勧めてみる気にはなれなかったのだ。
だけど。
家でたまたま妻――美鳥にその話をしたら、「想くんには彼女が出来て家を出たみたい」と聞かされて。
娘の耳にそのことが入るのも、そう遠い未来ではないだろうねと夫婦で溜め息をついた。
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