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5.永遠の愛を誓いますか?
彼女と夫婦になりたい
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結葉が偉央に気持ちを伝えてからは流れるように結婚の話が進んでいった。
元々見合いがきっかけなのだ。
偉央は最初から「結婚を前提に」と明言して結葉と付き合い始めたし、結葉だってそれを承知した上で偉央との交際をスタートした。
偉央としては気持ちを確かめ合うのが遅過ぎたぐらいに思えたけれど、最初から結葉のペースに合わせると決めていたので、半年以内に結葉から色良い返事がもらえたのはある意味ラッキーだったとも思えて。
見合い相手の結葉にずっと片想いしている相手がいたことは、実は結葉の両親から早々に伝えられて知っていた偉央だ。
そんな、見合いとしては娘の話をまとめるのに不利になりそうなことをわざわざ言わなくても良かっただろうに。
小林夫妻は「娘の全てを知った上で判断して欲しい」と、偉央に釣書などを渡すのとほぼ同時にそのことを告げてきた。
それほどまでに、彼らのお嬢さんにとって、片想いをしてきた相手のことは大きな存在だったということか、と偉央は漠然と思って。
そんな風に誰かを真剣に好きになれる彼女のことを、心底羨ましいとさえ感じてしまったのだ。
結葉の両親の話では、その片想いの相手とやらに、少し前に彼女が出来て家を出て行ってしまったらしい。
それを聞いて落ち込んでいる娘に、新しい恋に目を向けてもらえたなら、と言うのが今回結葉に見合いを進めてみようと思い至った経緯なんだとか。
最初、そんな曰く付きの見合いなんて断ってしまおうかと思った偉央だ。
色恋にあまり興味の持てなかった偉央にとって、そう言う女性は面倒な相手だという認識しかなかったから。
だが、偉央は釣書とともに同封されていた結葉の写真を見るとはなしに見た瞬間から、結葉の愛らしさに自分でも驚くほど一瞬で心奪われてしまった。
別の男のことを想っている女性なんて、と最初は辟易した気持ちで見合いの書類を受け取って。
別に中を見ないままに断っても良かったのに、何となくそんな風に誰かを心底愛することが出来、尚且つ本人自身も両親から気に掛けられ、守られるような女の子というのはどんな子なんだろうと興味がわいてしまった。
そんな興味本位で封を開けてみたにも関わらず、気が付けばどうにかしてこの子を自分に振り向かせたいと思ってしまうほどに結葉への想いが強まっていて――。
親の職種こそ違えど、結葉同様に地方公務員の両親からの愛情を一身に受けて育った一人っ子の偉央は、漠然とそこそこに好きになれる相手と結婚して、それなりの家庭を築いていけたらいいと考えていた。
見合いだって、適齢期を迎えた自分を心配して両親が知人に勝手に頼んだだけ。
偉央自身はそんなに焦っていたわけじゃない。
幾人かと見合いをしていくなかで、互いの条件さえ合う相手ならば適当に手を打とうと思っていた偉央だ。
だが、美しい振り袖に身を包み、ほんのり頬を染めて淡くはにかむ結葉の写真を見た瞬間、それは間違いだったと強く認識させられた。
どうにかして彼女と夫婦になりたいと願った偉央は、気が付けば両親を通じて、世話人に「すぐさま話を進めて欲しい」と返していたのだった。
元々見合いがきっかけなのだ。
偉央は最初から「結婚を前提に」と明言して結葉と付き合い始めたし、結葉だってそれを承知した上で偉央との交際をスタートした。
偉央としては気持ちを確かめ合うのが遅過ぎたぐらいに思えたけれど、最初から結葉のペースに合わせると決めていたので、半年以内に結葉から色良い返事がもらえたのはある意味ラッキーだったとも思えて。
見合い相手の結葉にずっと片想いしている相手がいたことは、実は結葉の両親から早々に伝えられて知っていた偉央だ。
そんな、見合いとしては娘の話をまとめるのに不利になりそうなことをわざわざ言わなくても良かっただろうに。
小林夫妻は「娘の全てを知った上で判断して欲しい」と、偉央に釣書などを渡すのとほぼ同時にそのことを告げてきた。
それほどまでに、彼らのお嬢さんにとって、片想いをしてきた相手のことは大きな存在だったということか、と偉央は漠然と思って。
そんな風に誰かを真剣に好きになれる彼女のことを、心底羨ましいとさえ感じてしまったのだ。
結葉の両親の話では、その片想いの相手とやらに、少し前に彼女が出来て家を出て行ってしまったらしい。
それを聞いて落ち込んでいる娘に、新しい恋に目を向けてもらえたなら、と言うのが今回結葉に見合いを進めてみようと思い至った経緯なんだとか。
最初、そんな曰く付きの見合いなんて断ってしまおうかと思った偉央だ。
色恋にあまり興味の持てなかった偉央にとって、そう言う女性は面倒な相手だという認識しかなかったから。
だが、偉央は釣書とともに同封されていた結葉の写真を見るとはなしに見た瞬間から、結葉の愛らしさに自分でも驚くほど一瞬で心奪われてしまった。
別の男のことを想っている女性なんて、と最初は辟易した気持ちで見合いの書類を受け取って。
別に中を見ないままに断っても良かったのに、何となくそんな風に誰かを心底愛することが出来、尚且つ本人自身も両親から気に掛けられ、守られるような女の子というのはどんな子なんだろうと興味がわいてしまった。
そんな興味本位で封を開けてみたにも関わらず、気が付けばどうにかしてこの子を自分に振り向かせたいと思ってしまうほどに結葉への想いが強まっていて――。
親の職種こそ違えど、結葉同様に地方公務員の両親からの愛情を一身に受けて育った一人っ子の偉央は、漠然とそこそこに好きになれる相手と結婚して、それなりの家庭を築いていけたらいいと考えていた。
見合いだって、適齢期を迎えた自分を心配して両親が知人に勝手に頼んだだけ。
偉央自身はそんなに焦っていたわけじゃない。
幾人かと見合いをしていくなかで、互いの条件さえ合う相手ならば適当に手を打とうと思っていた偉央だ。
だが、美しい振り袖に身を包み、ほんのり頬を染めて淡くはにかむ結葉の写真を見た瞬間、それは間違いだったと強く認識させられた。
どうにかして彼女と夫婦になりたいと願った偉央は、気が付けば両親を通じて、世話人に「すぐさま話を進めて欲しい」と返していたのだった。
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