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22.結葉の告白
お願い、最後まで黙って私の話を聞いて?
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「私ね、あの雪の日の翌日から夫に監禁されたの……」
結葉が一息に告げたら、想が息を呑んだのが分かった。
「想ちゃんも気づいたよね? これは、足枷を付けられてた痕」
足首をさすりながら言ったら、想が思わず、と言った調子で腰を浮かせて苦しそうに眉根を寄せた。
「結葉、それって俺がっ……!」
旦那を牽制したせいだよな!?という声が聞こえてきそうで、結葉は慌てて想の言葉を遮る。
あの雪の日、想は結葉を心配して夫の偉央に意見してくれた。
それが、偉央を焚き付ける火種になったのではないかと思ったんだろう。
だけど、あの直後、偉央はちゃんと結葉の訴えを信じて怒りを収めてくれたことを、結葉は覚えている。
だから、偉央を壊す決定打になったのはそれじゃない。
きっと、一度は信じようと思った結葉が、偉央を裏切ったと思わせてしまったあのカップたちこそが真の原因なのだ。
だから――。
「想ちゃんのせいじゃないよ? 全部私が蒔いた種だから。――きっと言いたいことは沢山あると思うけど……お願い。最後まで……黙って私の話を聞いて?」
言って、じっと想を見つめたら、こちらに半身乗り出していた腰を落ち着けて、想が一言「……分かった」と答えてくれた。
偉央には言えなかった、「私の言葉を聞いて欲しい」と言う意思表示が、想にはすんなり出来てしまえたことに内心驚いた結葉だ。
きっと想がまとうオーラが、結葉を威圧してこないからだろう。
結婚して程なく始まった、夫からの精神的な締め付けと、肉体的な拷問の数々。
それらをずっと甘んじて受け入れてきたことが、今回の監禁に繋がったんだと結葉は思っている。
「私、嫌なことは嫌だってちゃんと偉央さんに言わなきゃいけなかったのに」
まるで諦めたみたいに、長い年月それをしないで来てしまった……。
偉央の反応をビクビクと怖がって、夫と向き合おうとしてこなかった代償が最終的に監禁に繋がった気がする。
偉央の行動がどんどんエスカレートして、日に日に締め付けが強くなっていくのを、心を殺して甘んじて受け入れていたのは、他ならない。自分自身なのだと今なら分かる。
足枷を付けられる前に、こんな風に外部へSOSを出すことだってきっと出来たはずなのに。
それを出来ないと思い込んで殻に閉じこもっていたのは結葉自身だ。
結葉が一息に告げたら、想が息を呑んだのが分かった。
「想ちゃんも気づいたよね? これは、足枷を付けられてた痕」
足首をさすりながら言ったら、想が思わず、と言った調子で腰を浮かせて苦しそうに眉根を寄せた。
「結葉、それって俺がっ……!」
旦那を牽制したせいだよな!?という声が聞こえてきそうで、結葉は慌てて想の言葉を遮る。
あの雪の日、想は結葉を心配して夫の偉央に意見してくれた。
それが、偉央を焚き付ける火種になったのではないかと思ったんだろう。
だけど、あの直後、偉央はちゃんと結葉の訴えを信じて怒りを収めてくれたことを、結葉は覚えている。
だから、偉央を壊す決定打になったのはそれじゃない。
きっと、一度は信じようと思った結葉が、偉央を裏切ったと思わせてしまったあのカップたちこそが真の原因なのだ。
だから――。
「想ちゃんのせいじゃないよ? 全部私が蒔いた種だから。――きっと言いたいことは沢山あると思うけど……お願い。最後まで……黙って私の話を聞いて?」
言って、じっと想を見つめたら、こちらに半身乗り出していた腰を落ち着けて、想が一言「……分かった」と答えてくれた。
偉央には言えなかった、「私の言葉を聞いて欲しい」と言う意思表示が、想にはすんなり出来てしまえたことに内心驚いた結葉だ。
きっと想がまとうオーラが、結葉を威圧してこないからだろう。
結婚して程なく始まった、夫からの精神的な締め付けと、肉体的な拷問の数々。
それらをずっと甘んじて受け入れてきたことが、今回の監禁に繋がったんだと結葉は思っている。
「私、嫌なことは嫌だってちゃんと偉央さんに言わなきゃいけなかったのに」
まるで諦めたみたいに、長い年月それをしないで来てしまった……。
偉央の反応をビクビクと怖がって、夫と向き合おうとしてこなかった代償が最終的に監禁に繋がった気がする。
偉央の行動がどんどんエスカレートして、日に日に締め付けが強くなっていくのを、心を殺して甘んじて受け入れていたのは、他ならない。自分自身なのだと今なら分かる。
足枷を付けられる前に、こんな風に外部へSOSを出すことだってきっと出来たはずなのに。
それを出来ないと思い込んで殻に閉じこもっていたのは結葉自身だ。
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