【完結】【R18】結婚相手を間違えました

鷹槻れん

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14.裏切りにはそれ相応の制裁を*

お隣さんが

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「こんな風に移動中じゃキミの顔を見られないだろう? 今夜は結葉ゆいは気分なんだ。僕の方からはキミに質問するつもりだから。結葉ゆいはは気にせずしゃべってて? ちゃんと聞いてるから……」

 紡がれた言葉も声音もとても穏やかだったけれど……逆にそれが結葉ゆいはには恐ろしくて堪らない。

 経験から、偉央いおがこんな風に落ち着いて時の方が、後に訪れる反動がことを結葉ゆいはは知っていたから。

 きっと、家に着くなり偉央いおからあれこれ詰問きつもんされるに違いない。

 考えただけでゾクッとして、結葉ゆいははこの場から消えてなくなりたい気分になった。

「黙り込んじゃったけどどうしたの? もう話すことなくなっちゃった?」

 ハンドルを握って前方を見据えたままそう告げる偉央いおの横顔を見て、結葉ゆいは美鳥みどりから持たされたハンバーグの入った容器をギュッと握り締めた。


***


「それで結葉ゆいは、実家では変わったことはなかったかな?」

 車中、実家でハンバーグを作った話をしたはずなのに、偉央いおは〝それ以外にも〟何かあったと思っているらしくて。

 玄関扉が閉まり、結葉ゆいはが上がりかまちに足をかけたと同時に背後を振り返った偉央いおからそう質問されて、結葉ゆいはは夕方公宣きみのぶが息子のそうを伴って実家うちを訪れたことを言うべきか否か迷った。


「あ、あのっ、お隣の公宣きみのぶさんが……」

 思わずいつものように山波家やまなみけの大黒柱のことを下の名前で呼んで、偉央いおに「公宣きみのぶさん?」と復唱されてドキッとする。

「あっ、えっと……お隣の山波やまなみさんが――」

 慌てて言い直したら、「お隣?」とまたしても声を低められてしまう。

 結葉ゆいははもう何を言っても偉央いお逆鱗げきりんに触れないことは不可能なんじゃないかと絶望的な気持ちになった。

「……お、お父さんとお母さんが……。そのっ、あちらに行っている間、家の管理を『山波やまなみ建設』さんにお願いすることにしたみたいで……。きょ、今日は夕方にその管理の話でいらっしゃいました」

「ふ~ん。、ねぇ」

 途端、一歩結葉ゆいはに近付いた偉央いおが、瞳をすがめて間近で結葉ゆいはを見下ろしてきて。

 結葉ゆいはは緊張で心臓が止まりそうになった。

 そのまま壁際に追い詰められ、いつものように押さえつけられてしまうことを覚悟をした結葉ゆいはだったけれど。
 偉央いお結葉ゆいはの予想に反してフイッと彼女から視線を外すと、結葉ゆいはの肩に掛かったままの荷物に手を伸ばした。

「――中身、チェックさせてもらうね?」

 言いながら結葉ゆいはからショルダーバッグを奪い取ると、マグネットボタンで閉じられたかぶせを開けて、中身を結葉ゆいはの足元にばら撒くようにぶちまけた。
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