【完結】【R18】結婚相手を間違えました

鷹槻れん

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10.厳しい管理下

僕が守ってあげる

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***

 湯呑みから湯気のくゆる香ばしいお茶をひと口飲むと、結葉ゆいはは小さく吐息をついて、恐る恐る切り出した。

「同窓会。昼間にほんの二時間ぐらいの軽いものだからおいでって誘われて……それで」

 しどろもどろでそこまで言ったと同時、結葉ゆいはの言葉をさえぎるようにして「その同窓会は大学の?」 と、偉央いおが問うてきた。

 こちらには視線を向けないままに落ち着いた低音ボイスで尋ねられて、結葉ゆいははドキッとしてしまう。

 結葉ゆいはが通ったのは私立のミッション系の女子大だ。
 とどのつまり偉央いおが言っているのは、その場に男がいるか否かということに他ならないのだと、結葉ゆいはは瞬時に理解した。


「ごめ、なさっ。大学の、ではなくて……。その……ちゅ、中学の頃ので――」

 同年代の男の子たちも参加するものなのだ、と結葉ゆいは偉央いおに告白する。

「そっか。じゃあ、もちろん断ったよね?」

 偉央いおが、結葉ゆいはを男性のいる場に出させたくないと意思表示をすることは、自明の理だ。

 〝そのことは、結葉キミ偉央ぼくとの三年間に及ぶ婚姻生活で嫌と言うほど身にしみているはずだよね?〟と言外に含ませる偉央いおに、結葉ゆいはは言葉を失ってしまう。


「あ、あの……私、一度はちゃんとお断りをして……それでっ」

 湯呑みを持つ手がふるふると震えて、中のお茶が小刻みに揺れて細波さざなみを立てた。

 それを泣きそうになりながらじっと見つめる結葉ゆいはは、偉央いおの方を怖くて見られない。


「つまり、お断りはしたけどゴリ押しされて行くことにされたって理解したんでいい?」

 偉央いおの声はあくまでも穏やかなまま。

 だけど結葉ゆいははそう言う時の方が偉央いおの怒りが大きいと言うのを経験から知っている。


「ごめんなさいっ。偉央いおさんっ。私、ちゃんと……お断りする、のでっ」

 だから怒らないで欲しいと言外に含めれば、偉央いおがクスッと笑った。


結葉ゆいははまた押し切られちゃうと思うな?」

偉央いお、さっ――」

 そんなことにはしないからっ、と言い募ろうとしたら、偉央いおが静かに立ち上がって。

 結葉ゆいはは恐怖に声が出せなくなってしまう。


「大丈夫だよ、結葉ゆいは。今回はちゃんと話してくれたからね。僕はキミに対して怒ったりしていない」

 結葉ゆいはの怯えを的確に察知した偉央いおが、そう言って結葉ゆいはの頭を優しく撫でて。

「だけど放置は出来ないから……今回は僕がキミを悪いお友達から守ってあげる。今日一番最後に掛かってきたのがそれだよね?」

 結葉ゆいはから離れて電話の方へ足を向ける偉央いおを見て、結葉ゆいははフルフル震えながら「……はい」と、か細く答えるのが精一杯で。

「こっちにおいで、結葉ゆいは

 電話機の前に立った偉央いおに、ニッコリ微笑んで手招きされて、結葉ゆいはは絶望的な気持ちになった。

 きっと、琳奈りんなとはもう連絡を取れなくされてしまうだろう。
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